News letter No.3(2004年6月12日理事会及び総会報告)

法科大学院協会事務局

 法科大学院協会の運営につきましては、日頃から格段のご協力をたまわり、ありがとうございます。本年度の当協会第3回理事会および第2回総会が、2004年6月12日(土)、同志社大学(寒梅館)で開催されました。開催のお世話をいただいた同志社大学関係者各位、とりわけ幹事をお務めいただいた深田三徳理事に、厚く御礼申し上げます。

当日の総会で審議・承認された事項を中心に、下記の通り、ご報告申し上げます。

  1. 奥島孝康理事長の辞任について
    理事会において、奥島孝康理事長より、早稲田実業初等部の入試をめぐる問題に関わり文部科学省の委員を全て辞した者が、法科大学院協会を代表して文部科学省と対応に当たることが適切か否か疑問があること、また、自身は私学助成の充実に専心したいとの理由から、理事長職を辞したい旨、また、それに関連して、規約第18条第2項の定める理事長代行として佐藤幸治副理事長を指名(規約18条2項)したい旨の提議があり、審議の上、承認されました。佐藤理事長代行の任期は、奥島理事長の残任期間である来年度第1回総会まで(規約附則第6条)となります。
  2. 会員・準会員の申し込み
    理事会において、国士館大学が準会員として承認されました。第2回理事会で承認された21校とあわせて(News Letter第2号参照)、準会員校は22校となります。
    また、総会において、大阪大学・専修大学を会員として承認する旨が提案され、承認されました。会員校は68校となります。
  3. 法科大学院協会の法人化の検討
    理事会および総会において、田中成明専務理事から、協会の法人化について検討を進めることが提案され、承認されました。
    本件については永田常務理事及び長谷部事務局長が担当することになります。
  4. 会計に関する件
    理事会および総会において、加藤哲夫常務理事から、本年3月1日付けで法科大学院協会設立準備会の会計を整理したことが報告され(2002年6月26日から2004年3月1日まで)、剰余金1、795、355円を法科大学院協会の経常収入に組み入れることが提案され、承認されました。なお、前田重行監事に設立準備会の剰余金額につきご確認をいただいている旨も報告されました。
  5. 各検討委員会からの報告・提案等について
    1. 臨床系科目等検討委員会
      臨床系科目等検討委員会の田口守一主任から、委員会のメンバーが紹介され(伊藤眞、井上正仁、潮見佳男、椎橋隆幸、田口守一、永田眞三郎、山野目章夫)、さらに、各法科大学院が実施を予定しているクリニック、エクスターンシップ等臨床系教育に関するアンケートの結果の概要が説明されました。アンケート結果の検討に基づいて、①臨床系科目のカリキュラム上の問題点として、臨床系科目の定義が一定していないこと、履修時間・時間数・単位数にばらつきがあること、特に、刑事系臨床系科目については、実施予定校も少なく、その内容も一定していないこと、②学生の守秘義務に関する論点として、守秘義務を課して誓約書を提出させる大学がほとんどであり、誓約書に違反した場合の処分を学内規則で定める例もあること、守秘義務に関する誓約書の書式モデルが統一されていることが望ましいこと、さらに、③法科大学院学生の保険に関する論点として、「学研災付帯賠償保険」「弁護士賠償責任保険」への加入を定める大学もあるが、法科大学院学生向けの新たな保険制度の構築を望む声が多いことが指摘されました。
      つづいて、山野目事務局次長より、クリニック、エクスターンシップ等臨床系教育における賠償責任保険について報告と提案があり、協会として、臨床系教育に関する学生を対象とする保険を扱っている財団法人日本国際教育支援協会と協議し、法科大学院の臨床系教育用に新しい保険を作るよう要請すること(2005年2~3月に実施される臨床系教育に間に合うことを目途とする)、その際には、賠償責任保険は法科大学院生すべてが加入するものとし、かつ、保険事故が発生する可能性が高い臨床系教育を履修する学生の概数について、あらかじめアンケートを実施することが提案され、了承されました。
    2. カリキュラム等検討委員会
      カリキュラム等検討委員会の磯村保主任から、委員会のメンバーが紹介された上(磯村保、大澤裕、笠井正俊、洲崎博史、塚原英治、中川丈久、フット・ダニエル、山本和彦、吉原和志)、①公法系実務教育ワーキンググループが、先に1月に中間まとめを公表して協会のホームページで意見募集した結果を踏まえて、最終のとりまとめを行い、カリキュラム等検討委員会に報告されたこと、その最終報告は協会のホームページ上に掲載の予定であること、②教材作成に関する著作権問題について、著作権法35条により教材として使用するために著作物を配布することについて配慮がされているが、この条項のもとでも許諾無しに教材として使用できる事例については、本年3月に著作権法第35条ガイドライン協会(著作権者側の組織)が示したガイドラインが参考となる旨が報告され、さらに、③著作物の使用の許諾が必要な場合に利用可能な、許諾取得の代行機関として、法教育支援センターの紹介がなされました。
    3. 入学者選抜・適性試験等検討委員会
      入学者選抜・適性試験等検討委員会の川村正幸主任から、委員会のメンバーが紹介され(伊藤眞、大村雅彦、加藤徹、川村正幸、滝沢昌彦、中森喜彦、山中敬一、松村良之)、ついで、①適性試験を、日弁連法務研究財団は6月7日に行い、大学入試センターは6月27日に行う予定であること、②適性試験の実施二団体と平成15年度試験の分析、および16年度試験の概要について協議を行った旨が報告されました。また、③協議の場では、各法科大学院学生の成績等の情報の提供の要請があったものの、協会としてとりまとめることはせず、各法科大学院の判断に委ねたい旨、さらに、④適性試験改善のための共同研究を各実施主体と行うことを検討したい旨の報告がありました。
    4. 教員研修等検討委員会
      教員研修等検討委員会の小島武司主任に代わって、伊藤眞常務理事から、①委員会のメンバーについては、改めて小島主任から報告頂く予定であること、②司法研修所での講義の傍聴研修は、多数の教員の参加を得て成功裡に進んでいること、③法科大学院の教育経験について意見交換の機会となるシンポジウムを12月11日(土)に開催することを予定している旨、報告がありました。
    5. 司法試験等検討委員会
      司法試験等検討委員会の井上正仁主任から、①委員会のメンバーは未確定であること、②今後、法務省等関係機関と連携をはかりつつ、必要な問題について協議折衝していきたいが、折衝した結果は、会員・準会員校へ適宜、報告する予定である旨、報告がありました。
      引き続いて法務省の大谷晃大司法法制課長から、新司法試験実施に向けての準備状況について、2004年1月に発足した司法試験委員会の下で、①新司法試験の選択科目の選定について、パブリックコメントが実施され(5月末締切り)、8月中に最終的な結論を得ることを目途に検討が進められていること、②新司法試験と旧司法試験の合格者割合について、今秋中におおよその方針を決定することを目途に検討が進められる予定であること、③新司法試験の問題検討会においてサンプル問題及びプレテスト用の問題の作成が進められており、前者については年内に公表の予定、後者については来年7月ころ実施の予定であることなどの説明がなされました。
  6. 文部科学省からの報告
    文部科学省の長谷川和弘専門職大学院室長から、法科大学院等専門職大学院の形成支援経費(15億円余)について、各法科大学院の単独申請のみならず、複数の大学院の共同プロジェクトも歓迎されること、7月末に申請が締め切られ、7月9日(東京)および7月12日(京都)に説明会を開催する予定である旨の説明がありました(概要は文部科学省ホームページに掲載済)。また、平成16年度の法科大学院入学者選抜状況に関する調査結果および法科大学院にかかる認証評価の概要についても説明がなされました。
  7. 予算案に関する件
    理事会および総会において、長谷部恭男事務局長より別紙の通りの16年度予算案についての説明があり、承認されました。また、あわせて、会員校の入会金については、これを基本財産とし、経常の収支には組み入れない措置をとることが提案され、承認されました。
  8. 次回総会・理事会について
    次回総会は、2005年3月19日(火)13時30分から東京大学本郷キャンパスで開催される予定です。同日午前中には、理事会が開催される予定です。
  9. その他
    1. 総会終了後、関係者の御尽力により懇親会を開催し、会員校相互間の懇親を図ることができました。厚く御礼申し上げます。
    2. 司法研修所講義参観の際の教材の取扱いについて
      司法研修所の御厚意により講義参観を実施させて頂いておりますが、その際、部外持出し禁止の教材が参加者の不注意により持ち出されるという事態が生じております。参加者には個別にお願いをしておりますが、司法研修所との協力体制全体にも影響が及ぶおそれがありますので、今後の講義参観に際しても十分に御注意をお願い致します。

以上

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