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News letter No.17(2007年9月1日臨時理事会報告)

法科大学院協会事務局

法科大学院協会臨時理事会が、9月1日(土)午後3時より一橋大学神田キャンパス(学術総合センター)601号室において開催されました。
News Letter No.16でご報告いたしましたとおり、慶應義塾大学法科大学院の専任教授(後に退職)であり、新司法試験考査委員(後に解任)でもあった植村栄治氏が学生に対して考査委員としての公正さを欠く指導をしたと指摘された問題について、当協会は、去る7月24日の臨時理事会において、後藤昭常務理事を委員長とする調査委員会を設置しました。調査委員会の報告がまとまったことを受けて開催された今回の臨時理事会では、慶應義塾大学法科大学院関係者からすでに提出されていた当協会の役員を辞する旨の辞表の取扱いも含め、この問題に対する当協会としての対応が協議されました。また、法科大学院教育と新司法試験との連携に関わるいくつかの問題も協議されました。以下、その概略をご報告申し上げます。

1 調査委員会報告に関する件

  1. 調査委員会の後藤委員長より、調査の結果について、調査報告書に基づき報告がありました(調査報告書の内容は、http://www.lawschool-jp.info/newsletter/20070901keio.pdfをご覧ください)。
  2. 慶応義塾大学法科大学院(大学院法務研究科)の研究科委員長である豊泉貫太郎理事より、調査委員会の報告に対する意見が述べられました。また、再発防止策の検討状況と、今回の事態に対する対応として、当協会の理事を辞任するとともに、当協会における慶應義塾大学法科大学院の活動を当面の間自粛することとしたい旨の意向が述べられました。
  3. 以上を踏まえ、慶應義塾大学法科大学院に所属する豊泉理事及び宮島司教員研修等検討委員会主任から臨時理事会に先立ち提出があった辞表の取扱いを含め、この問題に対する対応が協議されました。その結果、「会員校に対する処分について(お知らせ)」で既報のとおり、豊泉理事及び宮島主任の辞表を受理すること、その上で、規約第9条により、慶應義塾大学に対し、本年9月1日から1年間、会員資格停止の処分をすることが決定されました(「会員校に対する処分について(お知らせ)」は、http://www.lawschool-jp.info/newsletter/20070904.pdfをご覧ください)。なお、規約第9条第2項は、「理事会は、会員の除名の提案に先立って、当該会員に対し、戒告又は会員資格停止の処分を行うことができる。」と定めているところ、「会員の除名の提案に先立って」とは、除名の提案を前提とする場合に限らず、除名に至らないより軽い処分として科す場合を含む趣旨であることが、確認されました。
  4. 今回の事件は、法曹養成課程の中核を担う機関として法科大学院が負うべき新司法試験の公正さを確保する責任という視点ばかりでなく、法科大学院設立の理念に照らしたその教育のあり方という視点からも問題を含むものであるところ、この点については、理事長声明において、基本的な考え方を示すとともに、そのような教育のあり方の徹底については、今後、さらに具体的に検討していくこととなりました(理事長声明「再び理念を確認して」は、http://www.lawschool-jp.info/press/press03.htmlをご覧ください)。

2 その他

  1. 司法試験連携検証における作業の進め方について
    山野目章夫連携協議委員会主任より、本年度実施されるパイロット調査(会員校6校の協力を得て実施される、新司法試験受験者の法科大学院在学時の成績と新司法試験の成績との相関関係調査)の具体的進め方について、司法試験の成績情報を管理する法務省との打ち合わせの状況が報告されるとともに、法務省から提供を受けた司法試験の成績情報と各法科大学院における在学時の成績情報とを受験者別に比照するために作成される一覧表の取扱いについて、基本的な方針が説明され、了承されました。
  2. 司法試験考査委員の任用体制をめぐる論議の状況について
    山野目連携協議委員会主任より、司法試験の公正さ確保の方策として、司法試験委員会において考査委員の体制や研究者教員である考査委員の選任のあり方が検討されている状況について報告があり、今後の協会としての対応が協議されました。この問題は、法科大学院教育と新司法試験との有機的連携、ひいては法科大学院設立の理念に関わる側面があることから、協会として真剣な対応が必要であることについて意見が一致し、山野目主任のほか、中川丈久連携協議委員会委員、井上正仁常務理事を加えた3名を担当者とし、既に設置されている連携協議支援委員会のサポートのもと、関係機関との協議に当たることとされました。
  3. 理事及び専門委員会主任の後任について
    辞表の受理により空席となった理事の後任については、次回の総会までに検討し、教員研修等検討委員会主任の後任については、執行部に一任することとしました。
  4. 適性試験の検証について
    笠井正俊常務委員より、適性試験の検証について、作業の進捗状況が報告されました。

     

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