News Letter No.60(2026年6月13日〔土〕理事会及び総会報告)
法科大学院協会事務局
法科大学院協会の理事会が2026年6月13日(土)13時00分より、また総会が同日15時00分より、いずれもzoomによるオンライン方式で開催されました。
以下、総会で審議・報告された事項を中心に、概要をご報告申し上げます。本総会は役員の改選期にあたり、新たな理事・役員の選任が行われました。
1.冒頭挨拶
松下淳一理事長から、平素のご協力への謝辞とともに、法科大学院を取り巻く現状について挨拶がありました。来月には在学中受験資格による4回目の司法試験が実施されることに触れ、在学中受験が学生の履修動向や、いわゆる純粋未修者の学びに与える影響を引き続き注視する必要があること、また、法科大学院制度がこれまで多様なバックグラウンドを持つ法曹を輩出してきたことを踏まえ、法曹の多様性が重要であることが述べられました。あわせて、喫緊の課題である司法試験のCBT化について、協会として会員校の声を幅広く法務省に伝え、大枠から細部まで改善を促してきたこと、すべての受験生が本来の実力を発揮できるよう願う旨が述べられました。
2.行政動向
文部科学省の若林徹専門職大学院室長から、法科大学院に関する近年の施策動向についてご説明をいただきました。法科大学院の志願者数や入学定員充足状況、司法試験合格率はいずれも回復傾向にある一方、未修者の合格率にはなお課題があること、加算プログラムは令和9年度の予算配分をもって廃止し、その後は新たな評価の仕組みを通じて、未修者教育や地方における法曹の養成・定着、AI・デジタル化やグローバル化への対応といった取組みを支援していく方針であることなどが紹介されました。あわせて、昨年の「知の総和」答申を踏まえ、高等教育全体として質の向上・規模の適正化・教育へのアクセス確保が重視されていることや、過去約20年間の法科大学院の質保証の取組みが評価されるべきものであることも述べられました。これに関連して、会員校から、司法試験に合格しなかった修了生のキャリア支援・情報提供の充実を求める意見が出され、室長からは重要な観点として検討したい旨の回答がありました。
3.各専門委員会からの活動報告
各専門委員会から、今年度の活動状況と今後の取組みについて報告がありました。
カリキュラム等検討委員会(主任:小池信太郎先生〔慶應義塾大学〕)からは、コア・カリキュラム等検討小委員会と未修者基礎教育検討小委員会の二つの小委員会に分かれて活動していることが報告されました。前者については、各法科大学院におけるコア・カリキュラムの運用状況を把握するための調査報告書を2025年12月に協会HPに掲載しました。後者については、調査研究に基づく未修者教育メソッドの試行的な実践が続けられており、その取組みが教育工学の研究論文の検討素材となるなど、成果の現実化に向けた歩みがみられます。
修了生補助教員ネットワーク委員会(主任:高平奇恵先生〔一橋大学〕)からは、2021年度に文部科学省の委託研究への協力を目的として設置された経緯を踏まえ、調査報告書の提出後は、一般社団法人法曹養成ネットワーク(プレネット)の各種事業を後方から支援していることが報告されました。補助教員は各法科大学院において学生の学修意欲の向上や将来目標の設定支援など重要な役割を担っており、本年もプレネットの企画イベントの後援等を通じて、その活動を応援していきます。
司法修習連携等検討委員会(主任:和田俊憲先生〔東京大学〕)からは、司法研修所との意見交換会を年に概ね3回実施することを中心に活動していることが報告されました。本年6月には「民事弁護教育の在り方」をテーマにオンラインで意見交換会を実施し、司法研修所からの報告を受けて、複数の法科大学院の民事系科目の担当教員が教育の実情について情報共有・意見交換を行いました。これを通じて法科大学院と司法修習の相互理解が一層深まり、各校間でも教育方法の工夫が参考になっています。次回は9月頃に開催予定で、より多くの会員校の参加が呼びかけられました。
司法試験等検討委員会(主任:南由介先生〔日本大学〕)からは、本年度からの新主任のもとで委員構成の一部交替があったことが報告されました。例年どおり、司法試験の合格発表後・出題趣旨の公表段階で各校へのアンケートを実施する予定です。また、本年2月には「短答式試験の果たす役割」に焦点を当てた司法試験シンポジウムが開催され、次年度も2027年2月頃の開催が見込まれています。
入学者選抜・共通到達度確認試験等検討委員会(主任:高橋祐介先生〔名古屋大学〕)からは、2026年1月に第7回共通到達度確認試験を無事に実施したことが報告されました。受験者の追跡調査では、共通到達度確認試験と1年次GPAがいずれも司法試験の最終合格に対して高い予測的妥当性を持つことが引き続き観察されており、分析結果のサマリーやテクニカル・レポートを試験ウェブページで公表しています。第8回試験は2027年1月10日に実施予定です。
臨床系教育等検討委員会(主任:宮城哲先生〔琉球大学〕)からは、本年度の取組み方針は今後定めることとなるものの、早期に委員会を開催して方針を決定し、必要な取組みを進めていく旨が報告されました。会員校・準会員校には、アンケート等での協力が呼びかけられました。
修了生職域委員会(主任:米田憲市先生〔鹿児島大学〕)からは、新委員とともに改めて問題意識を共有し、具体的な取組みを始めていることが報告されました。売り手市場や就職活動の前倒しといった状況を踏まえた人材輩出先のバランス、司法試験に合格しなかった非法曹の修了生の法律キャリアの確保、地方における法曹不足への対応などを課題とし、組織内弁護士協会をはじめとする関係団体との連携を通じて、進路状況の把握や情報の共有・発信を進めていきます。
広報委員会(主任:小林学先生〔中央大学〕)からは、4月のオンラインキャラバンにおいて「法曹への道のり」を紹介したことが報告されました。協会HPでは、法科大学院や法曹に関心を寄せる学生・社会人(大学低学年や高校生も含む)に向けたコンテンツの充実に取り組んでおり、動画「ロースクール授業風景」のリニューアルも行いました。会員校には、法曹コース志望者等への広報活動への活用が呼びかけられました。
4.司法試験CBT化への対応と課題
磯部事務局長から、来月から導入される司法試験のCBT化に関する協会と法務省のこの間の動きについて報告がありました。協会では、前回総会で共有された危機感を受けて、各法科大学院の定期試験CBT化への対応状況を共有するスプレッドシートを整備するとともに、会員校を対象とするアンケートを実施しました。回答には、延期を求める声から、条件付き実施を求める慎重な声、安全対策の徹底を求める声まで様々な意見が寄せられ、これらを3月の説明会に向けて法務省に伝えました。法務省からは、文書および説明会を通じて、システムの信頼性やバックアップ体制、トラブル時の対応、受験環境の改善などについて説明がなされました。
総会では、会員校から、試験会場の抽選により一部の受験生に、県外会場への移動や宿泊等に伴う経済的・心理的な負担が生じているとの実情が共有され、試験会場のキャパシティの確保や、抽選となる場合の受験生にとっての予測可能性への配慮を求める意見が出されました。協会としては、こうした実態の把握に努めるとともに、会場に関する情報発信のあり方も含め、引き続き法務省への働きかけを行っていくこととしています。
5.役員の改選と新体制
本年は役員の改選期にあたることから、理事選考委員会の報告を受けて、総会において以下の11名の理事が選任されました(大学名・敬称略)。
林誠司(北海道大学)、古谷修一(早稲田大学)、宮下修一(中央大学)、手塚明(明治大学)、飯田秀総(東京大学)、手賀寛(東京都立大学)、大河内美紀(名古屋大学)、嶋矢貴之(神戸大学)、笠井正俊(京都大学)、松本哲治(同志社大学)、田村耕一(広島大学)
これを受けて開かれた理事会での互選により、新理事長として笠井正俊理事(京都大学)が選任されました。笠井新理事長から就任の挨拶があり、あわせて、以下のとおり新たな役員体制が承認されました(敬称略)。
理事長:笠井正俊(京都大学)
副理事長:石田京子(早稲田大学)、久保野恵美子(東北大学)
専務理事:磯部哲(慶應義塾大学)
常務理事:堀江慎司(京都大学)、八田卓也(神戸大学)、和田俊憲(東京大学)
監事:青井未帆(学習院大学)、藤本利一(大阪大学)
事務局長:土田伸也(中央大学)
常務委員:菊地一樹(明治大学)、高平奇恵(一橋大学)、中村瑞穂(大阪大学)
理事長の職務を代行する副理事長には石田京子副理事長が指名されました。事務局次長は調整中であり、追って理事長が指名し、次回総会で報告される予定です。また、3年間理事長を務めた松下淳一前理事長は、規約に基づき特別顧問に委嘱されました。
6.専門委員会委員の異動
専門委員会の委員について、司法試験等検討委員会では、主任が堀田周吾先生(東京都立大学)から南由介先生(日本大学)へ交替したほか、民法・知的財産法担当の大澤逸平先生(専修大学)、民事訴訟法・倒産法担当の棚橋洋平先生(早稲田大学)が退任しました。後任として、民法に前田太朗先生(中央大学)、民事訴訟法に中本香織先生(早稲田大学)、刑事訴訟法に岩下雅充先生(上智大学)、倒産法に玉井裕貴先生(東北大学)が就任しました(知的財産法は後任未定)。退任された先生方のこれまでのご貢献に、改めて御礼申し上げます。
なお、今回の理事改選に伴い一部の専門委員会で主任・委員が未定となっているものについては、内規に沿って理事長が選任し、次回理事会で報告することとされました。
7.その他の報告事項
令和7年度決算および令和8年度予算案について、監事による監査を経て、いずれも承認されました。
法科大学院の広報活動である「列島縦断☆ロースクール説明会&懇談会」(キャラバン)について、本年4月に東京会場(全国版)をオンラインで実施し、多くの参加者から好評を得たことが報告されました。共催団体である日本弁護士連合会、後援いただいた文部科学省・法務省・最高裁判所の各機関に謝意が示され、次年度も同様の方針で継続することとされました。
このほか、前回総会以降の活動として、News Letterの発行、法曹養成制度改革連絡協議会(第26回)や司法試験シンポジウムへの参加等が報告されました。
次回の理事会・総会は、2026年11月28日(土)にオンラインで開催する予定です。
