News Letter No.38 (2016年5月14日理事会及び総会報告)

法科大学院協会事務局

法科大学院協会の理事会が、2016 年 5 月 14 日(土)12 時 00 分より、中央大学駿河台記念館 670 号室で、また、総会が、同日 14 時 00 分より、中央大学駿河台記念館 370 号室で開催されました。

以下、総会で報告・意見交換がされた事項を中心に、概要をご報告申し上げます。

総会では、議事に先立ち、塩田剛志文部科学省高等教育局専門教育課専門職大学院室長から挨拶と、法科大学院改革の取組状況として、①志願者数・入学者数等の推移、②公的支援見直し強化・加算プログラム、③認証評価の厳格化、④法科大学院教育状況調査、⑤共通到達度確認試験(仮称)、⑥統一適性試験の在り方、⑦早期卒業・飛び入学制度の活用、⑧経済的支援の充実、⑨ICTの活用、⑩専門職大学院制度の見直しなどについての説明がありました。
また、鎌田薫理事長(早稲田大学)から挨拶があり、法科大学院志願者の減少に対して法科大学院として独自の対応をどう進めていくか、司法試験問題漏えい事件を踏まえた各法科大学院の対応を協会としてどのようにバックアップする体制を整備するか、これらの課題について、会員校の皆様から充実したご議論を頂きたい旨が述べられました。続いて、熊本大学の松原弘信教授より、法科大学院協会の尽力もあり、全国 32 の法科大学院より熊本地震の被災学生に対する支援があったことにつき謝辞が述べられました。

1 人事について

大貫裕之専務理事(中央大学)より、法科大学院代表者の交代に伴い、規約 13 条 4 項に基づき以下の理事の交代があったことが報告されました。
・田淵浩二理事→村上裕章理事(九州大学)
・小名木明宏理事→山本哲生理事(北海道大学)
・小林量理事→尾島茂樹理事(名古屋大学)
・松宮孝明理事→和田真一理事(立命館大学)
・林陽一理事→石井徹哉理事(千葉大学)
・白石忠志理事→川出敏裕理事(東京大学)

2 会員資格の喪失について

大貫専務理事から、大宮法科大学院大学が平成 28 年 1 月 29 日付で文部科学大臣より法科大学院廃止の認可を受けたため会員資格を喪失した(規約 8 条)旨、報告がありました。

3 平成 27 年度決算報告について

大貫専務理事から、平成 27 年度決算報告について説明があり、その中で、キャラバン企画費が予算額を少し下回ったこと、修了生・活躍情報発信経費が予算執行に至らず支出がなかったこと、アメリカ・ロースクール協会総会(本年 1 月)に佐藤信行教授(中央大学)を派遣したこと、等が報告されました。
続いて成瀬幸典監事(東北大学)から、十河太朗監事(同志社大学)とともに会計帳簿・書類等を精査したところ決算書の通りで会計は適正に執行されていることを確認した旨、監査報告があり、規約 41 条 1 項に基づき、理事会の議を経た上で、総会において承認されました。

4 平成 28 年度予算案について

大貫専務理事から、平成 28 年度予算案について説明があり、規約 41 条 2 項に基づき、理事会の議を経た上で、総会において承認されました。特記すべき事項として、定員削減(2 校)および法科大学院廃止による会員資格喪失(1 校)等により会費収入が昨年度より25 万円減少すること、キャラバン企画費が昨年より 45 万円増加すること(授業の様子や学生インタビューを録画したDVDを作成するため)、等があります。

5 キャラバン企画について

松下淳一事務局長(東京大学)から、昨年度のキャラバン企画「今、なぜロースクールで学ぶのか ☆列島縦断リレー☆法科大学院がわかる会 2015」の実施状況(10 会場で開催)について報告があり、共催者(日本弁護士連合会)・後援者(文部科学省・法務省・最高裁判所・適性試験管理委員会)の協力に対して謝辞が述べられました。また、今年度の企画「ロースクールへ行こう!! 2016 ☆列島縦断☆ロースクール説明会&懇談会」の実施予定(東京①:6 月 18 日、名古屋:7 月 13 日、阪神:10 月 29 日。ほか昨年度の会場校にて開催)について報告がありました。また、集客方法についてのアンケートを会場校に対して実施し、その集計結果を開催校に送付した旨の報告がありました。集計結果は、希望があれば開催校以外にも送付しますので、事務局までお申し出下さい。

6 司法研修所における教員研修の実施について

山田八千子教員研修等検討委員会主任(中央大学)から、9 月 2 日(刑事)、9 月 7 日(民事)に、司法研修所において教員研修を実施し、集合修習の実習型授業の見学および研修所教官室との意見交換会を行う予定であること、6 月中旬に会員校への募集案内を行う予定であることが報告されました。

7 司法試験アンケートの実施について

髙橋直哉司法試験等検討委員会主任(中央大学)から、平成 28 年司法試験に関するアンケート調査について、次の通り報告があり、関係各校にはこれまでと変わらぬご協力をお
願いしたい旨が述べられました。
・本年より、司法試験の結果に関する全ての情報が法務省より公表された後で実施する。これにより、出題趣旨・採点実感・最低ライン点未満者数などを踏まえた上での回答が可能となる。具体的には、上記の項目につき自由記載欄を設け、各科目の論文試験の内容につき適切か否かを問う項目の理由記載欄に併記する形とした。これに伴い、アンケートの実施時期は 12 月下旬から翌年 1 月頃に変更する。
・なお、平成 28 年は司法試験考査委員の体制に変更があったので、その点についての意見記載欄を設けた。また、試験全体についての意見欄に、選択科目の取り扱いについても意見があれば記載してもらいたい旨を、冒頭の留意事項として明記した。

8 適性試験について

藤本亮入学者選抜・適性試験等検討委員会主任(名古屋大学)から、2016 年法科大学院全国統一適性試験を 5 月 29 日と 6 月 12 日に実施すること、志願者数は昨年度より減少の見込みであること等が報告され、会場提供校に対して謝辞が述べられました。また、「統一適性試験の在り方に関する調査検討結果報告」(平成 28 年 3 月 15 日 中央教育審議会大学分科会法科大学院特別委員会 法科大学院全国統一適性試験の在り方に関する検討ワーキンググループ)等の内容についても報告されました。同「調査検討結果報告」では、既修者選抜・未修者選抜ともに統一適性試験の活用を任意とすべきこと、未修者選抜につい
て文部科学省はガイドラインを作成すること等が提案されています。
上記「調査検討結果報告」について、適性試験管理委員会は、5 月 11 日に意見書を提出しました。同意見書は、報告の基礎となっているアンケートにおいて適性試験の成績と入学後の成績との相関関係を調査している法科大学院は 45 校中 22 校に過ぎないこと、当該アンケートにおいて改善すべき点としてもっとも多く指摘されていたのは実施時期についてであることを述べ、慎重な審議を求めています。
藤本主任からは、エビデンスに基づいた入学者選抜の改革を進めるために、上記のガイドライン策定などに先立ち、各会員校では適性試験のみならず入学者選抜制度全体についての検証を進めて頂きたい旨の要請がありました。また、大貫専務理事からは、結論が出たときには各法科大学院に一定の対応を求めるものとなるだろうから、事態の推移にご注目頂きたい旨の発言がありました。

9 職域動向調査およびパンフレット活用等について

浜辺陽一郎修了生職域委員会主任(青山学院大学)から、第 4 回就職動向調査が行われるのでご協力願いたい、ジュリナビのシステムも在学生に利用の周知を願いたい旨の要請がありました。また、協会作成の自治体向けパンフレットおよび企業向けパンフレットをご活用頂きたいこと、前者については改訂版を作成し協会ウェブサイトに掲載予定である旨の報告がありました。
また、企業法務エクスターンシッププログラムを開始して既に 3 校が利用していること、中央省庁の合同説明会を本年夏に明治大学で開催予定であることについても報告されました。

10 司法試験問題漏えいおよび今後の問題作成体制について

大貫専務理事から、前回総会以降の動きについて説明があり、「司法試験問題漏えい再発防止策について(案)」という資料が配付されました。この意見書案では、司法試験の出題は法科大学院教育と有機的連携を保って行われなければならず、現職の法科大学院教員が司法試験の出題に関与することは不可欠であるという基本的前提の上に立って、考査委員たる教員及び各法科大学院が行うことができる対策、法科大学院協会が行う対策、司法試験委員会に検討を求めたい事項について述べています。活発な議論の結果、執行部で意見書案を改めて修文し、各校に提案することが異議なく了承されました。

11 その他

松下事務局長から、資料に基づき、前回総会以降の活動について説明がありました。主な内容は以下の通りです。
①司法試験問題漏えいの件に関する意見公表(2015 年 12 月 21 日)
②日弁連と法科大学院協会との意見交換会(2016 年 2 月 10 日、4 月 13 日)
③司法研修所と法科大学院協会との意見交換会(2016 年 3 月 8 日)
④熊本・大分地震への対応
また、司法試験合格者氏名掲載の官報の予約販売について説明がありました。

最後に、大貫専務理事より、次回総会は 2016 年 12 月 10 日(土)に、本総会と概ね同様の時間帯で開催する予定であり、会場を含めた詳細は追ってご案内する旨の報告がありま
した(その後、開催場所は名古屋大学(東山キャンパス) 法・経共用館 経済学部第一講義室、時間帯は 14 時~16 時とすることが決定しました)。

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