平成27年度教員研修の報告

平成27年12月12日
教員研修等検討委員会

【はじめに】

 法科大学院協会教員研修等検討委員会は、平成 27年度教員研修を、刑事系教員研修については平成27年8月28日、民事系教員研修については同年9月2日に、いずれも司法研修所において実施した。各研修においては、68期 A班の集合修習を見学した上で、法科大学院教員と司法研修所教官の意見交換会を行った。
 教員研修は参加人数の定員が限られていることから、より広く法科大学院教員に研修内容を伝達するため、以下、意見交換会の内容を中心に、教員研修の概要を報告する。
 なお、参考までに、報告の末尾に本年度教員研修の案内文を掲げた。

1 平成27年度教員研修の実施

(1) 刑事系教員研修には、各法科大学院から11名、法科大学院協会から3名(記録係 1名を含む。)、合計14名が参加した。
研修は13時20分から開始し、見学するカリキュラムの概要に関して所付から事前説明があった後、13時40分から16時35分まで講義(演習)を見学し、その後16時50分から18時30分まで意見交換会を実施した。
 見学をした集合修習は、「民事共通演習2」というカリキュラムであり、修習生が、裁判官役、原告訴訟代理人役、被告訴訟代理人役等に分かれ、弁論準備手続期日における争点整理手続を実演し、それについて教官が講評を行うという内容であった。
(2) 刑事系教員研修には、各法科大学院から12名、法科大学院協会から2名(記録係1名を含む。)、合計14名が参加した。
研修は13時20分から開始し、見学する集合修習の概要に関して所付から事前説明があった後、13時40分から16時35分まで集合修習を見学し、その後16時50分から18時30分まで意見交換会を実施した。
 見学をした集合修習は、「刑事共通演習(証拠開示・争点整理)」というカリキュラムであり、修習生が、裁判官役、検察官役、弁護人役等に分かれ、事前配布された事件記録を基に、公判前整理手続に備えた争点・証拠整理の方法、求釈明すべき事項等をチームごとに話し合った上で、期日における争点整理を実演し、それについて教官が講評を行うという内容であった。

2 刑事系教員研修における意見交換会の概要 

 1.当日の日程
 平成27年8月28日(金)午後に実施した刑事系教員研修には、各法科大学院から11名、法科大学院協会側から3名(記録係1名を含む。)、合計14名が参加した。
 13時20 分に開始された同研修において、参加者は、まず、司法研修所所付から、集合修習(「刑事共通演習(証拠開示・争点整理)」)の概要に関する事前説明を受けた上で、13時40分から16時35分まで、いくつかの教室に分かれて講義を見学し、その後、大会議室に集まり、16時50分から18時30分まで意見交換を行った。
 当日見学した「刑事共通演習(証拠開示・争点整理)」の講義は、修習生を裁判官役、検察官役、弁護人役等に分け、公判前整理手続期日における争点及び証拠の整理を実演させる(教官は、実演の間は、各種の調整のほか、随時修習生に助言を与えるなどの形で関与し、実演後には、争点及び証拠の整理について講評を行う)という内容であった。

 2.意見交換の概要
 講義見学を終えた後、司法研修所教官の出席を得て、当日の研修に参加した法科大学院教員による意見交換が行われた。各法科大学院及び法科大学院協会側の参加者は上述のとおりである。また、司法研修所からは、刑事裁判教官室、検察教官室、刑事弁護教官室の各教官が出席した。
 法科大学院協会教員研修等検討委員会の佐藤隆之委員(慶應義塾大学)の挨拶、関係者への謝意表明の後、参加者全員による自己紹介が行われた。佐藤委員の司会のもと、法科大学院教員2名、司法研修所教官 1名から順次報告(話題提供)があり、その後、意見交換が行われた。

(1)報告(話題提供)の概要
 法科大学院側からは、刑事法教育の現状について、実体法、手続法に関連する科目を担当する各教員(前者については研究者、後者については実務家)から、その所属する大学における実践・経験に基づく報告(話題提供)が行われた。

 「法科大学院における刑事実体法教育の現状」と題する報告の概要は、以下の通りである。
 法科大学院における刑事実体法教育の方向性として重要なのは、判例の判断を基礎付ける事実関係を正確に把握したうえで、当該判断の背後にいかなる理論的根拠があり得るのかを考察し、その射程をふまえて具体的事案を検討する態度を涵養することであり、これを第一の目標とすべきだと考える。
 このような態度を涵養するのに、まさに法科大学院は相応しい場だといえる。法科大学院は、例えば、授業準備の段階で、いわゆる実務的な感覚について、研究者教員が理論的観点から言語化を試み、それを実務家教員に問うといった形で、研究者教員と実務家教員の意見交換を行いやすい環境にあり、実務家教員と研究者教員の連携を十分に反映させた刑事実体法教育がこれからも目指されるべきだと思われる。
 また、事実関係の正確な把握を前提に、判例の背後の理論的根拠の有無・内容を分析し、その射程をふまえて具体的事案を考察するという能力は、判例集を片手に独学で教科書を読んでいるだけで修得するのは難しく、講義までの予習や教員とのやりとり等を通じて、多くの判例ないし事案に繰り返し触れ、時間をかけて培っていくのが最善の方法であろう。法科大学院制度の短所として、法曹となるまで時間がかかると指摘されることも多いが、上記の過程を経ることは、少なくとも、学習という面からは大きな長所であり、司法修習の期間が1年ほどしかない現行制度の下ではなおさらそうだと考える。

 「法科大学院における刑事手続法教育の現状」と題する報告の概要は、以下の通りである。
 刑事の裁判官を経て、法科大学院教員となった者の目からみると、刑事手続法の教育に関連して、学生に対し、特に、次の3点、①手続の流れに沿った理解をしていない、②判例に対する意識が弱い、③刑事実務に対する関心が低い、ということに懸念を持っている。
 まず、①については、例えば、ある者の供述を裁判で用いる場面では、いきなり供述調書を使うというのではなく、まずは供述者の証人尋問の請求が検討され、次いで、書面の使用が必要となれば、伝聞証拠の問題が生じ、さらに例外の要件の検討が行われる。証拠法をめぐる問題は、その証拠が訴訟のどの場面で、どう登場するのか、証拠の取調べの手続とセットで教える必要性を強く感じる。
 ②については、刑事法の理論を抽象的に理解する段階にとどまっており、当該事案の解決に当たり、その根拠を、関連する判例に結びつけて説明しようという意識が弱いという印象がある。
 ③については、将来実務家になって刑事事件に携わろうという意欲が低下しているのではないかという危惧を抱いている。刑事訴訟法については、司法試験の択一式試験がなくなり、条文を読ませる機会が減っていることも、刑事実務に対する関心を喚起する機会を失わせる結果につながっているように思う。

 司法研修所からは、刑裁教育の現状について、刑裁教官から、報告(話題提供)が行われた。

 「司法研修所における刑裁教育の現状」と題する報告の概要は以下の通りである。
 司法研修所における刑裁教育では、法律実務家として汎用性の高い基本的な技術・能力、すなわち、将来を予測し、実践的・動態的な問題解決の能力を涵養することに努めている。そのため、争点整理→証拠整理→身柄関係→証拠調べ→事実認定という、一つの事件の一連の手続中で起こる様々な問題の解決を目指した課題を与えている。そのような修習を可能とするには、法的知識・理解の積み重ねが必要であり、まず第一層として、ベースとなる実体法と手続法についての理解、その上に第二層として、争点整理の機能・位置づけ、公判手続の流れ、事実認定の基礎に関する理解、さらに第三層として、争点・証拠整理、公判審理の姿、事実認定、量刑に関する実践的な理解がそれぞれ積み重ねられていなければならないと考える。
 新たに実施された導入修習においても、修習開始段階で不足している実務的な知識・能力に気づかせ、より効果的、効率的な分野別修習が行われるよう、上述の視点・構造を踏まえ、刑事訴訟手続及び事実認定に関する課題を課した上で、講義、起案、起案解説等を実施したところである。

 (2)意見交換の概要
 見学した講義や上記報告の内容を踏まえつつ、参加者の自由な発言(質問、問題提起、情報提供)を基に、特定の話題に縛られない形ながら、活発な意見交換が行われた。
 その中で、多くの参加者の関心を惹いたのは、模擬裁判を中心とした「実践による学習」を法科大学院の教育にとり入れることの意義についてであった。手続の中で理論的な知識を実際に使うことを通じて理論についての理解が深まり応用力の涵養にもつながる、それまでに学習した事柄がどのような場面で活きてくるかを理解できるなど、肯定的な意見が多く表明されたものの、他方で、学生の理解度が実践を試みる水準に達していると思われないため、座学ないし基礎的知識の定着を重視すべきだという意見もあった。
 また、法学教育における「事案解決のための理論」というアプローチ、またそれに関連する、研究者教員と実務家教員との連携のあり方について、実務家の思考過程、例えば、故意、共謀、正犯と共犯の区別、などについて考える際に実務家(検察官)がどのような事実に着目しているのか、拾い出した事実とあてはめるべき法的基準とはどのような関係にあるのか(事実と規範の関連づけ)、について、学生に理解させるため、実務家自身に「実務における故意」といった授業を行ってもらう、その前提として、研究者の担当する授業に毎回実務家にも出席してもらい、授業の中で適宜コメントを求める、といった試みや、研究者による授業と並行して、実務家による起案演習を開講するといった試みが紹介された。
 そのほか、法科大学院制度を取り巻く情勢の変化もあって、法科大学院開設当初に想定していた学生像と現実の学生との乖離がより広がっており、従来のカリキュラムとのすり合わせに苦労しているが、理論面の教育については、同じ内容について繰り返しとり上げて定着を図るという方向が有効ではないか、刑事実務に対する意欲の旺盛な学生は少なくなく、必ずしも学生の関心が低下しているとは言い切れない、などの意見も出された。

3 民事系教員研修における意見交換会の概要
 1.当日の日程
 意見交換会には、各法科大学院から教員11名、法科大学院協会から委員1名および記録係1名、司法研修所から民事裁判教官3名および民事弁護教官3名が参加した(そのほか、民事裁判上席教官、民事裁判次席教官、事務局所付、民事弁護所付の計4名もオブザーバーとして参加した。)。
 冒頭、法科大学院協会の山田八千子委員(中央大学)が挨拶をし、参加者全員が自己紹介をした。その後、同委員の司会で、「法科大学院における民事法教育のあり方―導入修習との関連で―」というテーマで、意見交換を行った。

 2.意見交換の概要
 (1)報告(話題提供)の概要
 全体的な意見交換に先立って、法科大学院教員2名(研究者教員1名、実務家教員1名)および民事裁判教官1名から、それぞれ10分程度の報告が行われた。
 まず、法科大学院研究者教員(民法専攻)によって、法科大学院における民事法教育のあり方について、研究者教員の視点から「実体法と要件事実」というテーマに基づき、法科大学院2年次生の「契約法」講義における履行請求権の事例を用いた報告がなされた。研究者教員による法律基本科目としての「契約法」の授業では、基礎的な実体法教育を重視しつつも、要件事実論にも言及した授業を行っていることが紹介された。具体的には、パンデクテン方式を採用している民法典の構造を前提にして、実体法の視点から履行請求権の発生原因について説明した上で、そのような実体法の理解を前提にしつつ、履行請求権の要件事実についての説の対比を行っていることなどが報告された。昨年12月(68期)から開始された導入修習との関連では、報告者からも、民事実体法の基礎的な理解が重要であることが強調された。
 続けて、法科大学院実務家教員から、「実務家教員の視点」から報告がなされた。民事実体法科目および民事実務基礎科目における、要件事実教育のカリキュラム、使用教材と授業内容が紹介された上で、法律基本科目としての民法科目と民事実務基礎科目としての要件事実論等について、両者が有機的な連携をとることができるように、また学年が進行するにつれて理解が深まるようにカリキュラムが構成され、授業が実施されていることが報告された。導入修習との関連においては、実体法の基本的な理解を前提とした上で、要件事実論と連動する形で実体法の知識を定着させることが必要であるという認識が示された。なお、実務基礎科目の内容のうち事実認定に関しては、要件事実論と対比すれば、相対的に扱われる時間が少ないことも紹介された。
 最後に、民事裁判教官から、「法科大学院における民事法教育のあり方と導入修習の概要について」というテーマで報告がされた。司法研修所が修習生に習得を望む能力として、1)主張分析能力、2)事実認定能力、3)紛争解決能力の三つが挙げられた。主張分析については、要件事実論の基本的理解を前提にしており要件事実論は民事実体法の解釈をふまえる必要があること、事実認定については、事実認定についての基本的枠組みや理論の理解を前提にして臨床教育を実施していることが紹介された。また、導入修習の目的が、修習の開始時点で修習生に不足している実務基礎知識・能力を認識させて自学自修を促し、その後の修習を円滑に行われるようにすることにあることが説明された。

 (2)意見交換の概要
 以上の報告を受けて、法科大学院教員と司法研修所教官との間で、幅広い事項にわたり活発な意見交換が行われた。必ずしも網羅的ではないが、「実体法・要件事実論について」「事実認定について」および「その他」に分けて、主要な議論を紹介する。
 ① 実体法・要件事実論について
 a.法科大学院実務家教員から、導入修習における『新問題研究 要件事実』(研修所配布教材)の位置づけと法科大学院教育における勉強法について質問がなされた。これに対し、民事裁判教官から、法科大学院において要件事実論の基礎的な理解を得ていることを前提にして、当該教材を活用していることが説明された。
 b.法科大学院研究者教員から、民事演習科目において事実と評価との区別を学生に習得させることの困難さが報告された。これに対し、民事裁判教官からは、司法研修所教育においても、修習生が法律論に比重をおく傾向があり、具体的な事実から主要事実を組み立てることが容易ではない実情がある一方で、ヒントを与えることで気がつくことができる修習生が多いことも報告された。その上で、法科大学院で基本的な考えを習得していることを前提にして、司法修習でこれを応用して事案を解決することができるようになってほしいとされた。
 c.法科大学院研究者教員から、導入修習の実施結果に関するアンケート結果のうち、民事実体法の理解について修習生の約60%近くに不安・不足があり、導入修習を経ても不安等が解消された者は約16%であるという点について、法科大学院教育においてこの数字をどのように捉えるべきかという質問があった。これに対し、民事裁判教官から、アンケート結果は修習生の主観によるものであることが確認され、必ずしもその主観は修了生の現状を反映しているわけではないものの、他方で、現実に「できていない」修習生も一定数いることが指摘された。そして、修習生に自らの現状を気づかせるとの導入修習の目的に基づき、実務修習前に知識不足の点を自覚させて自学自修を促すように導入修習を実施していることが説明された。また、民事弁護教官からは、基本的知識が不足している者に加え、基本的知識はあるが具体的な事件記録を分析する際にその知識が十分に生かせない者もいることが指摘された。また、導入修習における民事弁護科目である民事保全・執行については、法科大学院ごとに当該科目の履修状況に差があり、消化不良となった修習生もいたという指摘がなされた。
 d.法科大学院研究者教員から、学生が民法と要件事実との連動に気がつかない傾向にあるという問題点が紹介され、民法と民事訴訟実務の基礎のコアカリキュラムの連動の必要性が指摘された。これに対し、民事裁判教官から、民法学が要件事実に反映していることを法科大学院教育においてご理解いただき、法科大学院における理論的な民事実体法教育の中で要件事実を意識した教育をしてもらえると、司法研修所における修習や修習終了後の実務において有益であり、各専門分野の個別理論だけではなく、それが裁判実務の現場でどう使われるのかを意識した授業をしてもらえるのは司法研修所として非常にありがたいとされた。
 ② 事実認定について
 a.法科大学院研究者教員から、司法研修所における配布教材『事例で考える民事事実認定』の利用法および法科大学院ではこれをどのように用いればよいかという質問がなされた。民事裁判教官から、導入修習において、同教材の内容をふまえDVDを用いた事実認定の講義を実施していること、実務修習中においても、修習生が事実認定に取り組むに際して参照されていることが説明された。そして、同教材における事実認定過程についての記載は法科大学院で要請される教育を超える部分もあり、法科大学院において同書の内容をすべて理解する必要はないものの、コアカリキュラムの対象である事実認定の基礎的知識を理解するために使用していただくことは差し支えないと説明された。
 b.a.に関連して、要件事実論と事実認定についての法科大学院教育と司法研修所教育との位置づけが確認された。すなわち、要件事実論については法科大学院教育で全体的理解を習得すべきであるのに対し、事実認定については法科大学院でその導入部分および基礎的概念を学び、司法研修所で具体的な事件に基づいた臨床教育としての事実認定を学ぶものであるとされた。なお、民事弁護教官から、民事弁護における裁判上の依頼者勝訴の観点から、生の混沌とした事実の中から依頼者に有利な法律構成を選択するにあたり、各事実の立証可能性や事実を基礎づける証拠が収集可能であるかを検討する必要があり、その作業の前提として事実認定の構造を理解していることの重要性が補足された。
 ③ その他の科目について
 a.民事訴訟法を担当する研究者教員から、演習を見学した感想として、争点・証拠整理手続の流れが十分に理解されておらず民事訴訟法の知識が使えていない印象を受けたと述べられ、その原因として、法科大学院における証拠法則の理解が不十分なのではないかという指摘がなされた。
 b.民事執行・保全の科目を担当する実務家教員からは、民事執行・保全の実務での重要性に照らして、法科大学院におけるその位置づけを検討すべきであるという意見が述べられた。その上で、現在の各法科大学院における民事執行・保全の科目の履修率に差があることをふまえ、民事執行・保全を法科大学院の必修科目にすることを検討すべきとの意見が述べられた。これに対し、民事弁護教官から、導入修習の講義において民事執行・保全の基本を知っている修習生は3分の1程度であり修習生の理解度に大きな差があるため授業進行に苦慮することもあることが紹介された。加えて、保全事件は緊急を要するため、実務家になってからゆっくり勉強するようなことでは事件処理の品質が保てないという危機感が表明された。研究者教員から、履修単位数との関係で執行・保全科目を履修しない学生がいるが、本日の議論をふまえて、学生に執行・保全を履修するように誘導するという発言がされた。
 c.商法を担当する研究者教員から、法科大学院教育において、会社の法律関係のイメージが全くわかない学生に知識を入れていくことやコアカリキュラムの利用につき苦心していること等が紹介された。

 


 

平成27年6月8日

法科大学院 関係者各位

教員研修のご案内

法科大学院協会
教員研修等検討委員会
主任 山 田 八千子

 法科大学院協会では、昨年度に引き続き、司法修習における集合修習の授業見学および司法研修所との意見交換を内容とする教員研修を実施します。
 現在、第68期司法修習生は、各地の配属庁における分野別実務修習を受けていますが、東京、大阪およびこれらの周辺の修習地で修習を受けている修習生(A班)は、分野別実務修習終了後に、司法研修所において集合修習を受けることとなっています。集合修習は、実務修習を補完し、司法修習生全員に対して、実務の標準的な知識および技法の教育を受ける機会を与えるとともに、体系的且つ汎用性のある実務知識および技法を修得させることを目的として実施されていますが、この集合修習の模様を法科大学院の教員が実地に見学し、司法修習の指導内容等に関する正確な情報を得ることは、極めて意義のあることと考えます。さらに、この機会に、司法修習との有機的な連携を踏まえた法科大学院教育のあり方等に関して、司法研修所教官と法科大学院教員との意見交換の場を設けたいと思います。法科大学院は、プロセスとしての新たな法曹養成の中核を担うべき機関として、将来の法曹にとって必要な実務上の学識およびその応用能力並びに実務の基礎的素養を涵養するため、理論的かつ実践的な教育を行うこととされていますが、今回の意見交換会では、そのような観点から、司法研修所教官との率直な意見交換を行い、その結果を法科大学院に広く還元し、今後の教育に役立てていきたいと考えております。
 以上、司法研修所のご協力を得て、下記の要領で平成27年度の教員研修を実施します。司法修習のカリキュラムの内容は随時変更されてきており、過去に教員研修に参加された方も含めて、会員校の皆様には、奮ってご参加下さいますようご案内申し上げます。

月日: 刑事系教員研修 平成27年8月28日(金)
    民事系教員研修 平成27年9月2日(水)
場所: 司法研修所
    〒351-0194 埼玉県和光市南2丁目3-8
日程(予定):
      集合:13:15
    民事系教員研修:司法研修所本館5階大会議室
    刑事系教員研修:司法研修所本館5階大会議室
    ① 事前説明       13:20~13:35
    ② 演習及び講評見学 13:40~16:35
    ③ 意見交換       16:50~18:30
見学内容(予定)
  (1) 民事系教員研修:「民事共通演習2」
修習生を裁判官役、原告訴訟代理人役、被告訴訟代理人役等に分け、弁論準備手続期日における争点整理手続を実演させる。修習生には、主張を整理した上で、主要事実レベルでの争点、重要な間接事実レベルでの争点、それらを立証する人証を明確にすることを求めており、争点整理の結果に基づいて争点の確認をするなどさせる。その後、教官から、争点整理の解説を行う。
  (2) 刑事系教員研修:「刑事共通演習1」
修習生を裁判官役、検察官役、弁護人役等に分け、公判前整理手続期日における争点及び証拠の整理を実演させる。その後、教官から、争点及び証拠の整理の講評を行う。
意見交換会
  司法修習との有機的な連携を踏まえた法科大学院教育のあり方等に関して議論すべきテーマを設け、参加者の報告又はコメントをいただき、その上で参加者全員による忌憚のない意見交換を行いたいと考えております。
なお、参考までにご紹介しますと、昨年度は、民事系では「法科大学院における民事法教育のあり方」、刑事系では「法科大学院における事実認定教育について」及び「判例法理と学説とに乖離がある(ありうる)場合に刑法理論教育はいかにあるべきか」をテーマに意見交換を実施しました。詳細はこちらを御覧下さい。
参加人数及び研修結果の還元
  司法研修所の教室のスペース及び実質的な意見交換を実施する趣旨等から、参加人数は民事系・刑事系とも各15名程度とします。もし応募人数がこれを上回った場合には、抽選により決定させていただきます。その際には、可能な限り広く、全国各地の法科大学院の教員の参加を募るという観点を加え、教員研修等検討委員会の責任において、参加者を決定させていただくことを予めお断り申し上げます。
教員研修の模様や意見交換会の内容に関する情報については、法科大学院協会ホームページ等で各法科大学院に向けてご報告する予定です。
申し込み先: 法科大学院協会事務局
    〒103-0025 東京都中央区日本橋茅場町3-9-10
    公益社団法人 商事法務研究会 内
    電話: 03-5614-5654
  申込方法: メールでお申し込み下さい。
  メール・アドレス: jals@ab.inbox.ne.jp
  記載内容: ① 件名を「教員研修参加申込み」としてください。
    ② 参加申込者の氏名、所属大学院名、希望日、担当科目、研究者教員・実務家教員の別、過去の参加歴を明記して下さい。
    ③ 意見交換会で取り上げるべきテーマを挙げて下さい。
    ④ 申込者の連絡先(電話・メールアドレス)を明記して下さい。なお、メール申し込みを受け付けますと必ず受領の返信が届くはずですが、万一返信がない場合には事務局にお問い合わせ下さい。
申込締切: 平成27年6月26日(金)
参加案内: 参加のご案内は平成27年7月10日(金)頃までを予定しております。ご希望に添えなかった場合もご連絡いたします。

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