法科大学院協会総会決議

2008年3月22日

近時、今般の司法制度改革の大前提とされていた法曹人口増員計画を見直し、新司法試験合格者数を当初の予定よりも減らそうとする動きが見られる。このような動きは、司法制度改革の趣旨に反し、その十全な実現の支障となるだけでなく、新たな法曹養成制度の中核的機関として開設されたばかりの法科大学院制度の根幹を揺るがしかねない。殊に、このような動きが法曹組織自体の内部にも見られることは、きわめて遺憾である。

このような動きの背景として、司法試験合格者の就職難など、新規法曹の受入れ態勢の問題があるだけでなく、質量ともに豊かな法曹を養成することを期待されている法科大学院の教育内容・成果についても、なお十分な信頼が得られるに至っていないという実情があることは、我々も重々承知しているところである。各方面からの厳しいご批判、ご指摘を真摯に受け止め、国民の期待に応えうる法曹を養成できる教育体制を早期に整備し安定化させることに、法科大学院関係者は全力を挙げて取り組む覚悟である。

法科大学院制度だけでなく、他の多くの改革も未だ緒に就いたばかりであり、この段階で、法曹組織自体の内部において法曹人口増員計画の見直しが進められることは、法科大学院関係者だけでなく、今般の司法制度改革に期待してその円滑な実現に協力しようとする人々の法曹組織に対する信頼を損なうものであり、法曹人口増員計画についての法曹組織内部における性急な見直しが司法制度改革を未完のままに終わらせることになりかねないことを憂慮するものである。

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