News Letter No.37 (2015年12月12日理事会及び総会報告)
法科大学院協会事務局
法科大学院協会の理事会が、2015 年 12 月 12 日(土)12 時 00 分より、同志社大学今出川キャンパス・寧静館 5 階会議室で、また、総会が、同日 14 時 20 分より、同志社大学今出川キャンパス・寧静館 4 階 31 番で開催されました。開催に当たり、会場の提供・準備にご尽力くださいました十河太朗教授をはじめとする同志社大学関係者の皆様に厚く感謝申し上げます。
以下、総会で報告・意見交換がされた事項を中心に、概要をご報告申し上げます。
総会では、まず、鎌田薫理事長(早稲田大学)から挨拶があり、法科大学院志願者の減少、司法試験合格者に占める予備試験合格者の比率の上昇、法科大学院の教育の質に関する外部からのご批判など、法科大学院を取り巻く状況は厳しいが、これまで以上に努力を重ねることにより、一層の信頼を得て、将来の日本の司法を支える中核的な法曹を育成するという役割をしっかりと果たしていけるよう、今後の法科大学院のあり方に関わるご審議を頂く極めて良い機会なので、短い時間ではあるが、会員校の皆様から是非充実したご議論を頂きたい旨が述べられました。
また、議事に先立ち、文部科学省高等教育局専門教育課の北山浩士課長より挨拶があり、(1)法曹養成制度改革推進会議決定「法曹養成制度改革の更なる推進について」(2015 年 6月 30 日)に対する文部科学省の対応として、①法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラムの見直し、②共通到達度確認試験の実施準備、③適性試験のあり方の検討、④飛び入学・早期卒業の確立または充実、⑤ICT の活用普及の促進、⑥法科大学院修了生の活動状況に関する実態調査、⑦法曹養成制度改革のための今後の連絡協議体制の整備についての説
明、および、(2)司法試験問題漏洩事案に関する政府の動きについての説明がありました。
1 人事について
大貫裕之専務理事(中央大学)より、法科大学院代表者の交代に伴い、規約 13 条 4 項に基づき以下の理事の交代があったことが報告されました。
・藤原静雄理事→小木曽綾理事(中央大学)
・洲崎博史理事→山本敬三理事(京都大学)
2 教員研修について
山田八千子教員研修等検討委員会主任(中央大学)から、平成 27 年度教員研修について、刑事は 8 月 28 日、民事は 9 月 2 日に、いずれも司法研修所において実施し、民事・刑事とも各 11 名の法科大学院教員が参加したこと、及び、来年度も同時期に開催される予定である旨の報告がありました。また、山田主任から、参加申し込みが減少しているが、集合修習の修了生の現状を知る貴重な機会であり、司法研修所のカリキュラムは随時変更されているので、会員校におかれては、過去に参加された方を含めて、教員の積極的なご参加を呼びかけていただきたいとの要望が述べられました。
3 司法試験アンケートについて
高橋直哉司法試験等検討委員会主任(中央大学)から、平成 27 年度司法試験に関するアンケート調査について、報告がありました。今年度は、全 72 校中 71 校から回答があり、ご協力頂いた会員校の皆様への謝辞が述べられました。なお、本調査の結果報告は、協会ウェブサイトに掲載済みです。
また、高橋主任から、平成 28 年司法試験アンケート調査の実施方法について、出題趣旨・採点実感・最低ライン点未満者の数等を考慮した上で回答できる形式にすることなど、いくつかの内容の変更を検討中であり、それに伴い調査時期が従来よりも遅い時期(1 月頃)となるが、ご協力を頂きたい旨の報告がありました。
4 法曹養成制度改革推進会議決定に対する協会の意見書の公表について
大貫専務理事から、法曹養成制度改革推進会議決定「法曹養成制度改革の更なる推進について」(2015 年 6 月 30 日)に対する意見書を公表するに至るまでの経緯について、最終的に、会員校から文案の修正を求めるご意見はなく、9 月 1 日付で協会ホームページにおいて公表し、最高裁判所、法務省、文部科学省、日本弁護士連合会にも送付した旨の報告がありました。
5 エクスターンシップ支援・促進プログラム、第 3 回修了生就職動向調査報告について
浜辺陽一郎修了生職域委員会主任(青山学院大学)から、経営法友会とのエクスターンシップ支援・促進プログラムの内容について、報告がありました。これは、エクスターンシップの受入れ先企業を探している法科大学院の情報を、協会と経営法友会を介して企業側に伝達することで、法科大学院と企業間の個別交渉の契機を提供しようというものです。
また、浜辺主任から、第 3 回修了生就職動向調査の結果について、報告がありました。本調査の結果報告は、協会ホームページに掲載済みです。
6 「法科大学院がわかる会」の実施報告および平成 28 年度の取組みについて
松下淳一事務局長(東京大学)から、全国 10 会場におけるキャラバン企画「今、なぜロースクールで学ぶのか ☆列島縦断リレー☆法科大学院がわかる会 2015」の実施について、報告がありました。最高裁判所と法務省には裁判官・検察官の講師の派遣・推薦を、日本弁護士連合会には多大なマンパワーのご提供を頂いたことに謝辞が述べられるとともに、来場者の満足度は総じて非常に高かったことなどが紹介されました。
また、松下事務局長から、平成 28 年度も一部見直しつつ継続して実施する旨の提案があり、質疑応答の上で承認されました。なお、共催団体である日本弁護士連合会の事務総長付特別嘱託椛嶋裕之弁護士から、各大学においてより積極的に学部学生に参加を勧めてほしい旨の依頼がありました。
7 協会ホームページについて
北居功広報委員会主任(慶應義塾大学)から、協会のホームページを見直し、インターフェイスを変えて多様な方に関心をもってもらえるように、業者と協議中であることが報告されました。また、今後は、修了生の活躍情報を掲載した各会員校のページへのリンクを貼る形で、修了生の活躍を紹介していく予定であり、その際には各会員校にご協力を頂きたい旨依頼がなされました。
8 司法試験問題漏洩に対する協会としての対応について
はじめに、大貫専務理事から、司法試験委員会による各法科大学院への定期試験問題等の提出依頼に関し、提出された試験問題等は司法試験の問題作成のためだけに用いられるように配慮を求める等の申入れを行ったことが報告されました。また、明治大学の元教授による司法試験問題の漏洩の件に対する協会執行部による直近の対応が説明されました。
続いて、明治大学の河内隆史法科大学院長より、この件に関して謝罪と事実の経緯について報告があった後、大貫専務理事から、法科大学院協会として、明治大学に対し、以下のような厳重注意を行うことが提案され、承認されました。これに基づいて、明治大学に対し、
以下の内容による厳重注意が行われました。
当協会としては、司法試験問題漏洩の件について、明治大学に対して、事実関係を解明した上で大学として再発防止策を講じることを要請する。 |
さらに、大貫専務理事から、司法試験問題漏洩の件に関する協会の意見を決議する旨、原案と共に提案があり、承認されました。決議文の最終的な調整は執行部に一任されました。
この意見は、協会ホームページにおいて公表済みです。
最後に、大貫専務理事から、司法試験問題漏洩の再発防止策を中心に会員校で意見交換を行うオープンな機会を設けることが理事会において決定されたことが報告され、総会においても承認されました。その後、フロアからも複数の意見が出されました。
9 その他
(1)適性試験について
藤本亮入学者選抜・適性試験等検討委員会主任(名古屋大学)から、来年度の適性試験は5 月 29 日と 6 月 12 日に、昨年同様の 14 地区で、各 2 回ずつ(ただし、熊本会場は 5 月 29日のみ)実施される旨の報告がありました。
また、適性試験のあり方について、適性試験管理委員会および中教審法科大学院特別委員会においてそれぞれ検討がなされていることが報告され、適性試験を含め、入学者選抜制度全体についてエビデンスに基づいた検討を進めるために、各会員校における検証も可能な限り進めて頂くよう協力依頼がなされました。
(2)その他報告事項
大貫専務理事から、前回 5 月 30 日総会以降の活動につき、資料を参照されたい旨説明がありました。主な活動は以下の通りです。
①日本弁護士連合会司法試験シンポジウム「司法試験の更なる改善に向けて」(2015 年12 月 5 日開催、弁護士会館 2 階講堂「クレオ」BC)
②官報(司法試験合格者名簿掲載)の予約購入情報の提供
③法科大学院協会と日弁連執行部との意見交換会(7 月 28 日・9 月 24 日・12 月 9 日、弁護士会館)
④法科大学院協会と司法研修所との意見交換会(10 月 29 日、早稲田大学)
最後に、大貫専務理事より、次回総会は 2016 年 5 月 14 日(土)に、本総会と概ね同様の時間帯で開催する予定であり、会場(東京を予定)を含め、詳細は追ってご案内する旨の報告がありました。