News Letter No.5 (2004年10月29日臨時理事会報告)

法科大学院協会事務局

臨時理事会議事録

法科大学院協会臨時理事会が、平成16年10月29日(金)18時より、アルカディア市ヶ谷(私学会館)で開催された。

出席者: 佐藤幸治(理事長代行)、
川村正幸(副理事長)、
田中成明(専務理事)、
永田眞三郎、伊藤眞、加藤哲夫(以上、常務理事)、
磯村保、大村雅彦、奥島孝康、多田利隆、中森喜彦、平良木登規男、深田三徳(以上、理事)、
中谷実、前田重行(以上、監事)、
小島武司(教員研修等検討委員会主任)、
井上正仁(司法試験等検討委員会主任)、
田口守一(臨床系教育等検討委員会主任)、
山野目章夫(事務局次長)、
中川丈久、笠井正俊(以上、常務委員)

議題は次のとおりである。

1 新司法試験の検討状況について
(1)司法試験等の検討体制について
(2)司法試験合格者数について
2 その他 適性試験の実施主体について

冒頭、司会の田中成明専務理事より、議題1に関し、本日の臨時理事会は、平成18年の新司法試験と現行司法試験の合格者数をそれぞれ800人とする素案が検討されているとの新聞報道等にかんがみ、司法試験合格者数について法科大学院協会としての対応を審議することを主な目的とすること、および、最初に法科大学院協会における司法試験等の検討体制について井上正仁司法試験等検討委員会主任から報告と提案を受けて審議し、その後、司法試験合格者数について審議することが提案され、これらを了承。

1 新司法試験の検討状況について

(1)司法試験等の検討体制について
法科大学院協会における司法試験等の検討体制について、井上司法試験等検討委員会主任から次のとおり、報告と提案があった。
「新司法試験の合格者数、および、旧試験との合格者数の配分の問題については、法科大学院の存立そのものに実質的な影響を及ぼす事項であり、法科大学院協会としても、全組織をあげて取り組むべき最重要事項であるといえる。そのことからすると、一委員会のレベルで対処すべきものでも、また対処し得るものでもなく、理事会のレベルで対処すべき事項であると考えられるので、理事会の中に理事を中心とした特別部会を作って協議した上で、理事会に提案して、協会としての基本方針や対応を決定するものとする。
司法試験等検討委員会は、これとは別に、会員校に属する各専門分野の法科大学院教員を構成員として、上記基本方針や会員校から寄せられる意見等を踏まえつつ、新司法試験の科目の選定や問題の形式・内容、試験実施の時期・日程や方法等、新司法試験にかかる具体的事項について調査検討を行い、協会として必要な措置や対応があれば、それを理事会に提案する。併せて、新司法試験制度について、関連諸機関との連絡に当たり、随時、必要な情報を入手して、各会員校に提供するものとする。」
以上の報告と提案を受け、審議した結果、提案のとおり承認した。
そして、理事会の中に置く特別部会の委員として、次の者を選任した。

磯村保(理事)、伊藤眞(常務理事)、井上正仁(司法試験等検討委員会主任)、大村雅彦(理事)、奥島孝康(理事)、田中成明(専務理事)、永田眞三郎(常務理事)、平良木登規男(理事)《氏名五十音順》

(2)新司法試験合格者数について
山野目章夫事務局次長より議題と資料の説明があった。
九州・沖縄地域法科大学院協議会(仮称)準備会の「新司法試験合格者定員問題についての緊急アピール」について多田利隆理事より、関西の4研究科長の「要望書」について深田三徳理事より、法科大学院関係者有志の「新旧司法試験合格者数に関する声明」について大村雅彦理事より、それぞれ説明があった。
田中専務理事より、そのほかにも、日本弁護士連合会会長、司法改革国民会議、第二東京弁護士会会長からそれぞれ、声明が発せられていることについて、報告がされた。
そして、これらをもふまえ、法科大学院協会として、司法試験合格者数について、どのように対応するかを審議した結果、次の①、②のとおり決定した。
① 別紙のとおり、「新司法試験合格者数についての要望 ~国民は法曹養成に何を望むか 《3つの視点・5つの要望》」を公表し、司法試験委員会、法務省事務当局その他の関係方面に対して、これに沿って要望をしていく。また、これを速やかに会員校に提示する。
② 今後速やかに、この文章についての「補足説明」を起案し、理事の持ち回りで「補足説明」をとりまとめた上、それを会員校に提示するとともに、公表する。

2 その他 適性試験の実施主体について

田中専務理事より、「その他」として、適性試験の実施主体について議題とすることの提案があり、これを了承。
川村正幸副理事長(入学者選抜・適性試験等検討委員会主任)より、同委員会として、前回理事会の協議をふまえ、文部科学省に対し、大学入試センターの適性試験が今後とも維持されるような施策を構ずるべきであることなどを要望して、同省と協議を進めていることの報告があり、理事会としてこれを了解。

以 上

 

新司法試験合格者数についての要望 ~国民は法曹養成に何を望むか
≪3つの視点・5つの要望≫

2004年10月29日
法科大学院協会 理事長代行 佐藤幸治

I 3つの視点

第1は、国民のための法曹養成という視点を踏まえることである。
第2は、法科大学院は、国民の意思を代表する立法府によって法曹養成制度の中核として位置づけられていることである。
第3は、司法修習は、法曹養成プロセスの仕上げであって、司法試験合格者数を規定する制約条件ではないことである。

II 5つの要望

第1に、できる限り速やかに法曹養成制度の中核として法科大学院を機能させる条件整備を行うべきである。
第2に、司法制度改革審議会意見書が法科大学院修了者の7、8割を司法試験に合格させるような制度設計を求めていることの意義を認識すべきである。
第3に、平成22年(2010年)頃までに法曹資格取得者の数を3000人程度に増加させるとされたことは、「計画的にできるだけ早期に」達成すべき目標であり、3000人を絶対的な上限として設定したものでないことを確認し、将来における検討の余地を残すべきである。
第4に、新司法試験の毎年の合格率の均一化に過度にこだわるべきではない。
第5に、以上に述べた4つのことを前提として、司法制度改革推進本部法曹養成検討会における平成15年12月の意見の整理をふまえ、平成18年(2006年)の司法試験合格者数は、現行司法試験について500人~600人程度、新司法試験について1000人程度以上とし、平成19年(2007年)以後は、現行司法試験合格者数を漸次ごく少数に抑え、法科大学院における法曹養成教育の成果を見定めつつ、新司法試験合格者数を大幅に増やす方向で検討すべきである。

新司法試験の合格者枠の拡大を求めることについて、ともすれば法科大学院関係者の権益拡張の主張のように受け止める声も聞かれないではない。しかし、法科大学院制度は、国民の意思を代表する立法府によって、法曹養成制度の中核として位置づけられているものであり、新司法試験が今後の法曹養成にとって中心となるべきことには、異論の余地はないはずである。また、全国の法科大学院は、決して大学関係者のみの力によって出来上がったものではなく、法務省、裁判所および弁護士会という法曹三者、さらに地方自治体、地域の経済団体など、様々な機関や団体が大学関係者と協力して開設されたものである。全国の法科大学院をもって組織される法科大学院協会としては、研究者教員、実務家教員、そして法科大学院に学ぶ全学生の総意を代表して、新司法試験合格者枠についてさらに検討を続けられるよう、関係方面に対して強く要望するものである。

以上

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