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News letter No.20(2008年6月7日理事会、総会及び委員会報告)

法科大学院協会事務局

2008年6月7日(土)11時より、立命館大学朱雀校舎中川会館2階217号室において理事会が開催されました。また、同日13時より同会館4階ホールにおいて法科大学院協会総会が開催されました。総会に引き続き、幾つかの委員会が同会館2階各教室において開催されました。開催に当たり会場の御提供・御準備に御尽力くださいました市川正人理事はじめ立命館大学関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。
総会では、後藤昭常務理事の司会の下、以下の事項について報告と提案がなされ承認されました。
なお、議事に先立ち、文部科学省高等教育局専門教育課の藤原章夫課長から挨拶があり、中教審法科大学院特別委員会の下に、法科大学院の教育の質の保証に関するワーキング・グループを2つ設け、第1ワーキング・グループは入学者の質の確保に関する検討、第2ワーキング・グループは修了者の質の確保に関する検討を各々開始したこと、近く2つの調査(入学者選抜方法に関する調査、法科大学院での成績と司法試験の成績との相関に関する調査)を行うこと等、文部科学省の検討状況等が紹介されました。
また、総会の終盤には青山善充理事長より法科大学院教育を取り巻く最近の状況に関する見解が示されました。
以下、総会で審議・決定された事項を中心に概要を御報告申し上げます。

1 準会員辞退の件

札幌大学から準会員を辞退したい旨の申出があり、理事会にて承認されました。

2 平成19年度決算の件

浦川道太郎財務担当理事より、決算案が説明され、野坂泰司監事からの監査報告がなされた後、異議なく承認されました。

3 特別顧問・顧問委嘱の件

佐藤幸治・前理事長に特別顧問を、田中成明・前副理事長と納谷廣美・前副理事長に顧問を委嘱することが青山理事長より提案され、異議なく承認されました。
なお、顧問推挙・委嘱解除の基準等について中森喜彦副理事長を中心に検討することとなりました。

4 法曹養成制度の在り方に関する連携協議の件

法科大学院協会、文部科学省及び法曹三者による五者協議会の構成員として、田中成明前副理事長の後任に井上正仁常務理事が、同協議会の下に置かれる幹事会の構成員として長谷部恭男理事の後任に大貫裕之事務局長が、それぞれ理事会の承認を経て就任した旨報告され、異議なく承認されました。
また、連携協議委員会主任に大澤裕教授(東京大学)が就任したことが報告され、引き続き大澤主任より、連携協議の進行状況として、五者協のもとで行った2007年新司法試験に関する調査結果が間もなく公表される予定であること、2008年新司法試験に関する調査は協力校を20校に拡大して実施する方針であることが報告されました。

5 専門委員会主任人事の件

法科大学院修了者職域問題等検討委員会主任には青山善充前主任(現理事長)に代わり、浜川清理事が、入学者選抜・適性試験等検討委員会主任には川村正幸教授(一橋大学)に代わり、松村良之教授(千葉大学)が、カリキュラム等検討委員会主任には、磯村保教授(神戸大学)に代わり、山本和彦教授(一橋大学)が、連携協議委員会主任には、山野目章夫教授(早稲田大学)に代わり、上述の通り大澤教授が各々就任することが報告されました。

6 教員研修等の件

教員研修等検討委員会田口守一主任から、司法研修所における旧62期前期修習の参観研修状況、及び新61期集合修習を素材とする教育研修を実施する方向で司法研修所と日程調整中である旨報告がされました。

7 法科大学院修了者職域問題の件

法科大学院修了者職域問題検討委員会浜川主任より、修了者の職域開拓にかかる現状把握及び検討課題について報告がなされ、あわせて、委員会の名称をキャリアプラニング問題等検討委員会へ変更することを検討したい旨の発言がありました。また、鈴木修一委員より、ジュリナビについて5月にホームページを立ち上げて以来、毎日約100名が新たに登録していること、企業・官公庁からのニーズも望める感触であること等が報告されました。

8 事務局次長交代の件

中山幸二教授(明治大学)から清水真教授(明治大学)への交代が報告され、異議なく承認されました。

9 適性試験検証の件

適性試験検証ワーキング・グループの笠井正俊主査から、適性試験と学業成績の相関関係の調査について、関係機関とも協議した結果、今後は2~3年に1回といった頻度で実施することが考えられるので、本年度は実施しないこととしたい旨報告され、異議なく承認されました。

10 司法試験に関するアンケートの件

司法試験等検討委員会中森主任より、各法科大学院に今年度の司法試験に関するアンケートへの協力を要請中である旨報告されました。

11 大学入試センター適性試験協力依頼の件

入学者選抜・適性試験等検討委員会の松村良之主任より、大学入試センターによる適性試験について、同センターから出題委員推薦の依頼があった際には御協力をお願いしたい旨の報告がありました。

12 法務省が実施するインターンシップの件

例年通り法務省が実施するインターンシップについて、後藤常務理事よりこれまで通り応募学生のとりまとめ等にご協力をお願いしたい旨の依頼がありました。

13 法科大学院を取り巻く最近の状況に関する件

大貫裕之事務局長より、法曹養成制度の見直しに言及する提言等が5月下旬以降、政界で見られることについて、報告がありました。また、これを受けて総会参加者間で意見交換がなされ、以下のような青山善充理事長の所感が示されました。
理事長所感(理事長所感「法科大学院を取りまく現状について」は、http://www.lawschool-jp.info/press/press06.htmlをご覧ください)。
現状の認識として、①法曹の給源が新司法試験合格者へシフトしているという状況の進行と、②法科大学院等に対しての一部からの厳しい批判等がある。
これだけの大きな司法制度改革において、ある程度の反対の声が出るのは当然であり、目先の反応にいちいち神経質に対応する必要はない。しかし、同時に、既定方針だということで、放っておいても大丈夫だというわけではない。現在のネガティブ・キャンペーンがこれ以上大きな波になった場合の危険性も考え、過剰反応ではない対応が必要である。具体的には、2つの対応が必要である。
第1に、法科大学院の成果等を社会に発信し、PRしていくべきである。これは、一片の声明ということではなく、もっと根拠のあるデータを示したうえでの反証が必要となるのではないか。PRは、法科大学院協会の仕事でもあるが、しかし、同時にどのような法曹を育てるのかということは、各法科大学院の理念でもあり、それぞれの法科大学院の生き残りをかけた戦いとなるという自覚をもってほしい。
第2に、初期誤作動といったものがあるとすれば、それを修正していくべきである。入り口から出口まで、ここでは多くの問題が残っていると感じている。①入学者選抜の問題として、各法科大学院はその厳しい教育に耐えられる者を厳選して入学させているか、定員割れを恐れて、教育に耐えられない者まで入学させていないか、②FD活動等により、質の高い授業等をきちんと実施しているだろうか、③修了者に要求される高い水準の質を維持するための厳格な成績評価をGPA基準の設定その他の方法で実施しているのだろうか、といった視点である。法科大学院は修了者を粗製濫造しているのではないかという疑いがかけられているが、粗製濫造ではないということを我々の側で証明していかなければならない。また、④修了生や司法試験合格者が就職できないという声に対して、どのように対応するのかについても、考えていくべきである。我々は合格者の活躍の場を、裁判所で働く法曹三者に限定しすぎてきたのではなかろうか。この点を反省すべきではないか。
これらは、一部からの批判があったからではなく、もう一度司法制度改革の理念に照らして、法科大学院の現状を直視し、検討するべき時期になっているのではないだろうか。

14 各方面との意見交換

後藤理事より、最近の法科大学院をめぐる状況と関連して、法曹人口問題を中心とした日弁連執行部と協会執行部との意見交換が6月10日に、河井克行法務副大臣と協会執行部との意見交換が6月12日に、行われる予定であることが報告されました。
また、司法修習と法科大学院教育との有機的連携をどのように確保するかという問題について司法研修所と協会執行部とのインフォーマルな意見交換の機会を設けることにしたことがあわせて報告されました(その後、7月14日(月)に行われることが決定されました)。

15 次回総会、理事会、シンポジウム等について

標記について、後藤理事より下記の方針であることが報告されました。
次回総会は、2008年12月6日(土)午後早稲田大学で開催し、あわせて午前中に理事会、総会後にはシンポジウムを開催すること。
シンポジウムは、法科大学院をめぐる状況に鑑み、たとえば「法科大学院の着実な発展のために何が必要か?」という主題を掲げ、開校後5年目に入った法科大学院が理想を実現できている点とできていない点とを確認し、改善のための方策を見定めることを目指すこと。
また、実務基礎科目の明確・標準化に関するシンポジウムは、今年度の3月に行うこと。

 

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