News Letter No.57(2024年11月30日〔土〕理事会及び総会報告)
法科大学院協会事務局
法科大学院協会の理事会が2024年11月30日(土)13時より、また、総会が同日15時より、いずれもzoomによるオンライン方式で開催されました。
以下、総会で審議・報告された事項を中心に、概要をご報告申し上げます。
総会では、議事に先立ち、松下淳一理事長(学習院大学)から次の通り挨拶がありました。
「ご参集いただき感謝申し上げる。挨拶として、2点に触れる。第一に、今月6日に今年の司法試験の合格発表があった。昨年は受験生が2学年分いるという特殊な状況だったが、今年はその影響が薄れ、今後の動向を見る第一歩となったと考える。合格者数や合格率、特に在学中受験の合格率や法曹コース出身者の合格率には多様な見方があるだろう。引き続き注視し、問題が生じた際には協会として適切な対応を検討する必要がある。会員校の意見や情報提供を引き続きお願いしたい。第二に、司法試験のCBT(パソコン受験)が令和8年7月に初めて実施される予定で、現在約1年8か月後に迫っている。しかし、試験の詳細な情報提供が十分ではないように感じる。現在の未修者1年生が在学中にCBTで受験する可能性があるにもかかわらず、情報が不足しているのは問題である。協会としては引き続き法務省に働きかけ、情報提供の促進に努める予定である。昨日付でQ&Aを追加したが、不明な点が依然として多く、今後も会員校への情報提供に全力を尽くすつもりである。」
次に、遠藤翼・文部科学省高等教育局専門教育課専門職大学院室長より、以下の通り行政説明がありました。
・中央教育審議会における今期(第12期)の審議は、令和5年6月にスタートし、それ以降、法曹の人材像や法科大学院教育のあり方について審議が行われてきた。特に、法科大学院における特色ある取り組みや、新たに導入された「3+2」制度に関連する司法試験の在学中受験の状況についても、さまざまな意見が交わされている。また、「3+2」制度の実際の運用状況や司法修習との連携のあり方、女性の法曹活躍、国際的な業務に携わる学生向けの取り組みなどについて、各大学から報告があった。これらの審議は10月25日まで行われ、次回の審議は12月20日に予定されている。
・法科大学院制度が発足から20年を迎え、これまでの制度の意義がどのように現状に継承されているか、またこれまでの審議結果や提言をもとに、どのような制度改正が行われてきたかを振り返り、総括したいと考えている。具体的には、法科大学院教育の内容、入学者数、司法試験合格率などの推移を踏まえた評価や、法曹人口の拡大や法曹の活動領域の広がりについても論点として審議している。
・今後の課題としては、法科大学院教育の魅力・特色ある取組みの推進、「3+2」制度の円滑な実施、多様な法曹志願者の確保と未修者教育の充実が挙げられる。また、法科大学院教育を担う教員・研究者の養成・確保方法についても議論が行われている。さらに、法科大学院教育と司法修習との連携強化が、今後の重要な課題として取り組まれている。
・さらに、令和6年度司法試験の在学中受験に向けた教育課程の工夫や、法曹コースの実態調査の結果についても、各大学の協力を得ながら進められている。中央教育審議会の議論を踏まえ、今後の法科大学院制度が次の20年に向けて進化していくための取り組みが引き続き進められる予定である。
1.会員・準会員の入退会に関する件
石田専務理事より、本年6月の総会以降、会員・準会員の入退会に関して、報告すべき事項、審議事項はないことが確認されました。
2.人事に関する件
石田専務理事より、人事に関する件について、次の通り報告がありました。
「本年6月の総会以降、法科大学院長の交代に伴う被選考理事の交代など、人事に関する報告事項や審議事項はない。関連して、専門委員会の構成については、今年6月の理事会・総会では、いくつかの委員会で委員の補充を調整中であることを説明し、専門委員会主任の助言を受けて理事長が委員を選任し、理事会に報告する内規に基づき対応を進める旨、一任いただいた。その結果を以下の通り報告する。司法試験等検討委員会の国際公法分野については、慶應義塾大学の青木節子先生の後任が未定であったが、このたび早稲田大学の古谷修一先生が就任することとなった。古谷先生には引き続きご協力をお願いする。」
3.今年度のキャラバン企画について
石田専務理事より、今年度のキャラバン企画について、次の通り報告がありました。
「『列島縦断☆ロースクール説明会&懇談会(キャラバン)』の実施状況について報告する。2024年度のキャラバンでは、4月20日(土)に東京会場(全国版)がオンラインで実施され、約350名が参加した。また、6月23日(日)には東北会場(東北大学)にてハイブリッド形式で開催され、約85名が参加した。この企画は、共催団体である日弁連の多大な協力によるものであり、深く感謝する。また、文部科学省、法務省、最高裁判所の後援を受け、法務省および最高裁から検察官・裁判官の講師派遣に関する支援を得ている。関係各位の協力に対し、重ねて感謝の意を表する。」
4.令和7年度(2025年度)のキャラバン企画について
石田専務理事から、標記の件について、次の通り説明がありました。
「昨年12月の総会で、2024年度以降のキャラバンの実施方法について諮り、承認を得た。その内容は、❶全国版法科大学院オンライン説明会を継続して実施する、❷全国各地の会場に対する予算措置を廃止すること、❸裁判官・検察官派遣依頼の手続については従来どおり事務局が担当すること、❹全国版キャラバンについては簡素化・合理化を図り、第2部に関してはZoomや資料共有クラウドの準備を各校で行い、それを参加者に共有する形とし、業務量や予算の削減を目指すこと、❺第2部では法科大学院以外に、実務家のブース、JILA(日本組織内弁護士協会)や女性法律家協会その他の参加団体があることから、参加団体の拡充を図りつつ、必要に応じてZoom対応など技術的な支援も行うということである。今年のキャラバンは、改善の余地があるものの、アンケート結果では参加者の満足度が高く、実施する意義が引き続き認められる。これを踏まえ、次年度も同様の方針で進めていくことを予定している。」
5.各専門委員会からの活動報告
(1)カリキュラム等検討委員会「未修者教育に関する取り組みについて」
カリキュラム検討委員会小池信太郎主任より、次の通り報告がありました。
「カリキュラム等検討委員会は、未修者基礎教育検討小委員会とコア・カリキュラム等検討小委員会に分かれて活動している。未修者基礎教育検討小委員会では、大阪大学の片桐直人委員長のもと、同大学での「憲法基礎1(人権)」の授業を通じて、ICTコンテンツを活用した反転授業が実践されている。今年度は教育工学研究者による授業アンケートや受講者インタビューが実施され、近く論文として公表される見込みである。また、この授業の成果と課題について神戸大学法科大学院のFD研究会で報告する機会も得られた。こうした活動を小委員会の今後の取り組みに活かしていく考えである。コア・カリキュラム等検討小委員会では、中央大学の宮下修一委員長のもと、各法科大学院でのコア・カリキュラムの利用状況に関するアンケート調査を計画しており、年内には具体的な段取りを決定する予定である。これらの活動を執行部と連携しながら、さらに具体化していく方針である。」
(2)修了生補助教員ネットワーク委員会「修了生補助教員ネットワーク委員会の活動状況について」
修了生補助教員ネットワーク委員会高須順一主任より、次の通り報告がありました。
「2021年度に本委員会が設置されたのは、文部科学省の委託研究事業「補助教員の組織的・機能的な活用に関する調査研究」を、一般社団法人法曹養成ネットワーク(以下、プレネット)と協力して遂行するためであった。調査研究の終了後、報告書を文科省に提出し、以降の本委員会の活動はプレネットの各種事業を後方支援するものに限定されている。2024年4月にプレネット主催で開催された「プロボノマッチング2024」では、本協会が文科省や日弁連とともに共催したことを、今年6月の総会で報告した。その後、プレネットでは新たな企画を検討中であり、本委員会としてもこの半年間は特段の実質的活動を行っていない状況である。しかし、補助教員の活用は法科大学院の安定的・継続的運営に欠かせないものであり、補助教員同士が情報を共有し、スキル向上のためのネットワークを構築する意義は引き続き大きい。当委員会としても、今後ともプレネットの活動を支援しながら、補助教員の活動を応援していく方針である。以上が、前回総会以降の活動状況に関する報告である。協会加盟の法科大学院関係者には、引き続きご支援とご協力をお願いする。」
(3)司法修習連携等検討委員会「司法修習との連携について」
司法修習連携等委員会和田俊憲主任の報告を、司会が代読しました。
「司法修習連携等検討委員会は、司法研修所との意見交換会を中心に活動を続けている。前回総会以降、7月と10月にオンライン形式で意見交換会を実施し、法科大学院と司法研修所双方の参加者が、授業科目に関する情報共有と議論を行った。昨年度は「不動産物権変動」や「強盗罪」「共謀の認定」など、民事・刑事の重要テーマを毎回設定し、法科大学院と司法研修所の授業内容を比較して教育の在り方を検討した。しかし、本年は在学中受験の1期生が司法修習を開始した年であることから、共通テーマ方式を休止し、「民事模擬裁判」の科目を中心に、在学中受験がカリキュラムや授業内容に与える影響や、法科大学院3年後期と導入修習の連続性を確認する議論を行った。さらに、司法研修所の民裁教官室が作成した予習用教材「ユリイカ要件事実」の紹介を受け、意見交換を行った。この教材は裁判所のWebサイトで公開されており、法科大学院の授業などでの利用が期待される。次回の意見交換会では刑事科目に焦点を移し、「刑事模擬裁判」を題材に情報共有と意見交換を行う予定である。この機会は、司法修習生や他法科大学院の状況を把握し、司法研修所に教育内容に関する意見を直接伝える貴重な場となる。多くの会員校の積極的な参加を期待しており、校内での情報共有や参加促進への協力を求める。」
(4)司法試験等検討委員会「司法試験アンケートについて」
司法試験等検討委員会堀田周吾主任の報告を、司会が代読しました。
「令和6年司法試験に関するアンケート調査は、11月の合格発表および出題趣旨の公表後に例年通り実施しており、回答期限は12月9日(月)である。各校には毎年の協力をお願いしており、調査の趣旨を理解した上で引き続きの支援を求める。また、司法試験シンポジウムが日本弁護士連合会との共催で2025年2月15日(土)午後、弁護士会館にて開催される。今年のテーマは「司法試験と法科大学院教育~受験生の視点を踏まえて~」であり、在学中受験やCBT化といった制度変更が司法試験や教育に与える影響について議論を行う予定である。Zoomによる参加も可能であり、詳細な申込方法は決定次第メーリングリストで案内する予定である。」
(5)入学者選抜・共通到達度確認試験等検討委員会「共通到達度確認試験の実施について」
入学者選抜・共通到達度確認試験等検討委員会藤本亮主任の報告を、司会が代読しました。
「現在、共通到達度確認試験の第1回から第4回受験者を対象とした3回目の追跡調査が実施されている。この調査は司法試験合格発表後、共通到達度確認試験管理委員会より各法科大学院へ依頼され、各校には過去の記入済みデータや新たに対象となる第4回受験生の受験番号が記載された調査シートが送付されている。締切は12月18日(水)であり、分析結果は例年通り年度内に各法科大学院に提供予定である。忙しい中での協力を引き続きお願いしたい。また、第6回共通到達度確認試験は2025年1月12日(日)に実施予定である。この試験の実施に際し、各法科大学院の多大な支援と協力に感謝するとともに、引き続き円滑な実施への協力を求める。特に、解答用紙のマークミスや未記入項目、訂正不足が採点に支障をきたす可能性があるため、発送前の確認を徹底していただきたい。解答用紙返送後の訂正はできないことも留意が必要である。なお、共通到達度確認試験は、日弁連法務研究財団の財政的支援を受けて運営が成り立っており、改めて感謝を申し上げたい。」
(6)臨床系教育等検討委員会「臨床系教育等検討委員会での取り組みについて」
臨床系教育等検討委員会宮城哲主任の報告を、司会が代読しました。
「臨床系教育等検討委員会は、2024年度の活動方針として「法科大学院における臨床系科目のコア・カリキュラムのあり方」に関する検討を進めている。今後、検討の過程で協会加盟校各位の協力をお願いする場面が出てくる可能性があるため、引き続きご理解とご協力をお願い申し上げる。」
(7)修了生職域委員会「修了生の職域拡大のための取り組みについて」
修了生職域委員会米田憲市主任より、次の通り報告がありました。
「修了生職域委員会は、今年度の取り組みとして3つの点について報告する。まず、①関係組織との情報交換・意見交換について、経営法友会の協力を得て東京三会と組織内弁護士協会との意見交換を行った。その結果、司法試験合格者だけでなく未合格者にもニーズがあることが明らかとなり、連携法曹養成基礎課程や在学中受験制度に対する認識不足が浮き彫りになった。また、多くの法科大学院でカリキュラムが司法試験対策に偏っていることへの懸念も示された。次に、②法曹の人材市場状況の把握については、ジュリナビの修習生就職情報調査が終了し、その後のデータ収集が滞っているため、今後のDBPMによる取り組みに向けて予算面での手当てなどができないか、検討をお願いしたい。最後に、③法曹養成連携基礎課程や在学中受験制度導入後の司法試験合格者数や就職活動の動向に基づく修了生への職域情報提供については、具体的な対応が進んでいない。就職説明会や企業法務担当者との交流会は行われているが、実際に就職活動を必要とする修了生に情報が届くかは各法科大学院の取り組みに依存しており、改善が求められる。委員会は、企業法務や公務領域への進出を促進してきたが、売り手市場における就職活動の早期化を踏まえ、既存の職域とのバランスを考慮した人材輩出先の多様化が必要だと感じている。引き続き理解と協力を求める。」
(8)広報委員会「法科大学院協会からの情報発信について」
広報委員会小林学主任の報告を、司会が代読しました。
「まず、キャラバンについてであるが、先の報告にもあったように、6月23日に東北会場で開催され、盛況のうちに終了した。関係者の協力に深く感謝する。次に、協会HPについてであるが、引き続きその内容の充実および情報の周知に努める。会員校・準会員校においては、学部生などへの広報活動にも積極的に活用していただきたい。協会HPのコンテンツの一つである『ロースクール授業風景』を新しくする方向で作業を進めており、詳細については別途案内する。また、関係機関との連携強化の一環として、法曹の魅力を発信するための検討も引き続き進めている。今後も広報活動に力を入れていくので、広報に関する意見やアイデアがあれば、ぜひお寄せいただきたい。」
続けて、石田専務理事より、次の通り説明がありました。
「以上の報告にもあったように、協会HPの動画コンテンツである『ロースクール授業風景』のリニューアルについて、作業が進んでいる。今回、この動画は全国版のキャラバンでも使用することが決まっているため、実際の動画撮影作業などについては多少のご負担をおかけすることになるが、もし紹介動画の収録を希望される会員校があれば、その旨をお知らせいただきたい。」
6.司法試験CBT化について
磯部事務局長より、標記の件について、次の通り報告がありました。
・8月以降の動向として、法務省によるQ&A形式での情報提供が進んでいる(第一弾が8月2日、第二弾が11月29日)。第二弾では新たに、CBT体験版が2025年4月ごろに公開予定であること、試験操作マニュアルの提供を予定していること、マウスの使用が可能であること、試験形式の詳細(例:現段階で想定されている画面のイメージ)などが明らかにされている。
・2025年3月頃にプレテストの実施が予定されており、受験生が試験形式になれるための重要な機会と位置付けられる。参加者にはアンケートに協力をいただき、システムの使用感等についての感想を回収し、法務省に伝達したい。プレテストについては、LS現役生だけでなく修了生や学部生等を含め、できるだけ幅広く多くの参加希望者が参加できる開催方法を検討したいと考えている。なお、法務省から、プレテストの実施方法(自宅受験や法学部生の受験の制限)やアンケートの集計方法については、各大学が適宜に判断してよいとの回答が得られている。ただ、実施後のアンケートについては、各大学が個別の判断で行うより、統一的なフォームを協会で準備したほうが各校の負担が減り、内容の分析もしやすくなるのではないか。アンケートのあり方や活用の仕方については今後検討していきたいので、ご意見をいただきたい。
・司法試験CBT化に向け、令和7年度から、法科大学院での定期試験や中間試験等をCBT化対応し、受験予定者に体験して慣れてもらい、経験知を上げる必要がある。しかし、そのためにどこから何に手をつけたらよいのか、何を考えるべきかがよく分からないという声も上がっている。そこで、2024年10月15-16日に、CBT経験のあるTKC社の説明会を実施し、不正行為、トラブル対策その他について、情報提供をいただいた。今後も各社からの情報を共有したい。
・構成用紙、六法、問題用紙については紙での配布を堅持すべきであることについて、折に触れ申し入れをしているが、法務省Q&Aでは現在のところ未回答となっている。学生からも、紙がないとどうすればよいか分からないというリアルな声も上がっており、引き続き申し入れを続けたい。
総会では、CBTの各システムを定期試験で導入する際の予算の要求や、構成用紙、六法、問題用紙の紙での配布を申し入れる際の優先順位などについて、意見が交わされました。協会としては、会員の皆様におかれまして、引き続きご意見をお寄せいただきたいと思っております。
7.その他(最近の状況に関する報告と意見交換)
2024年6月総会以降の協会活動報告について、下記の通り報告がありました。
(1)News Letter発行
News Letter No.56(2024年6月8日〔土〕理事会及び総会報告)を、協会HP「協会からのお知らせ」欄に掲載しています。
(2)法曹養成制度改革連絡協議会
第23回の法曹養成制度改革連絡協議会が7月23日に開催され、執行部で出席しました。海外展開の分野における法曹有資格者の活動領域の拡大について、取組状況の報告や有識者からのヒアリングがあったほか、法務省から、法曹の質の調査について、今年度改めて法曹の質の調査分析を実施すること等について、また、令和5年度法学部生アンケートの調査結果と法曹志望者数に関する調査結果について報告がされました。詳細は文科省の該当HPをご覧ください。
(3)司法試験シンポジウム
すでに司法試験等検討委員会堀田周吾主任からも紹介があった通り、来年2月15日(土)午後に、日弁連主催の「司法試験シンポジウム」が開催される予定です。詳細はまたMLなどで案内します。
(4)国家公務員総合職試験(院卒者試験)法務区分の取扱いについて
磯部事務局長より、次の通り説明がなされました。
・司法試験合格者に関して、各府省が任意の時期に公募を行い、係員の官職に採用できることとし、これに伴って、司法試験合格者を対象とする「法務区分」を廃止することを検討している。
・具体的には、現在、司法試験合格者の国家公務員への採用については、国家公務員採用総合職試験において「法務区分」が設けられており、2022年度までは、司法試験合格発表の数週間後に法務区分の試験が実施されていた。
・しかし、在学中受験の改革により、2023年度から司法試験の合格発表が11月に変更され、適当な国家公務員採用試験の時期がなくなり、3月~5月の春の総合職試験に法務区分を実施することにしたが、司法試験および司法修習のスケジュールとの調整がうまくいかなくなった。
・また、近年、受験者数や採用者数が極端に少ないという問題もあり、こうした背景から、司法試験合格者を採用試験ではなく、各府省のHP上で公募を行い、任意の時期に係員の官職に採用できる方向が示され、法務区分を廃止する案が浮上した。
・国家公務員の採用方法に関する案件ではあるが、同時に法曹有資格者の活動領域拡大施策の一環としての位置付けもあり、協会に対して意見照会が来ている。また、文部科学省、法務省、司法研修所、日弁連にも意見照会が行われていると聞いている。
・今後、パブリックコメント(パブコメ)を実施し、令和8年度から実施予定となっている。
・会員の皆様においては、パブコメに応じるか、ご意見やご要望があれば適宜まとめて協会にお寄せいただければ、協会から人事院に伝えることができる。
総会では、米田修了生職域委員会主任から、「法務区分」という、法科大学院修了生を採用するという旗印がなくなることには懸念もあること、高い能力を持つ人材が公務員を目指しやすくするためにも、司法試験の知識が公務員試験で生かせるような制度設計や試験問題の工夫が必要であり、そのことを、協会から人事院等に対してアピールする必要があること、について意見が述べられました。
(5)次回の理事会総会について
次回理事会総会は、【2025年6月14日(土)】にオンラインで開催を予定しています。詳細は決定し次第、改めてMLにて連絡いたします。