News Letter No.42 (2018年6月9日理事会及び総会報告)

法科大学院協会事務局

 法科大学院協会の理事会が、2018年6月9日(土)11時00分より、早稲田大学・早稲田キャンパス3号館6階601会議室で、また、総会が、同日12時30分より、402教室で開催されました。開催に当たり会場の提供・準備にご尽力くださいました、甲斐克則教授、石田京子准教授をはじめとする早稲田大学関係者の皆様に厚く感謝申し上げます。

 以下、総会で審議・報告された事項を中心に、概要をご報告申し上げます。

 総会では、議事に先立ち、松永賢誕文部科学省高等教育局専門教育課長から挨拶と、①平成30年度法科大学院入学者選抜実施状況等②法曹コースの制度設計③「法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラム」の見直し④平成29年度法科大学院教育状況調査結果⑤専門職大学院設置基準等の一部改正⑥法科大学院進学希望者に対する法科大学院と法学部の連携に関する調査研究報告書⑦国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会報告書(経済産業省)について、説明がありました。
 また、大貫裕之理事長(中央大学)から挨拶があり、「法科大学院の集中改革期間はまもなく終了し、文科省では中教審特別委員会で3+2の構想が詰めの段階に入っている。法科大学院としては協力の必要がある一方、社会人・他学部生や、地方での法曹養成にも配慮が必要である。明るい兆しもある。後に報告があるLSキャラバンの来訪者にも示されているように、法曹志望者数は、底を打ったとは言い切れないが少しずつ底が見えつつあるのではないか。個人的な経験を申し上げるが、法科大学院での教え子の中に、自分がかつて関わっていた児童虐待防止NPOに関わりを持ちたいという人が現れてくれていた。法科大学院制度に尽力されている先生方は、この制度に人を育てる制度としての価値を認めておられるだろう。そのような価値のあるこの制度を次世代に伝えたい。会員校の皆さん方と力を合わせて頑張っていきたい。短い時間だが充実した審議をお願いしたい」旨が述べられました。

1 会員資格喪失について

 片山直也専務理事(慶應義塾大学)より、以下の法科大学院が廃止されたため会員資格を喪失した(規約8条)旨、報告がありました。
 久留米大学、國學院大學、東洋大学、山梨学院大学(いずれも2017年度をもって閉鎖)

2 人事について

 片山専務理事より、法科大学院代表者の交代に伴い、規約13条4項に基づき以下の理事の交代があったことが報告されました。
 ・川出敏裕理事→沖野眞已理事(東京大学)
 ・尾島茂樹理事→愛敬浩二理事(名古屋大学)
 ・上嶌一高理事→宇藤 崇理事(神戸大学)
 ・田頭章一理事→森下哲朗理事(上智大学)

 また、次の通り常務委員の交代があったことが報告されました。
 ・江島晶子常務委員(明治大学)→手塚明常務委員(明治大学)

3 平成29年度決算報告について

 片山専務理事から、平成29年度決算報告について説明があり、その中で、収入については、金利の低下により利息が若干予算より減少したが、他は予算通りであることが報告されました。また、支出については、開催校(明治大学、神戸大学)の協力により理事会・総会等の会場費が予算より相当削減されたこと、キャラバン企画費も予算より減額されたこと、ウェブコンテンツ制作費は29年度に作業が完了しなかったため支出に至らず30年度へ持ち越しになったこと等が報告されました。
 続いて峰ひろみ監事(首都大学東京)から、下村眞美監事(大阪大学)とともに会計帳簿・書類等を精査したところ決算書の通り会計は適正に執行されていることを確認した旨、監査報告があり、規約41条1項に基づき、理事会の議を経た上で、総会において承認されました。

4 平成30年度予算(案)について

 片山専務理事から、平成30年度予算案について説明があり、規約41条2項に基づき、理事会の議を経た上で、総会において承認されました。特記すべき事項として、収入については、会員校・準会員校の減少により会費収入の減少が見込まれること、志願者増に向けた活動のため定期預金の一部を用いて300万円を充てること、支出については、主にキャラバン企画費を増額したこと(各会場へのアンケート結果を踏まえて、1会場の予算を上限30万円として計270万円を計上しています)、ウェブリニューアル費用として54万円を計上したことが挙げられます。

5 キャラバン企画の実施(平成29年度、30年度)について

 片山専務理事から、昨年度は9会場で「ロースクールへ行こう!!2017☆列島縦断☆ロースクール説明会&懇談会」が開催されたことの報告があり、共催者(日本弁護士連合会)、後援者(最高裁判所、法務省、文部科学省、適性試験管理委員会)、各会場校並びに会員校による協力に対して謝辞が述べられました。
 また、本企画を当面は継続することが昨年度の総会において承認されたことから会場経験校に対して実施したアンケートを踏まえて予算を増額したこと、今年度は読売新聞社と協力し、同社主催の法科大学院合同説明会のチラシをキャラバン会場で配布するかわりにキャラバンの新聞広告が掲載されたこと、中高生向け広告を読売中高生新聞に掲載したことが報告されました。

6 共通到達度確認試験ついて

 片山専務理事から、共通到達度確認試験に関するこれまでの検討の経緯等について、「関係機関と協議の結果、本格実施に移行できる見込みとなった。関係団体からの金銭的な援助や財政負担補助の枠組みの調整、および会場提供・試験監督員提供等の会員校の協力をお願いすることが前提になるものの、1万円程度の受験料で実施できる見込みとなった」旨の説明がありました。
 ついで、藤本亮入学者選抜・共通到達度確認試験等検討委員会主任(名古屋大学)(下記7参照)から、予定している本格実施の概要について、以下の通り説明がありました(同主任欠席のため片山専務理事が代読)。
 ・今年度の第5回試行試験の後、2019年度から共通到達度確認試験(以下、本試験という。)の本格実施を行う。当面、5年間の実施を予定し、試験結果の分析や未修者教育の改善状況を検証した上で、見直しを行うこととする。
 ・試行試験は文科省の調査研究事業であったが、本試験は自立した事業として実施することとし、協会と公益財団法人日弁連法務研究財団を中心に組織する「法科大学院共通到達度確認試験管理委員会」が実施主体となる。試験実施は、事業者に業務委託する形で行い、公益社団法人商事法務研究会等を委託先候補として選定する。
 ・本試験は、主として、未修者教育の改善を目的として実施する。各法科大学院は、本試験の試験結果を進級判定の材料の一つとして利用するものとするが、法科大学院共通の合格点などは設定しない。
 ・本試験は、各法科大学院の未修1年生全員が原則として必ず受験するものとする。その余の法科大学院在学生の受験も可とし、さらに各法科大学院の判断で他の学年の法科大学院生に受験を義務づけたり、または推奨したりすることも認める。法科大学院在学生の受験者の取りまとめは各法科大学院で行う。また、学部生等の受験も可とし、特に法学部における法曹コース等に在学する学生や既修者(2年)コースの入学予定者が受験した場合は、本試験の成績を指導にあたっての参考資料の一つとすることを奨励する。
 ・本試験を受験できなかった未修1年生については、各法科大学院で何らかの代替措置をとり、公平な進級判定に努める。
 ・本試験は、基本的に試行試験のフォーマットに従っての実施とし、憲法・民法・刑法の3科目についての作題・実施・採点を行う。
 ・本試験の実施時期は12月~2月上旬までを目処とする。実施時期等についてアンケート調査を行った上で決定する。
 ・作題・実施等につきミスのないよう、慎重な運営体制をとる。

 以上の説明を受けて、片山専務理事から、協会が共通到達度確認試験管理委員会を組織し同試験の実施主体となることが理事会で承認されたことについて報告されました。また、入学者選抜・共通到達度確認試験等検討委員会(下記7参照)において、今年度の試行試験実施を経て来年度からの本試験実施を行うための準備作業を関係機関と調整しながら進めることについて提案があり、承認されました。

7 専門委員会改組について

 片山専務理事から、「入学者選抜・適性試験等検討委員会」を廃止し、「入学者選抜・共通到達度確認試験等検討委員会」を設置することが理事会で承認された旨(規約27条)報告されました。
 「入学者選抜・共通到達度確認試験等検討委員会」の主任は旧委員会の藤本亮主任が担当し、他の委員は担当理事の片山専務理事のほか、憲法・民法・刑法から1名ずつ選任される予定です。

8 広報委員会「法科大学院協会からの情報発信について」

 磯部哲広報委員会主任(慶應義塾大学)から、次の通り報告がありました。
 ・協会ウェブサイトは2015年度以来改訂に努めてきた。これまでは会員校向けの情報が中心だったが、志願者向けのコンテンツを前面に打ち出し、高校生・大学生等にアピールしていく。
 ・LSキャラバンの告知に加え、多様な法律家の仕事の紹介等を充実させる。具体的にはジュリスティックス社と協議中である。
 ・新コンテンツは既に4月から閲覧可能であり(下記)、積極的に活用いただきたい。
  https://www.lskyokai.jp/wp/houkadaigakuin/

9 教員研修等検討委員会「司法研修所における教員研修の実施について」

 佐藤隆之教員研修等検討委員会主任から、次の通り報告がありました。
 ・平成30年度教員研修を8月31日(刑事系)及び9月6日(民事系)に司法研修所において実施し、集合修習の授業見学と司法研修所教官との意見交換を行う予定である。ここ数年、参加者数が減少傾向にあるため、多数のご参加をお願いしたい。
 ・昨年度の教員研修の詳細を協会ウェブサイトに掲載したので(下記)、ご参照いただきたい。
  https://www.lskyokai.jp/wp/rp_180214/

10 司法試験等検討委員会「司法試験アンケートの実施について」

 髙橋直哉司法試験等検討委員会主任(中央大学)から、次の通り報告がありました。
 ・司法試験シンポジウム(日弁連、12月2日)において、司法試験アンケート結果の概要を報告した。
 ・司法試験検証担当考査委員会議(法務省、12月19日)において、選択科目を除く論述試験について意見を述べた。効果のほどは不明だが、平成30年司法試験の問題を見ると変化の兆しがあるのではないか。
 ・司法試験アンケートを昨年度と同様のスケジュール(9月中旬依頼、10月中旬締切)で実施予定であるため、ご協力をお願いしたい。

11 修了生職域委員会「修了生の職域拡大のための取り組みについて」

 阿部博友修了生職域委員会主任(一橋大学)から、次の通り報告がありました。
 ・第6回就職動向調査は例年同様のスケジュールで実施予定。第5回調査結果は昨年報告済みであり、協会ウェブサイトにも掲載している(下記)。企業法務への職域促進のための調査報告書を作成した。
  https://www.lskyokai.jp/wp/rp_180201/

 ・キャリアセミナー開催の希望があれば協力するのでご連絡をいただきたい。
 ・中央省庁の合同説明会を8月7日、明治大学にて開催予定である。
 ・エクスターンシッププログラムを今後も活用してエクスターンを促進したい。
 ・企業等における法科大学院修了生の雇用促進計画を進める。商工会議所のセミナー等を利用し、地場企業による修了生の雇用促進のため働き掛けを行う。

12 臨床系教育等検討委員会「シンポジウム公表および臨床系教育の調査等について」

 宮川成雄臨床系教育等検討委員会主任(早稲田大学)から、次の通り報告がありました。
 ・本日の総会後の法科大学院協会シンポジウム「ロースクールだからできる教育、育った法曹-臨床法学教育-」の内容を公表する予定。
 ・基礎的臨床教育の実施状況について各法科大学院に対して調査を行う予定。
 ・宮川主任が本年8月より在外研究のため、後藤昭委員(青山学院大学)に来年8月までの主任代行を委嘱した。

13 その他

(1)各大学の状況やカリキュラム工夫に関する意見交換の場の設置について
 片山専務理事から、各法科大学院における課題・工夫について情報共有するため、意見交換の場を設けることを検討中である旨、報告がありました。
(2)最近の状況に関する報告
 片山専務理事から、次の通り、最近の状況について報告がありました。
 ・NewsLetterNo.41の発行(12月20日)
 ・日弁連と法科大学院協会との意見交換会(11月28日・1月11日・2月27日・4月17日、弁護士会館)
 ・司法研修所と法科大学院協会との意見交換会(5月18日、中央大学)
 ・司法試験合格者氏名掲載の官報の予約販売

 次回総会は、2018年11月10日(土)、法政大学市ケ谷キャンパスにて開催予定です。

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