News Letter No.40 (2017年6月3日理事会及び総会報告)

法科大学院協会事務局

法科大学院協会の理事会が、2017 年 6 月 3 日(土)12 時 30 分より、明治大学・駿河台キャンパス アカデミーコモン 9 階 A9 会議室で、また、総会が、同日 14 時 30 分より、8階 308F 教室で開催されました。開催に当たり会場の提供・準備にご尽力くださいました、
中山幸二教授をはじめとする明治大学関係者の皆様に厚く感謝申し上げます。

以下、総会で審議・報告された事項を中心に、概要をご報告申し上げます。

総会では、議事に先立ち、大月光康文部科学省高等教育局専門教育課専門職大学院室長から挨拶と、①入学定員・志願者数・入学者数等の推移、②公的支援見直し強化・加算プログラム、③認証評価の厳格化、④法科大学院教育状況調査、⑤共通到達度確認試験(仮称)、⑥未修者等選抜ガイドライン、⑦法科大学院教育での ICT の活用、⑧法科大学院と法学部等との連携強化、⑨未修者コース入学者に対する教育のあり方、⑩法学部教育のあり方等、
法科大学院改革の取組状況等についての説明がありました。
また、鎌田薫理事長(早稲田大学)から挨拶があり、①志願者減少傾向が止まっていない、12 校が既に廃止され最近 3 校が募集停止を決定した、司法試験合格者の抑制的傾向が強まっている一方で予備試験合格者数は着実に増え続けているなど、法科大学院を取り巻く状況はますます厳しいこと、②中教審等では、未修中心から既修中心への動きや法学部との一貫教育という当初の構想から転換した改革が検討されていること、③その一方で、大手の法律事務所では人手不足の状況もあり、また企業法務や自治体でも法科大学院出身者・法曹有資格者の採用がようやく拡大してきていることなどを踏まえ、日本の司法の未来を担い、法の支配の確立に向けての様々な側面で基礎を支える人材の養成のために、法科大学院の果たすべき使命はなお大きく、全国の様々な大学との連携を含め、法曹養成システムの改善に向け、集中したご議論を賜りたい旨が述べられました。

1 人事について

大貫裕之専務理事(中央大学)より、法科大学院代表者の交代に伴い、規約 13 条 4 項に基づき以下の理事の交代があったことが報告されました。
・滝沢昌彦理事→小粥太郎理事(一橋大学)
・森山浩江理事→小柿徳武理事(大阪市立大学)
・村上裕章理事→堀野出理事(九州大学)

2 準会員校退会・会員資格の喪失について

大貫専務理事から、準会員校の成城大学から退会の申出があり、理事会で承認された旨、報告がありました。これで準会員校は 2 校になりました。
また、以下の法科大学院が廃止されたため会員資格を喪失した(規約 8 条)旨、報告がありました。
2016 年:東北学院大学、駿河台大学、大阪学院大学
2017 年:新潟大学、信州大学、香川大学、鹿児島大学、白鴎大学、東海大学、明治学院大学、愛知学院大学、龍谷大学、島根大学、獨協大学、広島修道大学

3 平成 28 年度決算報告について

大貫専務理事から、平成 28 年度決算報告について説明があり、その中で、会員校の減少により会費収入が減少したこと、開催校(中央大学、名古屋大学)の協力により理事会・総会の会場費が予算より相当減額できたこと、キャラバン企画費も予算よりも減額されたこと、等が報告されました。
続いて成瀬幸典監事(東北大学)から、十河太朗監事(同志社大学)とともに会計帳簿・書類等を精査したところ決算書の通りで会計は適正に執行されていることを確認した旨、監査報告があり、規約 41 条 1 項に基づき、理事会の議を経た上で、総会において承認されました。

4 平成 28 年度キャラバン実施報告及び平成 29 年度の実施について

松下淳一事務局長(東京大学)から、昨年度は 9 会場で「ロースクールに行こう!!2016ロースクール説明会・懇談会」が開催されたことの報告があり、共催者(日本弁護士連合会)及び後援者(最高裁判所、法務省、文部科学省、適性試験管理委員会)の協力(アイデア・人員の提供、講師の派遣・推薦等)に対して謝辞が述べられました。今年度については、現時点では東京会場・東北会場の実施が確定していますが(両会場とも6月25日(日))、その他の会場においても実施の準備をお願いします。

5 法科大学院紹介動画について

大貫専務理事から、法科大学院の対話型授業を目で見て理解してもらう目的で作成し、昨年度のキャラバンで使用した法科大学院授業風景の動画(約 6 分)を、より広く利用できるようにするため、①動画ファイルをオンラインストレージに保管し、その URL 等を会員校に通知(4 月 13 日付)したこと、②協会ウェブサイト(https://www.lskyokai.jp/wp/)のトップページ右をクリックすれば動画を見られるようにした旨の報告がありました。①のオンラインストレージについては既に保管期限が切れていますが、ファイル(約 300 MB)が必要な場合は事務局にご連絡いただければ提供可能です(DVD での提供も可能です)。

6 司法試験等検討委員会「司法試験アンケートの実施について」

髙橋直哉司法試験等検討委員会主任(中央大学)から、司法試験に関するアンケート調査について、次の通り報告がありました。
・昨年度はアンケート実施時期等を変更したが、各校の協力により、内容の濃い報告書を作成することができた。ご協力に感謝申し上げる。
・同アンケートの内容を基に、先般法務省の司法試験検証担当考査委員と意見交換をしたが、アンケート結果を翌年の司法試験問題の作成に反映させることが重要だと認識した。そのためにはアンケート実施時期を早める必要があり、今年度は昨年度よりも早く(9 月半ば過ぎから 10 月頃に)実施する予定であるのでご協力賜りたい。なお、昨年度のアンケート調査の結果報告は、協会ウェブサイトに掲載済みです。

7 教員研修等検討委員会「司法研修所における教員研修の実施について」

佐藤隆之教員研修等検討委員会主任(慶應義塾大学)から、司法研修所におけるカリキュラム参観・意見交換を今年も実施予定である旨、日程は例年 8 月下旬から 9 月初めであるが現在調整中であり、確定し次第会員校に案内する旨報告があり、多数の参加をお願いする旨が述べられました。

8 入学者選抜・適性試験等検討委員会「適性試験の実施状況について」

藤本亮入学者選抜・適性試験等検討委員会主任(名古屋大学)が欠席のため、大貫専務理事の代読により、次の通り報告がありました。
(1)2017 年度法科大学院適性試験について
・志願者の速報値:第 1 回(6 月 4 日)が前年比 62 人減・2.3%減の 2,645 人、第 2回(6 月 18 日)が 194 人減・6.1%減の 2,968 人。2012~2016 年の対前年比減少率平均(第 1 回 14.5%、第 2 回 15.5%)に比べると減少率はかなり小さくなった。
・成績分布の公表、受験者・法科大学院への成績連絡は昨年と同様 7 月中旬の予定。
・受験料、試験構成・試験時間、試験会場(14 会場、うち熊本会場は第 1 回のみ)には変更なし。
・試験会場の提供校に御礼申し上げる。
(2)2018 年以降の統一適性試験について
・中教審法科大学院特別委員会の「統一適性試験の在り方について(提言)」(平成28 年 9 月 26 日)及び「法科大学院法学未修者等選抜ガイドライン」(平成 29 年 2月 13 日)を受け、各認証評価機関で入学者選抜に係る認証評価基準の見直しが進行中であり、適性試験管理委員会も、任意化に伴う影響を踏まえて、2018 年度以降の実施可能性と実施要領につき、各法科大学院での次年度入試要項の検討前には方針を提示できるよう鋭意検討中である。そのために同委員会事務局では各法科大学院から意見聴取を行った。ご協力に感謝申し上げる。
・任意化により、適性試験受験者数で推定されていた法科大学院進学希望者総数が次年以降は不明となる。また上記「ガイドライン」では、適性試験任意化後も受験者の適性を的確かつ客観的に判定することが求められている。エビデンスに基づいた入学者選抜の改革を進めるため、ガイドライン等も参照しつつ、適性試験の継続利用も含め入学者選抜制度全体についての検証を各校で進めていただきたい。

9 修了生職域委員会「第 5 回就職動向調査等に関する報告について」

浜辺陽一郎修了生職域委員会主任(青山学院大学)から、次の通り報告がありました。
・就職動向調査を今年も昨年と同様のスケジュールで実施予定であり、各校での対応をお願いする。
・職域拡大に関し、外部の企業が各大学で法科大学院新入生向けのキャリアセミナーを実施している。法科大学院入学者を増やすことも念頭に法学部生にも聴講してもらいたいとのことなので、未開催の大学等で関心があればそれらの企業等にアクセスされたい。就職支援にかかわる企業も情報提供しているので検討されたい。
・中央省庁の合同説明会を 8 月上旬に早稲田大学で開催予定。
・企業・自治体向けパンフレットや経営法友会とのエクスターンシッププログラム等もご活用願いたい。
なお、企業・自治体向けパンフレットは、協会ウェブサイトからダウンロードできます。
企業向けパンフレット
自治体向けパンフレット

10 広報委員会「法科大学院協会ウェブサイトの改訂について」

北居功広報委員会主任(慶應義塾大学)から、協会ウェブサイトと会員校の修了生活躍状況紹介ページとの接続を図ってきたところ、昨年夏以降に接続・運用が実現した旨、報告がありました。今後もウェブサイトを改訂し、会員校の要望に沿うようにするので、新たな接続の申出をお願いする旨が述べられました。
協会ウェブサイトのトップページ右下のほか、こちらから、各校の修了生活躍状況紹介ページへアクセスできます。

11 臨床系教育等検討委員会「委員交代と新規の課題について」

宮川成雄臨床系教育等検討委員会主任(早稲田大学)から、次の通り報告がありました。
・協会理事会の委嘱を受け、2017 年 3 月 1 日付で、以下の新委員構成による同委員会が組織された。
主任:宮川成雄(早稲田大学)
委員:大澤恒夫(桐蔭横浜大学)、亀井尚也(関西学院大学)、後藤昭(青山学院大学)、後藤弘子(千葉大学)
・同委員会第 1 回会合を 3 月 4 日に弁護士会館で開催し、2017 年度の活動として、法科大学院の 3 認証機関の認証評価基準における臨床教育科目の位置付けを調査し、法科大学院を魅力あるものとするために臨床教育の改善を課題として検討することとした。
また、アメリカ法曹協会のロースクール認証基準において、2016 年秋学期入学生カリキュラムから臨床教育科目 6 単位がロースクール修了要件とされたこと等を踏まえ、アメリカ・ロースクール協会臨床法学教育部会と国際協力を深めることを確認した。

12 平成 29 年度予算(案)について

大貫専務理事から、平成 29 年度予算案について説明があり、規約 41 条 2 項に基づき、理事会の議を経た上で、総会において承認されました。特記すべき事項として、会員校・準会員校の減少により会費収入が 75 万円減少すること、キャラバン企画費が昨年より 130万円近く減少すること(昨年度の授業風景ビデオ制作費やポスター印刷費が今年度はないため)、法曹の仕事の魅力と法科大学院で学ぶ魅力をプレゼンテーションするウェブコン
テンツ制作費として 60 万円を計上していること等があります

13 理事選考委員会の報告と承認について

(1)新理事について
規約 13 条 2 項に基づき前回総会において設置された理事選考委員会(野澤正充(立教大学)、村上裕章(九州大学)、森山浩江(大阪市立大学)、山本敬三(京都大学)、山本哲生(北海道大学)、和田真一(立命館大学)、鎌田薫(理事長))が 2016 年 12 月 10日に開催されました。その結果について、山本哲生委員長(北海道大学)から、下記の 15名が理事候補者として選考された旨の報告がありました。
規約 13 条 1 項に基づきこれら候補者を理事として選任することが総会に諮られ、承認されました。
新理事として選任された方々は以下の通りです。
<北海道東北地区>
中原茂樹(東北大学)
<関東地区>
片山直也(慶應義塾大学)
田頭章一(上智大学)
大貫裕之(中央大学)
森田憲右(筑波大学)
川出敏裕(東京大学)
小粥太郎(一橋大学)
甲斐克則(早稲田大学)
<中部北陸地区>
尾島茂樹(名古屋大学)
<近畿地区>
山本敬三(京都大学)
上嶌一高(神戸大学)
早川徹(関西大学)
大中有信(同志社大学)
<中国四国地区>
秋野成人(広島大学)
<九州地区>
堀野出(九州大学)

(2)新理事長の選出等について
以上の新理事の選出を受け、規約 14 条により、理事長を理事の互選により選出するため、総会を一時中断し、別室において、理事長選出のための理事会が開催されました。
この理事会において、大貫裕之理事(中央大学)が、理事長に選出されました。そして、規約 15 条に基づき、大貫新理事長から以下の方々が副理事長等に指名され、理事会で選任が承認されました。
副理事長:磯村保(早稲田大学)、中川丈久(神戸大学)
専務理事:片山直也(慶應義塾大学)
常務理事:滝沢昌彦(一橋大学)、市川正人(立命館大学)、笠井正俊(京都大学)、
松下淳一(東京大学)
総会の再開後、大貫新理事長から、以下のような就任の挨拶がありました。
・法科大学院制度は司法制度改革の 3 本柱の中核であり、改革全体の円滑な実現に不可欠な前提条件である。しかし 2004 年以降の経過において、様々な事情によって制度が翻弄されてきた。現在も改革を求められている。制度改善につながる改革は喜んで行うが、法科大学院制度の本来の良さを失うことになってはならない。
・日々教育に携わっていると、不安定な状況に置かれている学生諸君のことを考える。次代を担う若者をこのような状況に置いていてはいけない。
・法曹関係者と緊密に協力して、制度を安定させ、さらに法曹の道をよりいっそう魅力的なものにする必要がある。会員校の意見を十分に踏まえ、関係機関と協力することで道は開けると信じている。
また、大貫新理事長から、事務局長の任命(規約 37 条 3 項)については理事会により理事長へ一任されたこと、事務局次長として土田伸也(中央大学)及び高橋真弓(一橋大学)の両名を指名した旨の報告がありました。

14 監事の選任について

規約 16 条により、以下の方々が新監事に選任されました。
峰ひろみ(首都大学東京)
下村眞美(大阪大学)
ここで鎌田理事長から、次の通り退任の挨拶がありました。
・6 年前に図らずも大役をお引き受けした。先生方は、学生のため日本の司法のため頑張ってこられたが、不幸にもアゲンストの風はますます強い。入学定員はピーク時の半
分、実入学者だと 3 割であり、設立時の半数近くの法科大学院が募集停止ないし廃止に至った。守り切れなかったことで力不足を反省している。
・2 期にわたり、旧執行部の方々などから様々なご支援をいただいた。新執行部が発足したが、これからの道も険しい。力強く執行部を支援し、法科大学院全体の力量を世間に積極的に示していき、社会の理解を得て一層発展することをお祈りする。

15 その他

前回総会以降の状況等について、次の通り報告がありました。
・News Letter No.39 の発行(2017 年 1 月 25 日)
・日弁連と法科大学院協会との意見交換会(3 月 1 日・5 月 24 日弁護士会館)
・司法研修所と法科大学院協会との意見交換会(3 月 10 日中央大学、5 月 16 日一橋大学)
・法科大学院授業風景の動画の協会ウェブサイトへの掲載
・司法試験問題漏えい再発防止策に関連して協会の通報窓口の設置(2016 年 12 月 19 日)
・司法試験合格者氏名掲載の官報の予約販売の案内

次回総会は、2017 年 11 月 25 日(土)の 14 時から、神戸大学六甲台第一キャンパスにて開催いたします。

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