News Letter No.30 (2012年5月12日理事会及び総会報告)

法科大学院協会事務局

 法科大学院協会の理事会が、2012年5月12日(土)午前10時より、早稲田大学早稲田キャンパス・8号館3階303会議室で、また、総会が、同日午後12時より、同・大隈小講堂で開催されました。また、総会に引き続いて、同講堂で、日本法科大学院協会=韓国法学専門大学院協議会第1回交流プログラム・共同シンポジウム「ロースクールの成長と課題」が開催されました。開催に当たり、会場の提供、準備にご尽力下さいました石田眞・早稲田大学大学院法務研究科長をはじめとする早稲田大学の関係者の皆様に篤くお礼申し上げます。
以下、総会で審議・決定された事項を中心に、概要をご報告申し上げます。

 

総会では、議事に先立ち、文部科学省の内藤敏也高等教育局専門教育課長より挨拶があり、法科大学院協会の平素の活動について謝辞が述べられた後に、①民主党法曹養成制度検討PTをめぐる情勢、②総務省「法曹人口の拡大及び法曹養成制度の改革に関する政策評価」についての概要、③法曹の養成に関するフォーラムによる論点整理(取りまとめ)についての概要、④中教審法科大学院特別委員会における審議についての状況、⑤国家戦略会議より大学に対する厳しい意見・要望が出されていることを受けて、文部科学省として大学改革を最重点事項としており、その中でも特に法科大学院を取り巻く状況が厳しいこと、などの報告がなされました。

 

1 人事に関する件
(1)理事の交代
後藤昭専務理事より、4月1日付で、規約13条4項に基づき以下の理事の交代があったことが報告されました。
紙野健二理事 → 鈴木將文教授(名古屋大学・法科大学院長)
曽和俊文理事 → 川﨑英明教授(関西学院大学・司法研究科長)
松生光正理事 → 赤松秀岳教授(九州大学・法科大学院院長)
福原紀彦理事 → 椎橋隆幸教授(中央大学・法務研究科長)
森田 章理事 → 占部裕典教授(同志社大学・司法研究科長)
荒木尚志理事 → 松下淳一教授(東京大学、法曹養成専攻長)

(2)監事の退任と新任
後藤専務理事より、規約16条に基づき、以下の提案があり、総会において了承されました。
退任:長井長信監事 (前北海道大学・法科大学院長)
新任:池田清治教授 (北海道大学・法科大学院長)

(3)その他の人事
後藤専務理事より、以下の報告がなされました。
①専門委員会主任の交代
入学者選抜・適性試験等検討委員会
松村良之主任(千葉大学) → 毛利透教授(京都大学)
修了生職域委員会
大村雅彦主任(中央大学) → 浜辺陽一郎教授(青山学院大学)
②専門委員会委員の交代・新任
修了生職域委員会
交代:浜川清委員(法政大学) → 高須順一教授(法政大学)
交代:小柿徳武委員(大阪市立大学) → 高橋眞教授(大阪市立大学)
司法試験等検討委員会
新任:角田雄彦准教授(白鴎大学)
③事務局次長の交代
松下淳一次長(東京大学) → 山本隆司教授(東京大学)

2 平成23年度決算の件
後藤専務理事(財務担当)より、平成23年度決算について報告がなされました。
続いて、同決算について、臼木豊監事より、会計が適正に執行されている旨の報告があり、規約41条1項に基づき、理事会の議を経た上で、総会において承認されました。

3 平成24年度予算の件
後藤専務理事(財務担当)より、平成24年度予算について、前年度までの予算からの変更点として、日韓国際シンポジウム経費として120万円を、修了生の活躍情報の発信に係る経費として30万円を、就職動向調査作業費等として40万円をそれぞれ計上したこと、事務局オフィス賃料がゼロになったこと、などの説明があり、規約41条2項に基づき、理事会の議を経た上で、総会において承認されました。

4 修了生職域問題に関する件(就職動向調査を中心に)
修了生職域委員会の大村雅彦主任より、職域動向把握プロジェクト参加校の調査実施について、調査項目と今後のスケジュール等の説明がなされるとともに、修了生に対する入力呼びかけに関して参加各校への協力要請がなされました。併せて、同プロジェクト不参加校に対しては、一定の選択肢を含む調査の提案を別途行う予定である旨の説明がありました。
なお、大村主任より、今年度も、人事院との共催による中央省庁合同業務説明会を2012年9月12日または13日に法政大学で開催する予定であることが紹介されました。

5 修了生の活躍情報の発信について
秋山靖浩常務委員より、法科大学院修了生の活躍情報の発信を強化するための新たな取組みとそのための実施体制・予算措置について提案があり、承認されました。

6 外国人留学生の在留許可期間の延長について
中山幸二事務局長より、3月に修了する法科大学院生の在留許可期間の延長について相談が寄せられ、関係機関への問い合わせを行ったところ、在留許可の延長が個別審査によること、短期在留資格への変更により90日の延長は認められることなどが判明したこと、などの報告がなされ、詳しくは各管轄地域の入管当局に問い合わせていただきたいとの説明がありました。
続いて、土井真一法曹養成問題対策本部主任より、外国人留学生の在留許可の延長につき文部科学省と法務省との協議が行われた結果、①現行制度でも、留学資格の在留期間には3か月の余裕が与えられており、この3か月分を既に使ってしまった場合も、短期在留資格への変更という形で90日の延長が可能であること、したがって、修了したら試験が受けられなくなるわけではないこと、②司法修習中についても、在留資格が与えられないことがないようにする方向で検討していること、などについて報告がなされ、くれぐれも外国人留学生が試験を受けられないという誤解がないようにとの補足がありました。

7 その他
(1)法科大学院をめぐる情勢について
井上正仁副理事長より、法科大学院・法曹養成制度に関する状況として、法曹の養成に関するフォーラム、民主党法曹養成制度検討PT、総務省「法曹人口の拡大及び法曹養成制度の改革に関する政策評価」、日弁連「法曹人口政策に関する提言」のそれぞれについて概要等の説明がなされました。

(2)昨年から今年にかけての法科大学院協会の活動について
中山事務局長より、昨年から今年にかけての法科大学院協会の活動について説明がありました。
Ⅰ 総会・理事会等の開催

Ⅱ 大震災関連
1 被災地の法科大学院生への学習支援を行った。
2 被災地ボランティア・現地調査エクスターンシップ(法科大学院協会・日弁連共同企画)を2011年8月22日~25日に実施した。13大学から58名の法科大学院生の応募があり、選抜により29名が参加した。
3 原発ADRの補助者として法科大学院生および修了生の募集仲介を行った。

Ⅲ その他の活動
1 総務省の「法曹人口の拡大及び法曹養成制度の改革に関する政策評価」に対する意見書を、2011年6月15日付で総務省政策評価室に提出するとともに、法科大学院協会のホームページにも掲載した。
2 2011年6月26日付でNews Letter No.28を発行するとともに、法科大学院協会のホームページにも掲載した。
3 協会と外部との意見交換等について、①日弁連執行部との意見交換(2011年1月27日、同年5月9日〔事務レベル〕、同年7月25日、同年9月26日、同年12月22日、2012年2月2日、同年2月24日、同年4月26日、次回は同年6月下旬予定)、②司法研修所との意見交換(2011年2月10日、同年9月27日、2012年2月29日、次回は同年7月5日予定)が開催された。これらは、いずれもインフォーマルな意見交換会であり、一定のことを決めるという趣旨のものではない。
4 司法研修所における教員研修と意見交換(民事系2011年8月18日、刑事系2011年9月9日)が開催され、2011年12月10日に報告書を公表した(教員研修等検討委員会)。
5 2011年8月26日~27日にかけて、日弁連・法務省・外務省の共催、法科大学院協会・国際法学会の後援により、人材養成セミナー「国際分野のスペシャリストを目指す法律家のためのセミナー」が開催され、法科大学院生および修了生60名が参加した。
6 平成23年度新司法試験に関するアンケート調査を行い、2011年9月5日に報告書を公表した(司法試験等検討委員会)。
7 「共通的な到達目標モデル」に関するアンケート調査を行い、2011年6月12日に報告書を公表した(カリキュラム等検討委員会)。
8 2011年9月13日に、修了生職域委員会と人事院の共催により、13省庁の「中央省庁合同業務説明会」を開催し、法科大学院生および修了生137名が参加した。
9 修了生職域委員会の主催により、2011年10月8日に大阪大学、同年10月22日に名古屋大学、同年10月25日に明治大学でそれぞれ、職域問題に関する意見交換会を開催した。
10 2011年12月26日付でNews Letter No.29を発行するとともに、法科大学院協会のホームページにも掲載した。

(3)国立印刷局からのお知らせについて
中山事務局長より、司法試験合格者氏名掲載の官報の事前予約について、国立印刷局から案内があった旨の説明がなされました。

(4)日弁連主催のセミナーについて
中山事務局長より、日弁連主催の「国際分野のスペシャリストを目指す法律家のためのセミナー」について案内がありました(後に法科大学院協会のホームページにも掲載)。

(5)日弁連法曹養成対策室からの配布物
中山事務局長より、日弁連法曹養成対策室刊行の「法曹養成対策室報第5号」の配布について案内がありました。

(6)その他
総会において、会員校から①国家公務員採用試験を受験するロースクール生の人数の把握、②適性試験の統一的な入学最低基準点の当否、③法科大学院修了者で司法試験を3回受験したことにより司法試験受験資格を失った者を改めて法科大学院に入学させることの当否、④法科大学院への志願者を増加させるための取組み、⑤民主党法曹養成制度検討PTによる法科大学院現地視察、などについて意見が出されました。

(7)次回の総会について
後藤専務理事より、次回の総会が2012年12月15日(土)に関西地域で開催される予定である旨の説明がありました。(その後、大阪大学で開催されることが決まりました。)

日本法科大学院協会=韓国法学専門大学院協議会第1回交流プログラム
共同シンポジウム「ロースクールの成長と課題」
総会に引き続き、新たに始まった日本法科大学院協会と韓国法学専門大学院協議会の第1回交流プログラムとして、「ロースクールの成長と課題」と題する共同シンポジウムが開催されました。日本側・韓国側から、制度の概要、現在の状況、今後の課題等について基調報告がなされた後、日本側パネリストと韓国側パネリストによる討議が行われました。
シンポジウムのプログラムについては、法科大学院協会ホームページの<イベント>コーナーに掲載しております。
なお、シンポジウムにおける基調報告およびパネルディスカッションの内容は、『法学教室』2012年8月号に掲載される予定です。

 

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