News Letter No.27 (2010年10月30日臨時理事会、2010年12月18日理事会、総会及びシンポジウム報告)
法科大学院協会事務局
法科大学院協会の臨時理事会が、2010年10月30日(土)午後2時より、明治大学駿河台キャンパスのアカデミー・コモン8階A7会議室で開催されました。また、定例の法科大学院協会理事会が、2010年12月18日(土)午前10時30分より、専修大学神田キャンパス1号館8階8A会議室で、同総会が、3号館3階303教室で開催されました。臨時理事会の会場提供と準備等でご尽力いただいた明治大学の関係者の皆様、ならびに、定例の理事会、総会、シンポジウムの会場提供と準備等でご尽力頂いた石村修法科大学院長をはじめとする専修大学の関係者の皆様に篤くお礼申し上げます。
以下、10月30日の臨時理事会、及び、12月18日の定例の理事会・総会で審議・決定された事項を中心に、概要をご報告申し上げます。
Ⅰ 2010年10月30日開催の臨時理事会について
職域問題を中心として、これに関連する法科大学院制度の主要問題と方向性を検討するため、臨時理事会が開催されました。
この問題については、法科大学院修了者職域問題等検討委員会の浜川主任から現在の状況等について説明があり、それをふまえたうえで、①法科大学院をめぐる厳しい状況の中で、あるべき法曹養成制度や法科大学院のあり方につき法科大学院協会が責任をもって発信していくべきであるという観点から、「法曹養成制度検討委員会」を新設すること、②職域問題に関して、法曹人口の問題も含めより積極的に企画・政策立案的な活動をも行う必要性から、法科大学院修了者職域問題等検討委員会を、「法曹人口・修了生職域問題検討委員会」に改組すること、③修了生の就職支援と就職動向調査について新たな団体(仮称「キャリアサポートセンター」)を設置し法人化することに協会が協力すること、の提案がなされました。また、青山理事長から、この問題を含めて、法曹養成制度をとりまく課題に適時適切に対応するため、恒常的なタスクフォースを備えることが必要であるという提案がなされ、これらの提案について、意見交換がなされました。
意見交換においては、法曹養成制度のあり方を検討する必要性の確認、法曹養成制度を検討する際の各加盟校の立場や役割、法科大学院協会として制度のあり方について意見を示していく必要性、各法科大学院を超えたキャリアサポートセンターを作ることの必要性等について、活発な意見交換がなされ、具体的な対応策について次回理事会で審議することになりました(キャリアサポートセンターの問題については、12月18日の理事会でも結論に至らず、さらに審議を継続することとしました)。
このほか、理事選考委員会の設置について、司法試験等検討委員会委員の追加について、来年度の適性試験の実施方法と会場提供依頼について、共通的な到達目標モデル案のHP掲載について、給費制問題に関する理事長所感について、審議及び意見交換がなされました。
Ⅱ 2010年12月18日開催の理事会・総会について
総会では、議事に先立ち、文部科学省の澤川和宏高等教育局専門教育課長より挨拶があり、①法曹養成制度に関する検討ワーキングチームの取りまとめ、②中教審法科大学院特別委員会第3WGによる改善状況調査、③組織見直しを促すための財政支援見直しについて説明がありました。
引き続き、議事に移り、後藤昭常務理事の司会の下、以下の事項について報告と提案がなされ,いずれも承認されました。
1 理事選考委員会の設置の件
青山理事長より、現在の理事会の任期が来年3月までとなっており、協会規約13条によると、前任の理事長と選考委員6名による理事選考委員会を設置し、15名の理事を選考し、総会で選任することになっていることが説明され、理事会において選出された6名の候補者が挙げられ、承認されました。
理事選考委員となったのは、次の方々です。長井長信教授(北海道大学)、大村雅彦教授(中央大学)、浦川道太郎教授(早稲田大学)、潮見佳男教授(京都大学)、松村和徳教授(岡山大学)、松生光正教授(九州大学)と、現理事長として選考委員に加わる青山理事長です。
2 法科大学院協会の体制強化の件
青山理事長より、法科大学院をめぐる状況の動きが速く、そうした動きに適時適切に対処するために、理事長直属の常設機関として、3~5名からなる法曹養成問題対策本部といったものを設置するという基本方針が理事会で承認された旨が説明されました。
これに対しては、人選についても理事長一任ではなく、理事会の中でしっかり議論すべきであるとの意見が出され、関連して、各法科大学院の意見を吸い上げる必要性、きめ細かい情報提供の必要性等について、意見と要望が出されました。
これをふまえて、人選については、理事長に一任し、それを理事会に報告して、承認を得るものとすることとなりました。
3 法曹養成制度のあり方に関する連携協議の件
連携協議委員会の大澤裕主任より、現在の連携検証の進捗状況について報告があり、今年度末の連携検証の最終報告書の取りまとめに向けて作業を進めることが承認されました。また、今後の連携検証のあり方について、早稲田大学の協力を得て文部科学省先導的大学改革推進委託事業として行われている現在の事業の事業年度が本年度限りであり、財政的裏付けを欠くこととなること、五者協議会とそのワーキンググループが休眠状態にあり、その支援が得られない状況にあることの説明と、そのような状況のもとで、協会の独力で調査を継続するにはかなりの困難が予想され、本年度の委託事業の終了をもって調査にも一段落をつけるのが自然な選択肢であるが、さらに執行部とも相談しつつ、方針を詰めることとしたい旨の報告がなされました。
4 来年度の適性試験実施方法に関する件
法科大学院適性試験は、従来、大学入試センターと日弁連法務研究財団の二つの団体が実施してきましたが、適性試験管理委員会のもとで一本化されることになったことをふまえ、来年度の適性試験の実施方法と成績通知等について、入学者選抜・適性試験等検討委員会主任の松村良之主任より、説明がなされました。
5 修了者職域問題に関する件
法科大学院修了者職域問題等検討委員会の浜川清主任より、法曹人口問題にも対応できるよう、「法科大学院修了者職域問題等検討委員会」を「修了生職域委員会」という名称に変更し、この委員会においても法曹人口問題を扱うことが理事会で承認されたことが説明されました。あわせて、修了生統一メールアドレスの登録状況についての説明がありました。
6 共通的到達目標モデルに関する件
カリキュラム等検討委員会の山本和彦主任より、「共通的な到達目標モデル」(第二次案修正案)の経緯と公表〔10月19日協会HPに掲載〕の趣旨について説明がなされるとともに、今後会員校がどのようなスタンスで各校の到達目標を定めていく予定なのかについて、アンケート調査を行う予定であることが説明されました。
7 教員研修の報告の件
教員研修等検討委員会の松原芳博主任より、今年度実施されました司法研修所における教員研修会の内容と成果について報告がありました〔報告書は12月20日協会HPに掲載〕。
8 新司法試験アンケート調査の結果報告の件
司法試験等検討委員会の笠井治主任より、今年度の新司法試験について行われたアンケート調査の集計結果と今後の調査方法について、報告がなされました〔調査結果は11月29日協会HPに掲載〕。
9 その他
(1)韓国法科大学院協会との交流について
後藤常務理事より、井上常務理事を通じて韓国法科大学院協会のChon 教授(ソウル大学)から申入れがあり、日韓で法科大学院の状況について意見交換する機会を持つことにしたい旨の報告がありました。
(2)司法修習給費制の延長について
会員より、給費制の維持を求める立場から、理事長所感の見直しについて意見が出されました。青山理事長からは、長期的な視点に立ったうえで制度の検討をしていく必要性が指摘されました。
(3)次回の総会について
後藤常務理事より、次回の総会が、3月19日(土)午後、大阪大学で開催され、役員改選が予定されていることが説明されました。
シンポジウム「法科大学院修了生の職域」 総会に引き続いて開催されたシンポジウムでは、法科大学院修了生の職域の拡大が必ずしも十分となっていない現状をふまえて、法曹有資格者の職域拡大を阻む諸要因、職域拡大の可能性と方策について、基調報告がなされた後、意見交換が行われました。 |
Ⅲ 前回(2010年6月)以後の主な動き
その他、前回の総会以降の、法科大学院協会の主な活動と関連行事について、以下に列記して、報告いたします。
◎ 日弁連執行部との意見交換会(6月28日、8月30日、10月27日:日弁連会議室)
◎ 司法研修所との意見交換会(6月24日:首都大学、10月20日:明治大学)
◎ 修習生の給費制問題に関する理事長所感の公表(10月12日:協会HPに掲載)
◎ 司法修習予定者に対する日弁連の事前研修への協力(9月~11月:修了生合格者が参加)
◎ 日弁連・法務省・外務省共催の国際法曹養成セミナーへの協力(8月25日~27日:国際法学会・法科大学院協会後援。在学生・修了生が参加)
◎ シンポジウム「変化する企業法務―法科大学院に期待される役割」:法科大学院協会・文科省・法務省共催(7月3日:法政大学)
◎ シンポジウム「企業内弁護士の現在と未来」:日本組織内弁護士協会主催・法科大学院協会後援(10月16日:早稲田大学)
◎ 「中央省庁合同業務説明会」:法科大学院協会職域問題等検討委員会・人事院共催(9月13日:明治大学)
◎ 修了生の活動状況紹介(11月:協会HPでジュリナビにリンク、日銀・中央省庁で活躍の例)
◎ 専門委員会委員人事(理事会承認):
入学者選抜・適性試験等検討員会委員:藤本亮教授(静岡大学)に委嘱(6月25日)
司法試験等検討委員会委員:幡野弘樹准教授(立教大学)に委嘱(10月30日)