News Letter No.26 (2010年6月12日理事会及び総会報告)

法科大学院協会事務局

 法科大学院協会理事会が、2010年6月12日(土)午前11時より、学習院大学東2号館13階大会議室で、同総会が、同日午後1時より、西5号館2階202教室で開催されました。開催に当たり、会場の提供、準備にご尽力下さいました野坂泰司法務研究科長をはじめとする学習院大学の関係者の皆様に篤くお礼申し上げます。
以下、総会で審議・決定された事項を中心に、概要をご報告申し上げます。

総会では、議事に先立ち、文部科学省の中野理美高等教育局専門教育課専門職大学院室長より挨拶があり、姫路獨協大学法科大学院における募集停止等、法科大学院をめぐる厳しい状況について触れられた後に、①各法科大学院における組織見直しの必要性とこれを促すための公的支援の見直し、②中教審法科大学院特別委員会第3ワーキング・グループ調査の状況、③法務省と文科省の共同で発足した法曹養成検討ワーキングチームに関する状況、④財務省の予算執行調査で法科大学院が本年度の対象事案に選定されたこと、⑤総務省に設置された「法科大学院(法曹養成制度)の評価に関する研究会」の状況等について説明がありました。
引き続き、議事に移り、後藤昭常務理事の司会の下、以下の事項について報告と提案がなされ,いずれも承認されました。

1 2010年度予算の件

浦川道太郎財務担当理事より、前回の総会で承認された2010年度予算について、協会ホームページ作成費(52万5000円)を計上していなかったことから、予算の修正という形で対応したい旨が説明され、承認されました。
また、予算に関連する事項として、浦川財務担当理事より、規約(会費等細則)によると、年会費は、1学年の定員が60名以下の会員 5万円、60名を超える会員 10万円となっており、各法科大学院が入学定員を下げていることから、入学定員が従来60名を超えていたが60名以下になった法科大学院が存在し、これらの法科大学院については会費を下げる必要があることが説明され、①当年度の入学定員を基準に当該年度の会費を算出する取扱いとする(平成22年度の会費は、平成22年度の入学定員を基準に決める)、②平成22年度のみならず過年度の分も含めて、これまでにした請求に応じて納め過ぎたことになる法科大学院については、これを返還する旨が報告されました。

2 2009年度決算の件

浦川財務担当理事より、2009年度決算案について説明がなされ、野坂泰司監事より、適正である旨の監査報告があった後、決算案が承認されました。

3 法曹養成制度のあり方に関する連携協議の件

連携協議委員会の大澤裕主任より、前回の理事会・総会後の状況について、次のとおり報告があり、承認されました。

  1. 法務省からの新司法試験の成績提供は、昨年と同じ項目につき、昨年と同じ条件で行われることになり、これに沿って準備を進めている。
  2. 昨年同様、理事長名で、全会員校に対して調査への協力を依頼し、74校すべてから協力に応じる旨の回答を得た。本日の総会終了後に、協力校担当者向けの説明会を実施する。

4 適性試験実施主体の件

後藤常務理事が、今年度(平成22年)をもって、大学入試センターによる法科大学院適性試験の実施が終了することを確認したのち、今後の適性試験の実施について、入学者選抜・適性試験等検討委員会の松村良之主任より、現在の検討状況について、以下のとおり、説明がなされました。

  1. すでに、実施主体として適性試験管理委員会が設置され、活動を開始している。
  2. 試験は、現在、日弁連法務財団・商事法務の適性試験委員会が実施している4部制を採用する。
  3. 毎年、5月と6月の2回実施し、いずれも受験可能であり、また、いずれも選択可能とする方針である。

以上の説明に対して、質疑の中では、2回受けて点数の高い方を出してよいこと、2回受験した場合の受験料について割り引きをする方向で検討していること、2回の試験は等化の視点から近接した時期に実施することとした等の説明がなされました。

5 法科大学院修了者職域問題の件

法科大学院修了者職域問題等検討委員会の浜川清主任より、法科大学院修了者の職域問題について、次のとおり報告がありました。

  1. 前回の総会後の関係機関との協議としては、①法務省における意見交換会、②日弁連の法科大学院就職支援に関する意見交換会が開催された。
  2. 修了生就職動向調査プロジェクトについては、本年5月下旬にシステムが完成し、法科大学院協会に引き渡され、現在、修了生に対するID、パスワードの発行を進めており、各校での書込みの奨励等の協力をお願いしたい。
  3. 今後のシンポジウムの開催については、①本年7月3日に、企業法務シンポジウムを東京(法政大学外堀校舎)で開催する。②本年12月の法科大学院協会総会時のシンポジウムで職域問題を取り上げる。基本的な論点と諸制度の見直しを含め、職域問題を通じて法科大学院制度そのものを考えるといった形で、シンポジウムを計画している。

なお、本年12月の総会時のシンポジウムに関連して、浜川主任から、職域問題に関連して法科大学院制度そのものについて一定の方向性を考えておく必要性があるという問題提起がなされ、その点について検討を行うため、本年10月に、臨時の理事会を開催することとなりました。

6 共通的到達目標の検討の件

カリキュラム等検討委員会の山本和彦主任より、前回シンポジウム後の動きとして、法科大学院特別委員会では、共通的到達目標第2次案を受ける形で、第2ワーキング・グループで本年夏頃を目途に共通的到達目標の策定に向けて、①共通的到達目標の法科大学院教育における位置づけの明確化、②科目ごとの到達目標の精査がなされていく予定であることが説明され、検討委員会では、第2ワーキング・グループの審議の状況を見守りつつ適時臨機に対応したい旨が報告されました。

7 教員研修等の件

教員研修等委員会の松原芳博主任より、今年度の教員研修等の実施計画について、本年8月18日に民事、9月10日に刑事について(いずれも15名程度)、新司法修習の集合修習に関する見学及び司法研修所との意見交換を内容とする教員研修を実施することが報告されました。

8 その他

(1)前回総会以後の動き
後藤常務理事より、2010年3月の前回総会以後の動きについて、次のとおり報告がありました。

  1. 日弁連執行部と協会執行部との間での意見交換を行っており、第12回は、本年4月13日に開催され、法科大学院の当面する問題とそれへの対応、日弁連新執行部の法曹養成制度に関する方針が取り上げられた。次回(第13回)は、本年6月28日に開催の予定である。
  2. 司法研修所と協会執行部との間でのインフォーマルな意見交換については、次回(第8回)を、本年6月24日に、首都大学東京で開催する予定である。
  3. 法曹養成制度に関する検討ワーキングチームが、これまで9回の会議を行い、法科大学院、司法試験、司法修習の法曹養成制度の各段階における現状把握、若手弁護士や法科大学院教員等からのヒアリング、司法研修所や法科大学院への実地視察等を行ってきた。現在議論の取りまとめに入っている。6月22日及び25日でワーキングチームとしての最終取りまとめが行われる予定と聞いている。会議の概要や配付資料等については、法務省のホームページに掲載されている。

(2)日弁連からの資料配付と総会での説明
日弁連の高橋理一郎副会長より、就職、就業問題について深刻な状況にあることが説明されました。
また、第二東京弁護士会の伊東卓弁護士より、若手法曹サポートセンターの設置検討会議の準備に当たっている旨が報告されたほか、配布資料に沿って、修習生の就職状況についての説明がなされました。また、東京三弁護士会による新64期(今年の合格者)に対する合同説明会が、10月31日に開催されることについて案内がありました。

(3)国際法曹養成セミナーの後援について
後藤常務理事から、日本弁護士連合会が法務省・外務省と共催し、法科大学院協会と国際法学会が後援する、国際法曹養成セミナーについて案内がなされ、各校における広報をお願いしたい旨が説明されました。

(4)協会ホームページの改装と更新について
後藤常務理事より、法科大学院協会のホームページが、秋山常務委員の尽力によって、本年4月中旬より全面的に新しく、見やすいものとなったことが報告されました。
協会ホームページの更なる充実のために、各校においては取材等に積極的に協力を頂きたいとの要請がありました。

(5)雑誌「ロースクール研究」買い上げの件
青山善充理事長より、雑誌「ロースクール研究」(当初は季刊、現在は年2回の発行。定価は1,800円前後)について、同誌を発行する民事法研究会から、刊行継続のための協力の依頼があったことが説明されました。なお、同誌では、これまで2回、協会のシンポジウムの内容をまとめて掲載しており、直近では、最新の15号が昨年12月のシンポジウムの報告集を掲載しています。
この件については、理事会において、シンポジウム報告集など協会の持ち込んだ特集を掲載した号については、協会がまとまった数(たとえば100部)を買い取るということ、同誌に限らず、他の雑誌でも、協会の企画を掲載してもらったときには同様に買上げを行うということが提案され、承認された旨、および、この件を理事会で審議する際には同誌の編集委員を務めている者は退席していたことが報告されました。
総会においても、このような方針が承認されました。

(6)その他
日本弁護士連合会が行っている司法修習生に対する給費制維持の運動など、最近の法曹養成をめぐる動きについて、意見を交換した。

(7)次回及び次々回の理事会・総会について
後藤常務理事より、次回の総会は、12月18日(土)に専修大学で開催し、職域問題をテーマにしたシンポジウムも開催する予定であること、次々回の総会は、来年3月を予定していることがアナウンスされました。あわせて、次年度は役員改選が予定されているので、本年12月の総会で選考委員会を設置することが報告されました。

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