松下淳一前理事長の後任として法科大学院協会の理事長に就任した笠井正俊です。一言ご挨拶を申し上げます。
司法制度改革審議会の意見書(2001年6月)を受け、2004年4月に法科大学院制度が発足してから20年余りが経ちました。制度発足後2018年頃までは、入学志願者及び入学者の数が減少傾向にありました。その原因には、当協会の発信力や個々の法科大学院の魅力に反省すべき点があったことはもとより、司法試験合格者数が同意見書が想定したようには増加しなかったこと、司法試験予備試験の存在、法曹という職業や法科大学院に対するネガティブな見方が表明されるようになったことなどの制度的、社会的要因もあったとみられます。
そして、この間には、入学者の減少や公的支援の見直し等を契機とした個々の法科大学院の廃止、司法試験合格者数の2000名程度から1500名程度への減少等の状況がありましたが、一方で、法科大学院全体の定員管理や厳格な認証評価、そして各法科大学院の不断の努力により、教育の質の確保や向上が図られてきました。
その後、2019年の法改正で、いわゆる「3+2」、すなわち法学部の法曹コース3年と法科大学院の既修者コース2年の計5年で法学部入学から法科大学院修了に至る道筋が整備されるとともに、法科大学院の学生は、司法試験を在学中に受験することができるようになりました(未修者コースの学生も在学中の受験資格を有します)。これらにより、1年の司法修習を含め、法学部入学から最短6年で法曹資格を得ることができるようになり、法曹を志す方々の時間的経済的な負担が軽減されました。そのこともあってか、法科大学院の志願者数は2019年から徐々に増加し、入学定員充足率も100パーセントに近付きつつあります。このようにして、各法科大学院は、その特色を活かした法曹養成教育に注力できる状況となってきています。
法科大学院協会としては、以上のような状況を踏まえて、「法科大学院相互の協力を促進して法科大学院における教育水準の向上をはかり、もって優れた法曹を養成し、社会に貢献すること」という目的の実現のために、様々な活動を展開していきます。網羅的ではありませんが、例えば、以下のような活動を継続し、あるいは開始する予定です。
・いわゆる「3+2」及び在学中受験の制度改革の成果と課題の検討
・在学中受験を踏まえた法科大学院のカリキュラムの在り方に関する会員校同士の情報共有
・法科大学院教育と司法修習(特に導入修習)との連携の在り方に関する検討及び司法研修所との意見交換
・2026年の司法試験から導入されるCBT方式(パソコンを用いた司法試験の実施)に関する情報収集及び会員校への情報提供、会員校の意見集約と課題の抽出に基づく法務省への提言
・共通到達度確認試験の在り方に関する検討
・司法試験の問題についてのアンケートの実施とその結果の分析・公表
・関連法律の改正等を踏まえた「共通的な到達目標モデル」の改訂に向けた検討
・修了生の職域に関する情報収集及び関係各所との連携
・司法試験予備試験の在り方に関する検討
以上を含めた活動を展開するために、松下前理事長の路線を踏襲しつつ、会員校の皆様のご協力を得ながら、文部科学省、法務省、最高裁判所、日本弁護士連合会を始めとする関係各所とも緊密に連携していきます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
2026年6月18日
法科大学院協会理事長 笠井正俊(京都大学)
