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法科大学院協会理事長

大 貫 裕 之

司法制度改革の原点

2001年の「司法制度改革審議会意見書-21世紀の日本を支える司法制度-」にはじまる今般の司法制度改革において、法科大学院制度は、司法制度の「制度的基盤の整備」、「国民の司法参加」と並ぶ、改革の三本柱の一つ、司法の「人的基盤の拡充」の中核をなしています。しかも、法科大学院制度を中核とする法曹養成制度の改革は、「改革全体の円滑な実現に不可欠な前提条件」と位置づけられております。司法修習とともに旧制度の中核をなしていた旧司法試験は、受験資格において開かれたものではありましたが、極端に低い合格率の観点からいえば、きわめて閉鎖的な性格を持っていました。また、司法試験の受験資格におけるオープンさと密接に関わりますが、旧司法試験は組織だった法曹養成教育を前提にしたものではありませんでした。このような旧司法試験を柱とした法曹養成制度によっては、司法の「人的基盤の拡充」のために必要な質・量ともに豊かな法曹を産み出すことはできないとの考えから法科大学院が構想され、2004年に開学しました。これにより、法科大学院における法曹養成教育を中核としつつ、それと、司法試験、司法修習を有機的に連携させた「プロセス」としての法曹養成制度が構築されました。

その後

ところが、法科大学院が開設された2004年以降の経過は、大きな期待を担って創設された、このプロセスとしての法曹養成制度が、さまざまな問題により安定していないことを示すものとなっています。弁護士の就職難、収入減という情報、司法試験合格率が単年度で約20%台に止まっていること、比較的高い学費負担などにより、法科大学院志願者は減少を続け、2016年は約3200人(実数)になりました。

改革への試みと現状

しかしながら、この間の関係者のさまざまな努力の結果、制度は安定化に向かっています。弁護士の活動領域は着実に拡大しており、活躍の舞台は、法律事務所だけでなく、企業、公務員、国際機関、国会議員政策秘書など実に多様になりました。弁護士の就職難といわれる状況も確実に解消されつつあります。司法試験に合格し司法修習を終えた者の97%が就職でき、しかも、弁護士5年目の年収(中央値-経費等を引く前の数字)は1,081万円と、安定した収入を得ています。

また、法科大学院の既修者コース修了者の司法試験の累積合格率(受験資格のある期間内に受験者が合格した割合)は約7割になっています。2017年度の法科大学院全体の定員は2,556名で入学者は1,704人です。政府が司法試験の合格者数の当面の努力目標とした1,500人を前提とすると、真摯に勉学に取り組めば入学者の大半が司法試験に合格できる状況になっています。

授業料免除や奨学金も一層充実してきており、法科大学院生も利用できる大学全体の制度も含めると、すべての法科大学院において給付型(返還不要)の経済的支援制度があり、奨学金だけで授業料や生活費をまかなう学生さんもいます。また、2017年から、司法修習生に対する給付金制度が新設され、基本給付として一律月額13.5万円、住宅給付として月額3.5万円が支給されます。さらに、学業成績が優秀な学生については、飛び級制度や早期卒業制度を利用して、学部3年+法科大学院2年で法科大学院を修了する道が拡充されています。

残された課題の解決-連携と法曹志望者への配慮

このように、法科大学院を中核とする法曹養成制度は安定化に向かっていますが、法科大学院制度に甚大な影響を及ぼしている予備試験(社会的経験を有する者、経済的に困窮する者などにも法曹資格を取得する途を開くために設けられた試験で、これに合格した者は法科大学院を経ずに司法試験を受験することができます)の制度趣旨に沿った運用の実現、法科大学院教育と、司法試験、司法修習とのさらなる連携、社会人や他学部生を念頭に置いた法学未修者教育の充実、法曹の魅力発信をはじめとしてさまざまな課題があります。しかし、幸いにして、2001年から始まったこのたびの法曹養成制度改革によって、裁判官、検察官、弁護士という法曹三者の間だけでなく、これらと文部科学省および法科大学院の間にも、緊密な連携関係ができています。この連携を基礎として、そして法曹を目指し、社会のインフラたろうとする方の声に充分に耳を傾け、関係者において真摯に取り組めば課題は解決できるものと信じております。

法科大学院協会の立場-負託された使命を自覚して

全国のすべての法科大学院が会員となっている法科大学院協会は、法科大学院相互の情報の交換、協力の促進、教育水準の向上を図り、もって優秀な法曹を養成し社会に貢献することを目的として2003年12月に設立されました。法科大学院協会は、この設立趣旨に則り、これまで、カリキュラムのあり方、講義の共通的な到達目標モデル作成、入学者の選抜方法、臨床系教育のあり方、司法試験および司法修習と法科大学院の連携のあり方、法科大学院修了生の就職問題などについて、提言を公表したり、シンポジウムを開催するなどさまざまな活動を行ってきました。

法科大学院をとりまく情勢は安定化に向かいつつあるとはいえ、一層、法曹養成制度を安定させ、さらに制度をより良いものにしていかなくてはなりません。法科大学院協会に加盟する会員校において教育に携わるすべての教職員は、法曹養成制度を支える関係者の皆さまとの真摯かつ緊密な連携に基づいて、法科大学院に負託された、社会の基盤たる法曹を丁寧かつ着実に育てる使命を果たすべく努める所存です。

法科大学院制度および会員校において教育に携わるすべての教職員に対する皆さまの一層のご理解とご支援を心よりお願いいたします。

 

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