News Letter No.28 (2011年6月12日理事会及び総会報告)

法科大学院協会事務局

 法科大学院協会の理事会が、2011年6月12日(土)午前11時半より、TKP東京駅日本橋ビジネスセンター2階カンファレンスルーム2Bで、また、総会が、同日午後2時から、同2階ホール2Aで開催されました。また、総会に引き続いて、同日午後5時より、新理事による理事会が開催されました。

今回の理事会・総会は、本年3月19日(土)に大阪大学において開催が予定されていた理事会・総会が、東日本大震災の影響を受けて延期され、開催されたものです。

なお、総会の冒頭、青山善充理事長より、今回の総会開催に至る経緯とともに、あわせて、3月19日総会までの任期が予定されていた役員が引き続いて6月12日まで業務を続けたことについて説明がなされ、了承されました。

また、青山理事長からは、東北の震災についてのお見舞いの言葉が述べられ、東北大学法科大学院の佐藤隆之院長と東北学院大学法科大学院の梅津昭彦院長から、それぞれの法科大学院における状況と支援に対するお礼の挨拶がありました。

以下、理事会及び総会で審議・決定された事項を中心に、概要をご報告申し上げます。

総会では、議事に先立ち、文部科学省の内藤敏也高等教育局専門教育課長より挨拶があり、法科大学院協会の平素の活動についての謝辞、ならびに東日本大震災における各法科大学院及び法科大学院協会の対応について謝辞が述べられた後に、①法科大学院特別委員会における改善状況調査についての状況と今後の予定の報告、②平成23年度入学者選抜についての状況の報告、③財務省予算執行調査についての状況の報告、④総務省が実施している「法曹人口の拡大及び法曹養成制度の改革に関する政策評価」についての状況の報告、⑤法曹の養成に関するフォーラムについての報告等がなされました。特に、④については、この調査の対象は、あくまで法務省・文部科学省であり、それぞれの法科大学院ではなく、また、学問の自由や大学の負担への配慮について、文部科学省から総務省に対して強く申し入れている旨の説明がありました。

1 理事選考及び新理事長の選出に関する件

(1) 新理事について

前回の総会において設置された理事選考委員会の選考結果について、選考委員を代表して浦川道太郎委員から報告がなされました。浦川委員から、新理事として提案されたのは、以下の方々です(あいうえお順)。

荒木尚志教授(東京大学)

伊東研祐教授(慶応義塾大学)

鎌田薫教授(早稲田大学)

紙野健二教授(名古屋大学)

河内隆史教授(明治大学)

木下正俊教授(広島大学)

佐藤隆之教授(東北大学)

潮見佳男教授(京都大学)

曽和俊文教授(関西学院大学)

谷口勢津夫教授(大阪大学)

橋本正博教授(一橋大学)

福原紀彦教授(中央大学)

前田雅英教授(首都大学東京)

松生光正教授(九州大学)

森田章教授(同志社大学)

総会において、以上の提案が承認され、新理事が選出されました。

(2) 新理事長の選出等について

以上の新理事の選出を受け、規約14条により、理事長を理事の互選により選出するため、総会を一時中断し、別室において、理事長選出のための理事会が開催されました。

この理事会において、鎌田薫理事(早稲田大学)が、新理事長に選出されました。

鎌田理事長により、規約15条に基づき、副理事長等に、以下の方々が指名されました。

副理事長:井上正仁教授(東京大学)、中森喜彦教授(近畿大学)

専務理事:後藤昭教授(一橋大学)

常務理事:磯村保教授(神戸大学)、大貫裕之教授(中央大学)、村中孝史教授(京都大学)

また、常務委員等について、以下の方々が指名されました。

常務委員:秋山靖浩教授(早稲田大学)、笠井正俊教授(京都大学)、窪田充見教授(神戸大学)

事務局長:中山幸二教授(明治大学)

事務局次長:松下淳一教授(東京大学)、松原芳博教授(早稲田大学)

専門委員会主任・対策本部主任:

カリキュラム等検討委員会主任:笠井正俊教授(京都大学)

教員研修等検討委員会主任:片山直也教授(慶應義塾大学)

司法試験等検討委員会主任:笠井治教授(首都大学東京)

入学者選抜・適性試験等検討委員会主任:松村良之教授(千葉大学)

臨床系教育等検討委員会主任:佐久間修教授(大阪大学)

修了生職域委員会主任:大村雅彦教授(中央大学)

法曹養成問題対策本部主任:土井真一教授(京都大学)

2 監事選任について

規約16条に基づき、以下の方々が、新監事に選出されました。

臼木豊教授(駒澤大学)

長井長信教授(北海道大学)

3 準会員校辞退について

準会員校の国士舘大学より、退会の申し出があり、理事会で承認された旨が報告されました。

4 決算及び予算について

浦川道太郎財務担当理事より、2010年度決算について報告がなされました。

同決算について、野坂泰司監事より、会計が適正に執行されている旨の報告があり、総会において承認されました。

また、2011年度予算案について、中山幸二事務局長代行から説明があり、承認されました。

5 法曹養成制度のあり方に関する連携協議について

連携協議委員会の大澤裕主任より、2010年の新司法試験に関する連携検証について、本年3月末までに報告書を完成し、無事終了することができた旨の報告があり、会員校の協力に対し謝辞が述べられました。

また、文科省の先導的大学改革推進委託事業による事業委託が本年3月で終了したことから、本調査を終了することについて、理事会で承認されたことが報告されました。

これに伴って、連携協議委員会が廃止され、法曹養成制度のあり方に関する関係機関との協議については、法曹養成問題対策本部が引き継ぐこととなります。

6 適性試験実施について

入学者選抜・適性試験等検討委員会の松村良之主任より、適性試験の実施について、適性試験の出願数等について、報告がなされました。

7 共通的到達目標アンケートについて

カリキュラム等検討委員会の笠井正俊主任より、「共通的な到達目標モデル(第2次修正案)」に関するアンケートについて、72校からの回答が得られたこととともに、アンケート結果の概要について、報告がなされました。

8 新司法試験及び予備試験に関するアンケート調査について

司法試験等検討委員会の笠井治主任の代わりに中山事務局長代行より、新司法試験についてのアンケートについて、文章について若干の手直しをしたうえで、例年と同様の形式で実施している旨の報告がなされ、各法科大学院に対して協力をお願いしたい旨が説明されました。

また、本年度から開始された予備試験についても、別途アンケート調査等を予定しており、これについても、具体的に実施するさいには、協力をお願いしたい旨の説明がありました。

9 教員研修について

教員研修等検討委員会の松原芳博主任より、本年度も、昨年度と同じ形式で、夏休みに、司法研修所で見学と意見交換という2つの形式で、研修を行う予定であり、日程が確定し次第、案内をする旨が報告されました。

10 修了生の職域問題について

修了生職域委員会の大村雅彦主任より、法科大学院修了者の職域問題について、①12月18日に開催されたシンポジウムの内容が最新号の『ロースクール研究』17号に掲載されたこと、②修了生就職動向把握プロジェクトについては、今後、事務的作業が増大していくことが予想され、予算措置も含め、引き続き理事会で審議していくことになったこと等について、報告がなされました。

これについては、総会において、大小の参加校一律に参加費を増額するのは合理的でないという意見も出され、そうした点も含めて、理事会で検討していく旨の説明がなされました。

11 その他

(1) 事務局の移転について

後藤昭常務理事より、5月1日に事務局が移転したことの説明がありました。

(2) 前回の総会以後の法科大学院をめぐる動きについて

後藤常務理事より、前回の総会以後の動きについて説明がありました。

1. 総務省パブリックコメントに対する意見書を、1月24日付で、総務省政策評価室に提出するとともに、法科大学院協会のホームページにも掲載した。

2. 持ち回りの理事会(3月12日)を経て、法曹養成問題対策本部が設置された。

対策本部長:青山善充理事長(役職は当時)

本部長代行:井上正仁常務理事(同上)

本部主任:土井真一教授

3. 協会と外部との意見交換等について、①日弁連執行部との意見交換(1月27日)、②司法研修所との意見交換(2月10日)、③民事系・刑事系のワーキング分科会(3月3日)が開催された。これらは、いずれもインフォーマルな意見交換会で、一定のことを決めるという趣旨のものではない。

4. 協会の外部の動きとしては、政府の「法曹の養成に関するフォーラム」が設置され、第1回会合が5月25日に開催された。

5. 総務省の政策評価・実地調査について、38校の法科大学院を対象として、調査が始まっている。

6. 予備試験が実施された。

なお、上記5の総務省の政策評価・実地調査については、総会において意見交換がなされました。

まず、井上正仁常務理事・対策本部長代行から、パブコメにおいて、①今回の調査では、行政機関の政策評価という域を踏み越えていないかという問題がある、②これは文科省・法務省の政策評価であって、各法科大学院の政策評価ではないはずであり、節度を守って欲しい、③学問の自由、大学の自治という観点からも、第三者評価でも慎重な対応がなされているのであり、その点、今回の調査でも慎重に行ってほしい、旨の意見を法科大学院として表明しているが、現在始まっている調査においてはこうした意見が十分に反映されておらず、あらためて意見(案)を作成した旨の説明がありました。また、こうした状況をふまえて、各法科大学院においては、①どのような人が調査を行い、どのように調査結果を使うのかについて、十分に説明を求め、疑念を残さないように対応してほしい、②大学自治の観点から疑義がある場合には、回答を留保するという対応もあるのではないかと考えられる、そうした場合には協会にも知らせてほしい、③法曹人口の問題とも絡んだ質問等がなされる可能性もある、これらについても、今までの意見等を踏まえて慎重に対応してほしい旨の要望が示されました。

これを踏まえて、意見交換がなされました。その中では、すでに調査が始まっている法科大学院において、具体的にどのような対応をとったかについての説明等もなされました。

なお、文科省からは、今回の調査はあくまで文科省・法務省を対象とする調査であり、その一環として、文科省が保有する各法科大学院に関するデータも、公にするという前提で収集したものは総務省に提供している旨の説明がありました。

(3) その他

日弁連(椛嶋裕之・法科大学院センター副委員長)から、法科大学院生に対する経済的支援制度をまとめたパンフレットについて説明があり、必要な部数を申し出れば、無償で配布する旨の説明がありました。

また、同じく日弁連(金塚彩乃・国際室嘱託)から、人材養成セミナー「国際分野のスペシャリストを目指す法律家のためのセミナー」(法科大学院協会も後援)について説明がありました。

(4) 青山善充理事長の退任の挨拶

青山理事長から、3年間の任期の終了に当たって、法曹養成制度をめぐり現在さまざまな動きがあるが、日本の司法制度の将来のために法科大学院の当初の理念を堅持し、いっそう発展するよう、各会員校は新執行部の下で協力してほしい旨、退任の挨拶がありました。

(5) 次回の総会について

後藤昭常務理事より、次回の総会が、12月の土曜日に予定されている旨の説明がありました。これについては、新執行部の日程調整をしたうえで、会場を確保し、あらためてご案内します。

なお、総会終了後、新理事による理事会が開催されました。

この理事会では、①総会を現在の年3回から年2回とすること、②総務省の調査については、理事会・総会における議論を踏まえて、意見書の修正と公表について対策本部で対応すること、③修了生の就職動向調査に関しては、従来の理事会等における議論を整理したうえで、新理事会で検討すること、以上の方針が確認されました。

また、青山善充・前理事長に協会の特別顧問を委嘱することが決定されました。

以上

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