News Letter No.25(2010年3月13日理事会、総会及びシンポジウム報告)

法科大学院協会事務局

 法科大学院理事会が、2010年3月13日(土)午前10時半より、関西学院大学上ヶ原キャンパスB号館201教室で、同総会が、同日午後0時半より、同C号館201教室で開催されました。また、総会に引き続いて、同教室で、シンポジウム「共通的到達目標(コア・カリキュラム)と法科大学院教育」が開催されました(シンポジウムについては専門職大学院等における高度専門職業人養成教育推進プログラム「法科大学院コア・カリキュラムの調査研究」と共催)。開催に当たり、会場の提供、準備にご尽力下さいました豊川義明司法研究科長をはじめとする関西学院大学の関係者の皆様に篤くお礼申し上げます。
以下、総会で審議・決定された事項を中心に、概要をご報告申し上げます。

総会では、議事に先立ち、文部科学省の澤川和宏高等教育局専門教育課長より挨拶があり、①未修者についての法律基本科目6単位を増加することを可能とする専門職大学院設置基準改正と法科大学院の認証評価に関する細目省令の改正、②各法科大学院における定員の見直し及び入学者選抜の状況、③教育の改善状況についての実地調査等、④法科大学院に対する財政支援のあり方の見直し、⑤法曹養成検討ワーキングチームについて説明がありました。
引き続き、議事に移り、後藤昭常務理事の司会の下、以下の事項について報告と提案がなされ,いずれも承認されました。

1 2010年度予算の件

浦川道太郎財務担当理事より、2010年度予算について、前年度までの予算との変更点として、修了生就職動向調査プロジェクトシステム費用として計上されている200万円であること、これは1回だけの支出であり、来年度以降は各加盟校がメインテナンス費用を負担することになること等について説明があり、承認されました。

2 法曹養成制度のあり方に関する連携協議の件

連携協議委員会の大澤裕主任より、今年度の連携検証の進行状況について、次のとおり報告と提案があり、承認されました。

  1. 2009年新司法試験に関する関連性調査は、無事予定していた作業を終了し、3月19日には、報告書が完成する予定である。今回の調査においては、全国74校の法科大学院のうち68校をカバーし、法科大学院修了後、新司法試験を受験しなかった者についてもデータの収集・分析を行った点で、調査の規模・内容それぞれにおいて、試行的調査よりも充実したものとなった。この作業に当たってくれた早稲田大学の法務教育研究センターに感謝したい。
  2. 関連性調査は、文部科学省の「先導的大学改革推進委託事業」として2カ年の実施計画で認められているため、本年度に引き続き新年度についても、予算が付く見込みである。そこで、2010年新司法試験についても、引き続き、早稲田大学法務教育研究センターを拠点として、調査を実施することとしたい。
  3. 来年度の調査の内容・方法については、今後、法務省をはじめとする関係機関との協議が必要であるが、協会としては、本年度と同様とすることを基本として、協議に臨みたい。協議において、臨機の対応が必要となった場合には、連携協議委員会において、執行部に図りつつ、対応することとし、また、結果については、6月の理事会・総会で報告し、必要があれば了承を得ることとしたい。

3 適性試験実施主体の件

担当の永田眞三郎専務理事より、2011年以降の適性試験の実施について、①法科大学院協会、法務研究財団、商事法務研究会の三者による準備会により、具体的な実施に向けて検討作業がなされていること、②大学入試センターに対して、センターの適性試験のコンセプトや出題形式を継承するために、出題委員の委嘱等について協力を依頼したことが報告されました。
なお、この説明に対して、会場からは、従来のセンターの適性試験程度の会場数を各地に確保して欲しい旨の意見が出されました。

4 法科大学院修了者職域問題の件

法科大学院修了者職域問題等検討委員会の浜川清主任より、法科大学院修了者の職域問題について、次のとおり報告と提案があり、承認されました。

  1. 関係機関との協議について、昨年12月総会以後、①法務省との意見交換会(2010年1月29日開催の第6回意見交換会)において、各団体から報告があり、協会からは特別採用について経済界の尽力を求めたが、景気動向から困難であるとの意向であった、②日弁連との協議(同年2月18日開催)において、日弁連が予定している法科大学院における就職支援に関する意見交換会(本年5月15日(土)開催予定)について委員会に協力が求められた。
  2. 修了生就職動向調査プロジェクトについて、現在69校(後に71校)が参加することになっているが、是非、全法科大学院が調査プロジェクトに参加していただきたい。新62期生の就職状況をみると、修了生のうち法曹有資格者は概ね判検事および法律事務所に就職できている。しかし、この程度の合格者数では多様な職域の拡大は困難である。委員会は、修了生のうち法曹資格を獲得しなかった者、修習を経ないで就職する者の就職動向の調査に取り組んでいる。
  3. 企業法務シンポジウムを、7月初旬に東京または関西で開催の方向であり、法務省、文科省、法科大学院協会の共催で行う方向で関係方面と協議中である、職域問題シンポジウムを、企業、官公庁の参加も得て、12月の総会時に開催する方向で検討を行っている。

5 共通的到達目標の検討の件

カリキュラム等検討委員会の山本和彦主任より、共通的到達目標(コア・カリキュラム)策定に向けた検討状況等について、昨年12月末に第1次案が公表され、関係者から広く意見が求められたが、法科大学院協会でも、各会員校に対して第1次案に関するアンケート調査を行ったこと、アンケートは、1月中旬に発送、2月中旬頃までに回答ということで検討をしていただき、多くの法科大学院から回答を得ることができたことが報告されるとともに、その結果の概要について説明がなされました。

6 その他

(1)前回総会以後の動き
後藤常務理事より、2009年12月の前回総会以後の動きについて、次のとおり報告がありました。

  1. 日弁連執行部と協会執行部で、共通的到達目標(コア・カリキュラム)第一次案および法曹養成をめぐるこの間の情勢等について、本年2月15日にインフォーマルな意見交換を行った。次回の開催は、4月13日の予定である。
  2. 司法研修所と協会執行部で、共通的到達目標(コア・カリキュラム)第一次案について、本年2月8日に、インフォーマルな意見交換を慶応大学において行った。次回の開催は、6月24日の予定である。
  3. 民間有識者による(前連合会長・高木剛氏らなど)法曹養成制度改革に関する提言が、本年2月24日に発表された。
  4. 「法曹養成制度に関する検討ワーキングチーム」が設置され、第1回の会合が、本年3月1日に行われた。設置主体は、法務省及び文部科学省で、目的は、法科大学院を中核としつつ、法科大学院における教育と司法試験及び司法修習生の修習とを有機的に連携させた新たな法曹養成制度の問題点・論点を検証し、これに対する改善方策の選択肢を整理するものであり、具体的な検討内容は、①現在の法曹養成制度の問題点・論点、②上記問題点・論点を解決するための改善方策の選択肢の整理、③上記改善方策を決定するためのフォーラムのあり方である。

なお、総会においては、以上の報告を受けて、法科大学院をめぐる最近の状況について意見交換がなされました。

(2)ホームページの充実について
後藤常務理事から、新しいホームページについて、近日中に公開できる予定であることが報告されました。

(3)「社会を明るくする運動」中央推進委員会加盟の件
後藤常務理事から、法科大学院協会に対して「社会を明るくする運動」中央推進委員会への加盟要請があったことが報告され、審議の結果、加盟することについて承認されました。

(4)理事、主任人事等について
法科大学院長の交替に伴う理事の交替について、東京大学の佐伯仁志教授から大村敦志教授に、神戸大学の赤坂正浩教授から泉水文雄教授に、立命館大学の市川正人教授から松宮孝明教授に、北海道大学の松久三四彦教授から長井長信教授に、九州大学の西山芳喜教授から松生光正教授に理事を交替することが承認されました。
協会の事務局態勢について、明治大学の中山幸二教授が事務局長代行に就任すること、清水真事務局次長が常務委員へ異動することが報告されました。
また、教員研修等委員会主任が、田口守一教授から早稲田大学の松原芳博教授に交替することが報告されました。

(5)次回及び次々回の理事会・総会について
後藤常務理事より、次回の理事会・総会は、本年6月12日(土)に、学習院大学で開催すること(午前11時から理事会、午後1時から総会の予定。シンポジウムは開催しないことになりました)、次々回の理事会・総会は、本年12月18日(土)に、専修大学で開催し、総会終了後、修了生の職域問題を中心とするシンポジウムを行う予定であることがアナウンスされました(午前10時半理事会、午後12時半から総会、午後2時-5時半シンポジウムの予定)。

シンポジウム「共通的到達目標(コア・カリキュラム)と法科大学院教育」 
総会に引き続き開催されたシンポジウムでは、「法科大学院コア・カリキュラム調査研究」グループにおいて、文部科学省の「専門職大学院等における高度専門職業人養成教育推進プログラム」に基づき、平成20年度・21年度にわたってなされてきた法科大学院コア・カリキュラムの調査研究による法律基本科目および法律実務基礎科目に関する共通的到達目標(コア・カリキュラム)のモデル案が策定・公表されたこと、また、法科大学院協会のカリキュラム等検討委員会による加盟校の協力による「共通的到達目標に関するアンケート調査」等がなされたことをふまえ、上記調査研究グループのメンバーによる基調報告及び上記委員会のメンバーによるコメントがなされた後、意見交換がなされました。

 

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