News letter No.18(2007年12月15日常務委員会、理事会、総会報告)

法科大学院協会事務局

法科大学院協会総会が、2007年12月15日(土)午後2時より,同志社大学至誠館において開催されました。また,総会に先立ち,午前11時より常務委員会が、12時30分より理事会が開催されました。開催に当たり会場の提供,準備等でご尽力いただいた深田三徳理事はじめ同志社大学関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。

総会では,後藤昭常務理事の司会の下,以下の事項について報告と提案がなされ,承認されました。議事に先立ち,佐藤幸治理事長より挨拶があり、昨今の法科大学院をめぐる厳しい状況(新司法試験で予想されたうちの最低限の合格者数、法科大学院教員である新司法試験考査委員の不適切行為の不祥事、法曹養成制度改革に対する各方面からの後ろ向きの発言など)の中、一つひとつに過剰に反応することなく冷静に対応するよう呼びかけがなされ、あらためて法科大学院を中核とする法曹養成制度の全体構造の確認と国際的な法曹改革の動向を踏まえた長期的かつ広い視野の必要が指摘されました。続いて、文部科学省高等教育局の久保公人審議官より,最近の法科大学院をめぐる状況とその政治的背景、現在進められている検証作業について説明があり,法科大学院からの積極的な情報公開の必要性が強調されました。

以下,総会で審議・決定された事項を中心に概要をご報告申し上げます。

1 慶應義塾大学法科大学院に対する処分の件

9月1日の理事会で決定された慶應義塾大学法科大学院に対する1年間の会員資格停止処分について、すでに会員メール及びNews letter No.17でお知らせしましたが、佐藤理事長より、本総会において、上記決定に至る理事会での審議の経過と処分の内容が報告されました。

2 規約改正の件

佐藤理事長より,法科大学院協会規約第9条につき改正の提案がなされました。現行規約第9条は、会員に対する処分として除名・戒告・資格停止を規定していますが、総会決議による除名処分とは別に、理事会決定で戒告又は会員資格停止の処分を行うことができる趣旨を文言上確認し、明確にするため、同条2項の文言を整理する旨の提案です。質疑の後、提案を一部修正のうえ、以下の改正規定案が承認されました。(下線部が改正部分)

第9条(会員の処分

  1. 会員が本会の目的に反する行為をしたとき、又は会員としての義務に反したときは、理事会の提案に基づく総会の決議により除名することができる。その議決は、総会員の3分の2以上の多数による。
  2. 理事会は、会員が本会の目的に反する行為をしたとき、又は会員としての義務に反したときは、当該会員に対し、戒告又は会員資格停止の処分を行うことができる。

3 理事および主任の補充人事の件

佐藤理事長より、慶應義塾大学所属の豊泉貫太郎理事及び宮島司教員研修等委員会主任から提出された辞任の申出について9月1日付で理事会が受理したことが報告されました。後任の理事として、青山善充教授(明治大学法科大学院長)が提案され、異議なく承認されました。教員研修等委員会主任については、その職務の性質上、司法研修所等との連絡・調整が不可欠のため、在京の方が望ましいと考えており、加藤哲夫専務理事を中心に選任作業を進めたいとの説明がなされ、執行部に一任することが承認されました。

4 理事選考委員会の設置の件

佐藤理事長より、現在の役員の任期が2008年3月に満了することから、規約第13条に基づき理事選考委員会の設置が提案されました。同条2項による「前任理事長」としての佐藤理事長のほか、理事選考委員6名として、長谷部恭男教授(東京大学)、鎌田薫教授(早稲田大学)、大村雅彦教授(中央大学)、中森喜彦教授(京都大学)、深田三徳教授(同志社大学)、田邊誠教授(広島大学)が推薦され、異議なく承認されました。

 なお、理事候補の推薦にあたっては、地域配分等を考慮して選考する方針である旨の説明があり、参考のため、前回2005年3月の選考委員会では、大まかな目安として、関東7、関西4、東北・北海道・新潟1、中部・北陸1、中国・四国1、九州1という地域配分が勘案されたこと(News letter No.6参照)が紹介されました。

5 専門委員会の設置の件

佐藤理事長より、現在、司法修習修了者の就職が大変厳しい状況にあり、協会としても積極的にこの問題に取り組む必要があること、今後、法律事務所への就職だけでなく、広く法曹の職域開拓の問題と捉えて、協会として継続的、持続的に取り組む必要があることから、この問題を検討する専門委員会を立ち上げることが提案されました。委員会の正式名称については理事会で更に詰めることとし、仮称「法曹職域問題等検討委員会」の設置と、委員会の主任として青山善充理事の就任が提案され、異議なく承認されました。

引き続き、法科大学院修了生の就職支援システムとして、文部科学省の平成19年度専門職大学院等教育支援プログラムに採択された「全国法曹キャリア支援プラットフォーム(仮称)」(13大学共同申請)について、中心となって取り組んでいる明治大学法科大学院の青山善充教授及び鈴木修一教授から詳しい説明がなされました。

6 法曹養成制度のあり方に関する法曹三者との連携協議の件

山野目章夫連携協議委員会主任より,連携協議の状況について報告がなされました。いわゆる「司法試験連携検証」については、協力校6校の修了生につき2007年新司法試験の成績情報と法科大学院在学時の成績情報との関係について検証分析作業が現在進められており、年度末にはその成果がまとめられる予定であるとの見込みが示されました。また、この問題に対する今後の対応について、全法科大学院について検証を行うべきことを求める意見もきかれるが、法科大学院協会としては、連携検証本来の趣旨にしたがった対応を行うべきであり、当面来年度については、協力校の数を増やして検証を継続していく方向が妥当であるとの理事会の見解が示されました。

 佐藤理事長から、補足として、この検証作業を進めていくことは法科大学院にとっても一定の意義があるので、協力校を増やすことについても積極的に対応し、2008年度は20校程度の協力を得たいので協力して欲しいとの呼びかけがありました。

7. 適性試験の検証の件

笠井正俊適性試験検証ワーキンググループ主査より,適性試験の検証について報告がなされました。現在16校からデータを得て、大学入試センター及び法務財団と協力し、適性試験の成績と入学後の成績との相関関係の分析を進めており、協力校の匿名性にも配慮しながら、報告書を作成する準備を進めているとの説明がなされました。

8. その他
(1)事務局勤務体制変更について

加藤専務理事より、会員校の便宜に供するため、事務局(エヌプラニングオフィス・小山事務局職員)の勤務日につき、週2日から週3日体制(月・火・木 午後1時~6時)に変更したこと、これに伴う予算措置を講じた旨が報告されました。

(2)次回総会及びシンポジウムの開催について

 後藤常務理事より、次回の法科大学院協会総会は、2008年3月22日(土)東京で(法政大学または明治大学で調整中)開催する予定であり、併せて、未修者教育をテーマとするシンポジウムを計画しているとの報告がありました。

追記 
その後、3月22日午後、法政大学にて開催することが決定されました。
詳細については後ほどご連絡します。

以上

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