News Letter No.58(2025年6月14日〔土〕理事会及び総会報告)

法科大学院協会事務局

 法科大学院協会の理事会が2025年6月14日(土)13時より、また総会が同日15時より、いずれもzoomによるオンライン方式で開催されました。
 以下、総会で審議・報告された事項を中心に、概要をご報告申し上げます。

 まず、松下淳一理事長(学習院大学)から冒頭の挨拶があったのち、遠藤翼・文部科学省高等教育局専門教育課専門職大学院室長より、資料に基づき近時の動向についての行政説明がありました。

1 会員・準会員の入退会に関する件(理事会で議決、総会で報告)
 準会員であった北九州市立大学法学部が、本年3月末付けで退会することが報告されまた。

2 人事に関する件(報告)
 次の通り理事の交代があったことが報告がされました。
 ・宍戸常寿→和田俊憲(東京大学)
 ・石田剛→玉井利幸(一橋大学)

3 令和6年度決算報告(審議)
 令和6年度の決算報告があり、承認されました。

4 令和7年度予算案(審議)
 令和7年度予算案が審議され、承認されました。

5 キャラバン企画について(報告)
 2025年4月19日(土)に、東京会場(全国版)がオンラインで実施され盛況であったこと、それも含め、今年度のキャラバンの参加者満足度は全体として高かったことが報告されました。これを受け、次年度についてもこれまでと同様に進めていく旨の方針が示されました。また、共催団体である日弁連、後援組織である文部科学省、法務省、最高裁判所に対する謝意も示されました。

6 各専門委員会からの活動報告(報告)
(1)カリキュラム等検討委員会「コア・カリキュラムの運用状況把握のための調査等について」(小池信太郎主任)。
 小池信太郎・カリキュラム等検討委員会主任から、カリキュラム等検討委員会では、①コア・カリキュラム等検討小委員会が各法科大学院のカリキュラム状況を調査し、「共通的な到達目標」の改訂や簡素化などを検討しており、②未修者基礎教育検討小委員会が反転授業などの教育実践を継続・検討している旨の報告がありました。

(2)修了生補助教員ネットワーク委員会「修了生補助教員ネットワーク委員会の活動状況について」(高平奇恵主任)
 高平奇恵・修了生補助教員ネットワーク委員会主任から、文科省委託事業の調査研究を経て、現在はプレネットの事業支援を中心に活動していること、また、補助教員の情報共有や能力向上を促すネットワーク形成が重要であると認識しており活動支援をしていきたい旨の報告がありました。

(3)司法修習連携等検討委員会「司法修習との連携について」
 和田俊憲・司法修習連携等検討委員会から、司法研修所との意見交換会を継続開催し、民事・刑事模擬裁判などを題材に教育連携を深めており、今後は基礎的理解を重視した教育方法をテーマに議論をする予定である旨の報告がありました。

(4)司法試験等検討委員会「司法試験アンケートについて」
 堀田周吾・司法試験等検討委員会主任より、委員構成の変更があり、各科目の新担当者が決定したこと、司法試験アンケートは今年も実施予定であり、期日遵守の協力要請をしたいこと、2月には受験生視点で司法試験に関するシンポジウムが開催され、次回も都内でハイブリッド開催予定であることの報告がありました。

(5)入学者選抜・共通到達度確認試験等検討委員会「共通到達度確認試験の実施について」
 高橋祐介・入学者選抜・共通到達度確認試験等検討委員会主任より、2025年1月12日に第6回共通到達度確認試験が各法科大学院の協力のもと実施され、結果は各校に送付済みであること、2019〜2022年度の受験者を対象に、2024年司法試験後の追跡調査も実施され、試験と1年次GPAが司法試験合格の予測に有効であることが確認されたこと、今後も合格発表後に追跡調査を継続予定で、各校の負担軽減に努めつつ協力を呼びかけていること、次回第7回試験は2026年1月11日実施予定であることの報告がありました。

(6)臨床系教育等検討委員会「委員会での取り組みについて」
 宮城哲・臨床系教育等検討委員会主任より、臨床系教育等検討委員会では、昨年度に引き続き「法科大学院における臨床系科目のコア・カリキュラムのあり方」の検討を進めたいと考えている旨の報告がありました。

(7) 修了生職域委員会「修了生の職域拡大のための取り組みについて」(米田憲市主任)
 米田憲市・修了生職域委員会主任から、同委員会は、関係組織との情報・意見交換や法曹人材市場の現状把握、修了生への職域情報提供などに取り組んできたが、司法試験未合格者のニーズや就職活動の実態把握、地方での法曹不足など、課題も多く残っていること、今後も関係機関と連携し、修了生の進路確保や企業・公務領域への働きかけを継続していく方針であることの報告がありました。

(8)広報委員会「法科大学院協会からの情報発信について」(小林学)
 小林学・広報委員会主任より、オンラインキャラバンが4月19日に開催され、『法曹への道のり』をテーマに法科大学院の入試から進路まで説明をしたこと、協会HPは大学生や高校生向け情報も充実しているので、広報活動に活用を推奨すること、授業風景動画のリニューアル作業は専門業者に委託し、主要大学で撮影が進行中であることの報告があり、また、意見・アイディアの募集がありました。

7 司法試験CBT化について
 磯部事務局長から資料に基づき、CBTアンケート結果の内容や、法務省によるQ&Aで、CBTセンターでの試験実施、答案構成用紙(メモ用紙)配布の方針が新たに示されたこと等についての報告があり、それを受け、総会では、主に以下のような議論が交わされました。
 ● テストセンターでの実施規模についての質問があり、全国100か所で行われるようであることが説明されました。
 ● 各法科大学院や連携協定校でもCBTで定期試験を実施する必要性が高まっており、予算措置を文科省等に求めていくべきだとの指摘がありました。
 ● 制度変更に際しては、大学入試と同様に2年前の周知が原則であるべきであり、情報公開や確定時期が遅い場合は実施延期も検討すべきことを法務省に申し入れるべきとの意見が出ました。特に、公平性・公正性の観点から、会場ごとに状況が異なることや、学生に不利益が生じないよう配慮すべきとされました。
 ● 会場の変更が開始1年前など直前になることで学生の不安も懸念されるため、法科大学院協会は引き続き公正な方法をリストアップし、問題用紙や六法の配布なども含めて実施側と交渉していく必要がある旨が述べられました。
 ● CBTセンター実施への移行の理由についての質問があり、法務省からの明確な理由の説明はないものの、受験者・運営双方にとって設備や運用の面でメリットがあると考えられていることが理由であると推察されるとの説明がありました。
 ● 関連し、法務省は3年前に業務委託先の外部コンサル会社が示したCBT化の案をそのまま公表したものの、実施化段階でさまざまな問題が発生したため、現在右往左往しているのが実情である旨の指摘がありました。また、制度の大きな変更が法務省から一方的に通知されたこと、従来の大学入試制度の変更にかかる2年前周知の慣例が無視されたことに対し、遺憾の意が示されました。
 ● 最後に、伝えるべきことはしっかり伝えていく方針であることも事務局より表明されました。
全体を通じて、公平性・公正性の維持と、学生への十分な情報提供および不安解消、制度変更時の適切な周知期間の確保の重要性が指摘されていました。

8 その他(最近の状況に関する報告と意見交換)(報告・懇談)
 2024年11月総会以降の協会活動等につき、以下の報告等がありました。
 (1) News Letter No.58(2024年11月30日〔土〕理事会及び総会報告)を、協会HP「協会からのお知らせ」欄に掲載したこと。
 (2) 第24回の法曹養成制度改革連絡協議会が3月4日(火)に開催され、執行部で出席してきたこと。
 (3) 2025年2月15日(土)午後に、「司法試験と法科大学院教育~受験生の視点を踏まえて~」というタイトルで、日弁連主催の「司法試験シンポジウム」が開催されたこと。
 (4) 国家公務員総合職試験(院卒者試験)法務区分枠での採用が中止されること。
 (5) 次回総会は、【2025年12月6日(土)】にオンラインで開催する予定であること。