News Letter No.53(2022年11月26日〔土〕理事会及び総会報告)

法科大学院協会事務局

 法科大学院協会の理事会が2022年11月26日(土)13時より、また総会が同日15時より、いずれもzoomによるオンライン方式で開催されました。
 以下、総会で審議・報告された事項を中心に、概要をご報告申し上げます。
 総会では、議事に先立ち、片山直也理事長(慶應義塾大学)から挨拶があり、民事訴訟法・刑事訴訟法にかかる未修者教育改善に向けたFD活動、司法研修所との意見交換会、コア・カリキュラムの検討等、協会の活動について紹介があったほか、ロースクール開設20年と今般の法曹養成制度改革の完成年度が重なる来年度から「転換期」ともいえる第2期に移行しつつある現在、今般の法曹養成制度改革によって強化された法科大学院と法曹コース・司法修習との「連携」を軌道に乗せることが目下最優先の課題であり、そのためにも現在機運が高まりつつある協会内外での「連携」「協働」をより強固なものとしていきたい旨の抱負が示され、会員各校への協力等の依頼が述べられました。
 次に森下平・文部科学省高等教育局専門教育課専門職大学院室長より、今年度末を終期とする今期(第11期)の中央教育審議会法科大学院等特別委員会の議論として、法科大学院の特色・魅力のさらなる充実に向けた方策のとりまとめの概要とその方向性やスケジュールについて説明があったほか、今年度の司法試験の結果について、中教審で定めたKPI(目標値)との関係で、5年間の累積合格率が目標の7割を初めて今回超える(70.4%)等、よい数値が出ていることが紹介されました。中教審では、これを各法科大学院・受験生の尽力の成果として喜ぶ声が上がる一方で、法科大学院の魅力・意義は合格率だけでは無いはずだ、という指摘も出ており、だからこそ、社会人学生の支援、外部との連携強化といった好事例を中教審で紹介等しているとのことでした。また、法曹志願者の増加は喫緊の課題であり、年明けの法科大学院を舞台にしたドラマなども好機として、来年度以降も各法科大学院の創意工夫を取り上げて、法科大学院の意義・魅力・特色を発信していきたい旨のご発言がありました。

1.人事に関する件(報告)
 松下淳一専務理事より、次の通りの専門委員会委員を追加した旨の報告がありました。
 ・臨床系教育等検討委員会に高平奇恵准教授(東京経済大学)を追加。

2.今年度(令和4年度)のキャラバン企画について(報告)
 松下専務理事より、今年度のキャラバンについての実施状況の報告があったほか、共催団体である日弁連、後援を頂いている文科省、法務省、最高裁に対する謝辞が述べられました。

3.令和5年度(2023年度)以降のキャラバン企画について(審議)
 松下専務理事より、まず、来年度(令和5年=2023年度)のキャラバンにつき、(a)東京会場を本年度同様オンライン全国版として実施し、業務委託を行い、予算として合計最大481,800円を計上すること、(b)その他の各地域については、今年度と同様、各会場に3月頃に開催予定の有無をおたずねし、開催の場合には、一会場あたり20万円(合計最大で×8会場=160万円)まで協会予算で支出を計上する(但し、来年度の総会で改めて審議する)ことを内容とした提案があり、理事会の議を経た上で、総会において承認されました。なお、理事会では、各地域会場のあり方として、オンラインのみでやるのであれば実施する必要はない、対面での実施をするのであればやる意義はあるが、その場合でも、法務省・最高裁に検察官・裁判官の講師の派遣の依頼はお願いしたいが、予算をつけていただく必要はないかもしれない、等の意見が出ました。
 次に、再来年度(令和6年度=2024年度)以降のキャラバンについて、松下専務理事より、各地域会場につき裁判官・検察官派遣の手続はこれまで通り事務局で行うが各会場の予算はつけないとする一方で、「全国版法科大学院オンライン説明会」を志願者数がある程度回復しこの種のイベントが要らなくなるまで当面の間実施することとする、但し、引き続き、共催の日本弁護士連合会をはじめとする関係各所とも協議しつつ、次回の理事会総会でも改めて審議する、という内容の提案があり、理事会の議を経た上で総会において承認されました。

4.共通到達度確認試験について(審議)
 片山理事長より、共通到達度確認試験につき、今年度の実施について説明があった後に、再来年度=令和6年度以降の実施につき、本年4月26日~5月23日に行われたアンケート結果の分析を踏まえ、現状の実施状況を費用面から再吟味し、可能な限りのコスト削減を追求しつつ、共同実施主体である日弁連法務研究財団とも現行の枠組みの維持が可能であるか否かについて協議を行い、できる限り会員校の負担を増やすことなく、共通到達度確認試験を存続する方向を目指したい旨の提案があり、理事会の議を経て、総会にて承認されました。

5.各専門委員会からの活動報告(報告)
(1)カリキュラム等検討委員会「未修者教育に関する取り組みについて」
 山野目章夫・カリキュラム等検討委員会主任から、未修者基礎教育検討小委員会において、今年度、民事訴訟法・刑事訴訟法についての未修者教育FDを実施したこと、コア・カリキュラム等検討小委員会において、各会員校に対するアンケート調査を実施する準備を進めていること、8月31日に日本弁護士連合会法科大学院センターとの間において意見交換会を実施したことの報告がありました。
(2)修了生補助教員ネットワーク委員会「修了生補助教員ネットワーク委員会の活動状況について」
 高須順一・修了生補助教員ネットワーク委員会主任から、同委員会が協力した令和3年度先導的大学改革推進委託事業が無事に終了したこと、本年6月11日の法科大学院協会の前回の総会終了後に開催したシンポジウムのパネルディスカッション等に参加したこと、本年9月1日に一般社団法人法曹養成ネットワーク主催で、「プロボノマッチング2022」を完全オンラインで実施したこと、今後の補助教員のネットワーク化に向けた検討・準備作業として、一般社団法人法曹養成ネットワークにおいて、一般会員というカテゴリーを設け、補助教員の参加を募ることを年度内に具体化する方向で準備を進めていること、の報告がありました。
(3)司法修習連携等検討委員会「司法修習との連携について」
 和田俊憲・司法修習連携等検討委員会主任から、司法研修所との意見交換会を中心とした活動が軌道に乗ってきていること、具体的には本年9月に第3回の意見交換会を開催し、次回の意見交換会を来年1月30日に予定していること、次回は、法科大学院と司法研修所における成績評価のあり方についても議論する計画になっていることの報告がありました。
(4)司法試験等検討委員会「司法試験アンケートについて」
 司会代読により、堀田周吾・司法試験等検討委員会主任から、(1)令和4年司法試験に関するアンケート調査を例年通り実施し、現在その報告書をとりまとめ中であること、(2)日本弁護士連合会との共催で「司法試験の最近の出題傾向等の総括的検討」と題した司法試験シンポジウムが12月3日(土)に開催されることの報告がありました。
(5)入学者選抜・共通到達度確認試験等検討委員会「共通到達度確認試験の実施について」
 司会代読により、藤本亮・入学者選抜・共通到達度確認試験等検討委員会主任から、2023年1月8日(日)実施予定の第4回共通到達度確認試験について説明があったほか、今年春に実施した今後の共通到達度確認試験のあり方についてのアンケート回答結果をふまえて、同試験の今後のあり方について検討を重ねきたこと、2024(令和6)年第5回共通到達度確認試験の実施日について、会員校に対して法科大学院協会事務局よりアンケートを実施することの報告と協力のお願いがありました。
(6)臨床系教育等検討委員会「委員会での取り組みについて」
 司会代読により、宮城哲・臨床系教育等検討委員会主任から、①法学部における臨床系教育の実態及び好事例の調査を開始し、調査結果の一部について、今年度中に日弁連主催の法科大学院教員研究交流集会等において報告する準備を進めていること、②法科大学院における在学中受験予定者の履修動向について、どのような調査を行うか企画検討中であり、今年度から来年度にかけての実施を目指していることの報告がありました。
(7)修了生職域委員会「修了生の職域拡大のための取り組みについて」
 主任の米田憲市・修了生職域委員会主任から、活動計画の方針について紹介があったほか、具体的な取組みとして(1)関係組織との情報交換を進めていること、(2)関係組織との関係形成として、[a]組織内弁護士協会(JILA)と、各法科大学院における企業法務関係の出張講義の依頼の段取りを整えたこと、[b] 臨床教育等検討委員会と連携し、司法研修所との間で、修習生の就職支援の一部として法科大学院が実施する教育プログラムを活用する可能性について協議を進める方向となっていること等について報告がありました。
(8)広報委員会「法科大学院協会からの情報発信・関係機関との連携強化について」
 司会代読により、磯部哲・広報委員会主任から、協会ホームページの説明があったほか、関係機関との連携強化の一環として、法務省、文科省、日弁連、最高裁と協働して法曹の魅力を発信していくための検討を進めていることとその具体的内容についての報告等がありました。後者については、必要な広報のあり方等について、会員各位からもぜひアイディアがあればお寄せ頂きたいとのことです。

6.理事選考委員会の設置について
 松下専務理事から、次回の2023年度前期総会において理事の改選が行われる関係で、規約13条に基づき、理事選考委員会を設置し、理事選考委員として以下の6名を選任することの提案があり、理事会での議を経て、総会にて承認されました。
 ・石田剛教授(一橋大学)、池田直樹教授(関西学院大学)、小林明彦教授(中央大学)、酒井啓亘教授(京都大学)、佐藤吾郎教授(岡山大学)、曽野裕夫教授(北海道大学)。

7.その他(最近の状況に関する報告と意見交換)

 松下専務理事から、2022年前期総会以降の協会活動報告等について、News Letter No.52の発行、司法試験合格者氏名掲載の「官報」の販売実績、法務省担当者による在学中受験資格に関する説明会(12月6日10時30分~11時30分〔オンライン〕)、未修者教育 FD 講演会(民事訴訟法・刑事訴訟法)動画公開等について報告、案内がありました。その他、松下専務理事から協会の運営一般等についての意見の募集がありましたが、特に意見は出ませんでした。

 次回理事会・総会は、2023年6月10日に開催する予定です。理事会改選期であることから、現在のところ、状況が許す限りは東京での対面での開催を予定しています。