News Letter No.52(2022年6月11日〔土〕理事会及び総会報告)

法科大学院協会事務局

 法科大学院協会の理事会が2022年6月11日(土)10時30分より、また総会が同日13時より、いずれもzoomによるオンライン方式で開催されました。
 以下、総会で審議・報告された事項を中心に、概要をご報告申し上げます。
 総会では、議事に先立ち、片山直也理事長(慶應義塾大学)から挨拶があり、各種アンケートやFD活動への協力に対する謝辞が述べられたほか、「今年度入試での志願者数の増加は、改革のインパクトのほか、関係団体との連携によるPRや各法科大学院でのFD活動の成果であると考える。今年度は、未修者教育のFDの拡大、補助教員活用のための体制整備、司法修習との連携の継続・強化、コア・カリキュラムの検討等に力を注ぎ、協会内外で連携・協働しつつ、令和5年度の完成に向け今般の改革を軌道に載せることを最優先課題としたい。」旨が述べられました。
 次に、森下平・文部科学省高等教育局専門教育課専門職大学院室長から、今年度の入学者数等の概況、未修者教育に係る委託事業の成果、今後の中教審特別委員会での議論予定などについて説明があり、「法科大学院ならではの魅力・特色をいかに伸ばし、発信していくかに力を尽くしたい。そのため各法科大学院での様々な創意工夫を取り上げたいのでご協力をお願いする。」旨が述べられました。
 続いて、二宮正一郎・法務省大臣官房司法法制部付から、司法試験在学中受験に関する留意事項として、①受験に必要な所定科目の単位は前年度終了時までに取得する必要がある、②学長認定の有無の照会を5月中旬に行う予定であるので予め準備をお願いしたい、③司法修習生の採用要件との関係で法科大学院の修了日を修習開始日の前日以前とする必要がある、等の説明がありました。

1.会員・準会員の入退会
(1)会員資格喪失による退会
 松下淳一専務理事(東京大学)から、下記の法科大学院が廃止されたため会員資格を喪失した(規約8条)旨の報告がありました。
西南学院大学(2021年度をもって閉鎖)

(2)準会員の入会
松下専務理事から、下記の大学が準会員として入会することが理事会により承認された(規約11条)旨の報告がありました。
西南学院大学(連携法曹基礎課程設置法人として)

2.人事に関する件
 松下専務理事から、法科大学院代表者の交代に伴い、下記の理事の交代があった(規約13条4項)旨の報告がありました。
城下裕二理事→曽野裕夫理事(北海道大学)
下井康史理事→小林俊明理事(千葉大学)
髙橋祐介理事→深澤龍一郎理事(名古屋大学)
野田輝久理事→池田直樹理事(関西学院大学)
 また、松下専務理事から、以下の常務委員が交代した旨報告がありました。
手塚明委員(明治大学)→菊地一樹委員(明治大学)

3.専門委員会委員委嘱の件
 松下専務理事から、カリキュラム等検討委員会の下に設置することが前回総会で承認されたコア・カリキュラム等検討小委員会について、宮下修一委員長(中央大学)ほか7名の委員が、また、臨床系教育等検討委員会について宮城哲主任(琉球大学)が、また修了生職域委員会について米田憲市主任(鹿児島大学)が、それぞれ理事長により選任された旨の報告がありました。他の専門委員会の2022年度委員についても、下記の通り選任されています。
 併せて、松下専務理事から、共通到達度確認試験作問委員の紹介も行われました。

※2022年度専門委員会委員(敬称略。任期は2023年3月31日まで。*は新任委員)
○カリキュラム等検討委員会
主任:山野目章夫(早稲田大学)
(未修者基礎教育検討小委員会)
副主任(小委員会委員長):小池信太郎(慶應義塾大学)
委員:片桐直人(大阪大学)、白石大(早稲田大学)、花本広志(獨協大学)、宮城哲(琉球大学)
(コア・カリキュラム等検討小委員会)
副主任(小委員会委員長):宮下修一(中央大学)*
委員:小島淳(名古屋大学)*、嶋矢貴之(神戸大学)*、杉山悦子(一橋大学)*、土田伸也(中央大学)*、花本広志(獨協大学)*、御幸聖樹(同志社大学)*、山田泰弘(立命館大学)*、
○修了生補助教員ネットワーク委員会
主任:高須順一(法政大学)
委員:野中貴弘(日本大学)、本郷亮(慶應義塾大学)
○司法修習連携等検討委員会
主任:和田俊憲(東京大学)
委員:青木哲(神戸大学)、粟田知穂(慶應義塾大学)、内田義厚(早稲田大学)、金子剛大(東京大学)*、稗田雅洋(早稲田大学)
○司法試験等検討委員会
主任:堀田周吾(東京都立大学/刑事訴訟法)
委員:淺野博宣(神戸大学/憲法)*、小幡純子(日本大学/行政法・租税法)、大澤逸平(専修大学/民法・知財法)、早川徹(関西大学/会社法・経済法)、棚橋洋平(早稲田大学/民事訴訟法・倒産法)*、南由介(日本大学/刑法)、桑原勇進(上智大学/環境法)、米津孝司(中央大学/労働法)、青木節子(慶應義塾大学/国際関係法(公法系))、早川吉尚(立教大学/国際関係法(私法系))
○入学者選抜・共通到達度確認試験等検討委員会
主任:藤本亮(名古屋大学)
委員:片山直也(慶應義塾大学)、松下淳一(東京大学)
○臨床系教育等検討委員会
主任:宮城哲(琉球大学)
委員:上松健太郎(名古屋大学)*、宮下修一(中央大学)、山口卓男(筑波大学)、米田憲市(鹿児島大学)
○修了生職域委員会
主任:米田憲市(鹿児島大学)*
委員:小柿徳武(大阪公立大学)*、奥邨弘司(慶應義塾大学)、平野温郎(東京大学)*
○広報委員会
主任:磯部哲(慶應義塾大学)
委員:小林学(中央大学)、高橋真弓(一橋大学)

4.令和3年度決算報告
 松下専務理事から、令和3年度決算報告について説明があり、収入については、5校の退会により予算よりも50万円減となったこと、支出については、コロナ禍の影響もあり、会議費(0円)、キャラバン企画費(約85万円)、委員会・対外交渉等旅費(0円)が予算よりも大幅に減額したこと、未修者教育の検討が文部科学省の委託事業として行われたため協会の支出が不要となったこと、以上の事情に加え令和3年度から会費を値上げしたため、繰越額(約390万円)は予算よりも大幅に増加し、当年度収支も190万円弱の黒字となったこと、等が報告されました。
続いて、同決算について、小池泰監事(九州大学)から、会計は適正に執行されている旨の監査報告があり、同監事及び水谷規男監事(大阪大学)の連名で同旨の監査報告書も提出されている旨、松下専務理事から説明があり、規約41条1項に基づき、理事会の議を経た上で、総会において承認されました。

5.令和4年度予算案
 松下専務理事から、令和4年度予算案について説明があり、規約41条2項に基づき、理事会の議を経た上で、総会において承認されました。特記すべき費目として、今年度後期の理事会・総会については対面開催の可能性も考慮に入れ、シンポジウム経費を含む会議費23万円を計上し、また、キャラバン企画費として170万円(各会場につき上限20万円・中止決定済みの1会場を除く8会場分、資料代10万円)、委員会活動費として90万円(アンケート集計費、旅費等)を計上しています。

6.キャラバン企画について
(1)令和3年度キャラバン実施報告
 松下専務理事から、昨年度は、コロナ禍の影響もある中、4会場で「ロースクールへ行こう!!2021☆列島縦断☆ロースクール説明会&懇談会」が開催されたとの報告があり、共催者(日本弁護士連合会)、後援者(最高裁判所、法務省、文部科学省)及び各会場校による協力に対して謝辞が述べられました。

(2)令和4年度キャラバン実施状況
 松下専務理事から、「ロースクールへ行こう!!2022☆列島縦断☆ロースクール説明会&懇談会」の開催状況について説明があり、本年4月にオンラインで開催された東京会場には約400名が参加したこと、事務局負担の軽減のため一部業務は外部のシステムを利用したこと等の報告がありました。開催未定の地域でも柔軟な形式による開催の可能性を検討いただきたい旨が述べられました。

(3)令和5年度以降のキャラバンについて
 松下専務理事から、今後のキャラバンの在り方について、東京会場を全国版として恒常的にオンライン開催とすべきか、その場合に第二部(各校のブース)を継続すべきか、各地域でのキャラバンを継続する必要はあるか、等の検討課題が示され、会員各校の意見を募りつつ、次回理事会・総会に向けて検討を進めることとなりました。

7.文部科学省令和3年度先導的大学改革推進委託事業の件
 松下専務理事から、一般社団法人法曹養成ネットワークが受託し、法科大学院協会が協働して行った文部科学省令和3年度先導的大学改革推進委託事業「法科大学院における法学未修者教育の更なる充実に関する調査研究」の成果報告書の紹介があり、会員校で共有していただきたい旨が述べられました。また、同事業の成果を踏まえたシンポジウム「法科大学院における法学未修者教育の更なる充実に向けて」(総会後に開催)の案内がありました。
参考URL(法曹養成ネットワーク):https://www.ple-net.org/20210517/

8.共通到達度確認試験に関するアンケートの件
 片山理事長から、本年5月に実施した共通到達度確認試験に関するアンケートへの協力に対する謝辞と、その回答内容等も踏まえて令和6年以降の在り方を検討する旨が述べられました。

9.各専門委員会からの活動報告
(1)カリキュラム等検討委員会
山野目章夫主任(早稲田大学)から、①法学未修者教育に関し、前記文科省委託事業に協力し、(i)法律基本科目の教育ガイドライン及び反転授業等のICTを活用した教育の在り方を検討するためのFDセミナー(憲法・民法・刑法)等の実施、(ii)法科大学院入学前の導入的教育手法の在り方に関する調査研究として導入教材の動画の作成等、(iii)補助教員の組織的・機能的な活用に関する調査研究としてアンケートの実施とその分析等を行い、これらを前記の成果報告書として取りまとめたこと、今後は民事訴訟法・刑事訴訟法についてもFDセミナーを行う予定であること、また、②コア・カリキュラムに関し、本年秋に会員校に対するアンケート調査の実施を検討していることが報告されました。

(2)修了生補助教員ネットワーク委員会
 高須順一主任(法政大学)から、前記文科省委託事業に協力し、修了生補助教員の利用状況に関して会員校に対するアンケートと8校へのヒアリングを実施し、また、補助教員による意見交換会を2回開催したこと、これらにより明らかになった各法科大学院での補助教員の活動状況が前記成果報告書に反映されていることが報告されました。

(3)司法修習連携等検討委員会
 和田俊憲主任(東京大学)から、①司法研修所との連携について、2回の意見交換会を開催し、研修所側と法科大学院側の双方が具体的な教育内容とその課題について情報交換を行ったこと、②教員研修について、研修所のオンラインでの集合修習を法科大学院教員が傍聴する企画を計2回実施したことが報告され、また、研修所の協力に対して謝辞が述べられました。

(4)司法試験等検討委員会
堀田周吾主任(東京都立大学)から、①司法試験アンケートの時期について、前倒しを検討したものの、出題趣旨に対する各会員校の意見を継続的に記録するためには実施時期の変更には慎重であるべきとの結論に達したことが報告されました。なお、アンケート結果を司法試験検証担当考査委員会議に提供するため、回答期日の遵守にご協力いただきたい旨が述べられました。②司法試験シンポジウムについて、日本弁護士連合会において本年12月3日の開催を目指して企画中であることが報告されました。

(5)入学者選抜・共通到達度確認試験等検討委員会
藤本亮主任(名古屋大学)から、本年1月に第3回共通到達度確認試験が実施されたことの報告があり、各会員校の協力に対し謝辞が述べられました。また、5月に実施した共通到達度確認試験に関するアンケートへの協力に対する謝辞と、その回答内容等も踏まえて令和6年以降の在り方を検討する旨が述べられました。

(6)臨床系教育等検討委員会
 宮城哲主任(琉球大学)から、今年度は、法学部と法科大学院の教育を接合する臨床法学教育の課題を検討すべく、法学部における臨床系教育の実態の調査・報告を行うとともに、法科大学院における司法試験在学中受験予定者の履修動向に関する調査を行う予定であり、それらへの会員校のご協力をお願いする旨が述べられました(代読)。

(7)修了生職域委員会
米田憲市主任(鹿児島大学)から、①各職域への人材供給の充実と職域自体の拡大、②修了生のみならず在学生をより強く意識すること、③司法試験合格者数の減少により十分に応えられていない専門領域や地方のニーズへの対応、④法曹養成制度のスケジュール変更により企業の採用や公務員試験とのギャップが生じないよう適切な情報発信に努めること、⑤修了生が進出する職域の動向全体の把握の仕方の検討等の課題に取り組む方針である旨が報告されました。

(8)広報委員会
 磯部哲主任(慶應義塾大学)から、協会ウェブサイトの法科大学院・法曹志願者向けコンテンツを更に充実させ情報発信に努めるとともに、関係機関との連携強化の一環として、法務省・文部科学省・日本弁護士連合会・最高裁判所・法科大学院協会で協働して、法曹の魅力を発信していく方策(中高生向けパンフレット、ウェブサイト作成等)の検討を進めていることが報告され、必要な広報の在り方等について会員校からもアイデアを寄せていただきたい旨が述べられました。

10.その他
(1)司法試験考査委員の遵守事項の改正の件
片山理事長から、本年6月1日付けで、問題作成を担当する司法試験考査委員の遵守事項が改正され(主な改正点は、①修了予定者の範囲の拡大、②修了予定者に対する授業や指導の禁止の撤廃、③録音等の対象範囲の拡大、④メールやウェブ会議システムによる指導の場合の第三者による受信・視聴可能性の確保)、各法科大学院で定めている司法試験問題漏えい再発防止策も改訂の上、法務省に提出する必要があるので、対応をお願いしたい旨が述べられました。なお、法科大学院協会でも、この改正に対応すべく、昨年12月の総会において、「司法試験問題漏えい再発防止策について」の改訂を行いました。

(2)公認会計士・監査審査会事務局からの依頼の件
 松下専務理事から、公認会計士・監査審査会事務局より、本年10月に公認会計士試験の試験科目の免除制度が変更される予定であり、同試験を受験する法科大学院修了生・在学生から修了証明書・修了見込証明書の発行依頼がなされることが見込まれるため、協力をお願いする旨の通知があったことが報告されました。

(3)最近の状況に関する報告
松下専務理事から、司法研修所との意見交換会(本年2月1日、6月10日)の開催、研修所の集合修習の傍聴(刑事:本年2月18日、民事:3月14日・15日)、ニューズレター51号の発行、官報の予約販売につき、報告・案内がありました。

次回総会は、2022年11月26日(土)に開催する予定です(開催形式は未定)。