News Letter No.50(2021年6月19日〔土〕理事会及び総会報告)

法科大学院協会事務局

 法科大学院協会の理事会が2021年6月19日(土)10時30分より、また総会が同日13時より、いずれもzoomによるオンライン方式で開催されました。

 以下、総会で審議・報告された事項を中心に、概要をご報告申し上げます。

 総会では、議事に先立ち、片山直也理事長(慶應義塾大学)から挨拶があり、共通到達度確認試験及びキャラバンへの協力に対する謝辞が述べられたほか、「協会の当面の課題は、いわゆる3+2を軌道に乗せること、及び未修者教育の充実である。未修者教育については、中教審特別委員会の議論を踏まえ、協会内FD活動を活性化し、各校の取り組みの紹介や意見交換の環境を整備したい。3+2についても、各会員校での取り組みとともに、会員校間での協働が必要である。」旨が述べられました。

 続いて、佐々木邦彦文部科学省高等教育局専門教育課専門職大学院室長から挨拶と、法曹養成連携協定の認可と連携法曹基礎課程(法曹コース)の設置の状況、連携協定の変更手続、中教審特別委員会(第10期)の取りまとめ概要(オンデマンド授業の扱い、補助教員による学修支援の位置づけ等)、未修者教育に係る委託事業などについて説明があり、また、「法科大学院教育の成果を社会に発信することが必要である。リカレント教育により法科大学院が法曹に関わり続けることも期待される。」旨が述べられました。

1.会員・準会員の入退会
(1)会員資格喪失による退会
 松下淳一専務理事(東京大学)から、下記の法科大学院が廃止されたため会員資格を喪失した(規約8条)旨の報告がありました。
  青山学院大学、近畿大学、成蹊大学、桐蔭横浜大学、立教大学の各法科大学院(いずれも2020年度をもって閉鎖)
(2)準会員の入会
 松下専務理事から、下記の大学が準会員として入会することが理事会により承認された(規約11条)旨の報告がありました。
  立教大学(連携法曹基礎課程設置法人として)

2.理事の交代
 松下専務理事から、法科大学院代表者の交代に伴い、下記の理事の交代があった(規約13条4項)旨の報告がありました。
  橋爪隆理事 → 畑瑞穂理事(東京大学)
  峰ひろみ理事 → 富井幸雄理事(東京都立大学)

3.専門委員会の設置
 松下専務理事から、今後、修了生補助教員との連携が法科大学院教育において重要な課題になると考えられることから、新たに「修了生補助教員ネットワーク委員会」を設置することが理事会により承認された(規約27条6号)旨、及び、同委員会の構成員には高須順一主任(法政大学)、野中貴弘委員(日本大学)、本郷亮委員(慶應義塾大学)が理事長により選任された旨の報告がありました。
 また、他の専門委員会の2021年度の主任・委員についても既に理事長により選任されている旨の報告がありました。なお、現在の各委員会の構成は次の通りです(敬称略。いずれも任期は2022年3月31日まで)。
 ・カリキュラム等検討委員会
  主任:山野目章夫(早稲田大学)
 (未修者基礎教育検討小委員会)
  副主任(小委員会委員長):小池信太郎(慶應義塾大学)
  委員:白石大(早稲田大学)、片桐直人(大阪大学)、宮城哲(琉球大学)
 ・修了生補助教員ネットワーク委員会
  主任:高須順一(法政大学)
  委員:本郷亮(慶應義塾大学)、野中貴弘(日本大学)
 ・司法修習連携等検討委員会
  主任:和田俊憲(東京大学)
  委員:青木哲(神戸大学)
 ・司法試験等検討委員会
  主任:堀田周吾(東京都立大学/刑事訴訟法)
  委員:松本和彦(大阪大学/憲法)、小幡純子(上智大学/行政法・租税法)、
     大澤逸平(専修大学/民法・知的財産法)、早川徹(関西大学/会社法・経済法)、
     工藤敏隆(慶應義塾大学/民事訴訟法・倒産法)、南由介(日本大学/刑法)、
     桑原勇進(上智大学/環境法)、米津孝司(中央大学/労働法)、
     青木節子(慶應義塾大学/国際関係法(公法系))、早川吉尚(立教大学/国際関係法(私法系))
 ・入学者選抜・共通到達度確認試験等検討委員会
  主任:藤本亮(名古屋大学)
  委員:片山直也(慶應義塾大学)、松下淳一(東京大学)
 ・臨床系教育等検討委員会
  主任:宮川成雄(早稲田大学)
  委員:宮城哲(琉球大学)、宮下修一(中央大学)、山口卓男(筑波大学)、
     米田憲市(鹿児島大学)
 ・修了生職域委員会
  主任:阿部道明(中央大学)
  委員:奥邨弘司(慶應義塾大学)、国友明彦(大阪市立大学)、米田憲市(鹿児島大学)
 ・広報委員会
  主任:磯部哲(慶應義塾大学)
  委員:小林学(中央大学)、高橋真弓(一橋大学)

4.令和2年度決算報告
 松下専務理事から、令和2年度決算報告について説明があり、その中で、支出について、コロナ禍の影響により、会議費(0円)、キャラバン企画費(約52万円)、委員会活動費(10万円)がいずれも予算よりも減額したこと、協会ウェブサイトのメンテナンス費が委託先変更により約33万円に抑えられたこと、ウェブコンテンツ制作費は作業途上のため約13万円の支出にとどまったこと、以上の事情等から繰越額(約205万円)は予算よりも大幅に増加したが、当年度収支は約31万円の赤字であること、等が報告されました。
 続いて、同決算について、水谷規男監事(大阪大学)から、会計は適正に執行されている旨の監査報告があり、また、小池泰監事(九州大学)からも同旨の監査報告書が提出されている旨松下専務理事から説明があり、規約41条1項に基づき、理事会の議を経た上で、総会において承認されました。

5.令和3年度予算案
 松下専務理事から、令和3年度予算案について説明があり、規約41条2項に基づき、理事会の議を経た上で、総会において承認されました。特記すべき事項として、コロナ禍の影響により人の移動を伴う活動は縮小を余儀なくされるが、オンラインでの情報発信に重点的に予算配分すること(修了生活躍情報発信経費として30万円を計上)、キャラバン企画費として220万円(印刷費のほか、1会場につき上限20万円を9会場分)を計上すること、未修者教育に関する専門委員会の活動強化のため20万円を計上すること、等があります。

6.規約の改正
 松下専務理事から、法科大学院協会の総会はかつて年3回の開催であったが、現在は年2回であり、前期は6月開催が通例化しているところ、規約41条1項の定める決算書の作成及び理事会・総会の承認の期限を、現状に合わせて下記の通り改める旨の提案があり、規約42条1項に基づき、総会において異議なく承認されました。

第41条(予算及び決算) 理事長は、毎会計年度終了後2ヶ月以内に決算書を作成し、理事会の議を経、監事の意見を添えて総会の承認を得なければならない。
2 (略)
第41条(予算及び決算) 理事長は、毎会計年度終了後3ヶ月以内に決算書を作成し、理事会の議を経、監事の意見を添えて総会の承認を得なければならない。
2 (略)

7.キャラバン企画
(1)令和2年度キャラバン実施報告
 松下専務理事から、昨年度は5会場で「ロースクールへ行こう!!2020☆列島縦断☆ロースクール説明会&懇談会」が開催されたとの報告があり、共催者(日本弁護士連合会)、後援者(最高裁判所、法務省、文部科学省)及び各会場校による協力に対して謝辞が述べられました。
(2)令和3年度キャラバン実施状況
 松下専務理事から、「ロースクールへ行こう!!2021☆列島縦断☆ロースクール説明会&懇談会」の開催状況について説明があり、オンラインで開催された東京会場には約500名が参加したとの報告がありました。開催未定の地域でも柔軟な形式による開催の可能性を検討いただきたい旨が述べられました。
(3)令和4年度キャラバンについて
 松下専務理事から、今年度オンラインで開催した東京会場は盛況であったものの、事務局の負担が過大であったため、来年度も同様の形態で開催する場合には外部業者に技術サポートを依頼したい旨提案があり、具体案を次回理事会・総会に諮る方向で検討を進めることとなりました。

8.各専門委員会からの活動報告
(1)カリキュラム等検討委員会  山野目章夫カリキュラム等検討委員会主任(早稲田大学)から、中教審特別委員会の取りまとめを受け、未修者教育の充実・発展に向けた活動を進めており、本総会後のシンポジウムで成果発表を行うほか、今秋からは憲法・民法・刑法について未修者教育の手法に関する研究討議を重ねていく予定である旨の報告(代読)がありました。
(2)司法修習連携等検討委員会
 和田俊憲司法修習連携等検討委員会主任(東京大学)から、今年度の教員研修はコロナ禍の影響により昨年度に引き続き中止する旨、及び、在学中受験の導入とギャップターム解消に伴い、法科大学院での実務基礎教育と司法修習との連携のあるべき姿について必要な検討を開始する旨の報告(代読)がありました。
(3)司法試験等検討委員会
 堀田周吾司法試験等検討委員会主任(東京都立大学)から、令和3年司法試験に関するアンケートを9月の出題趣旨公表後に実施するので各校の協力をお願いしたい旨、及び、日弁連において司法試験シンポジウムを12月頃の開催を目指して企画中である旨の報告がありました。
 なお、令和2年司法試験のアンケート結果報告は、協会ウェブサイトに掲載済みです。
(4)入学者選抜・共通到達度確認試験等検討委員会
 藤本亮入学者選抜・共通到達度確認試験等検討委員会主任(名古屋大学)から、本年1月に第2回共通到達度確認試験が実施された旨の報告があり、各会員校の協力に対し謝辞が述べられました。また、来年1月の第3回試験実施に向けての意見聴取への協力依頼がありました。
(5)臨床系教育等検討委員会
 宮川成雄臨床系教育等検討委員会主任(早稲田大学)から、昨年12月の総会で報告した、法学部教育と法科大学院教育を接合する柱としての臨床系科目についての中間とりまとめでは、①臨床系教育の学部での早期化、②研究者教員と実務家教員の連携強化、③法科大学院3年次秋学期の活用、を提言していたところ、今年度は、法学部との連携で実施する臨床系教育の土台を提示することを目指す旨の報告(代読)がありました。
(6)修了生職域委員会
 阿部道明修了生職域委員会主任(中央大学)から、法科大学院修了後に司法試験に合格せずに企業法務に就職する人たちが一定数いることに鑑み、その実態調査や就職支援を行うことを検討している、等の報告(代読)がありました。
(7)広報委員会
 磯部哲広報委員会主任(慶應義塾大学)から、協会ウェブサイトの法科大学院志願者向け新規コンテンツ(法曹コースに関するページ、法科大学院修了の若手弁護士のインタビュー記事「危機対応の現場で活躍する弁護士の仕事」)の作成を行った旨の報告があり、既存コンテンツも含め、各法科大学院において連携先法学部の法曹コース志願者等への広報活動に活用されたい旨が述べられました。

9.未修者教育に関する協会の取り組みについて
 片山理事長から、未修者教育に関する協会の取り組みについて、次の通り説明がありました。
・中教審特別委員会(第10期)における法学未修者教育の充実に関する議論の取りまとめにおいて、①学修者本位の教育の実現、②社会人学生等の実態に配慮した学修体制、③効果的・効率的な学修に向けた法科大学院間の協働、④共通到達度確認試験を活用した学修の充実・改善、⑤法科大学院修了生のキャリアパスの多様化、の5点が提言されている。
・これを踏まえ、協会としては、昨年12月にカリキュラム等検討委員会の下に設置された未修者基礎教育検討小委員会、及び本日設置された修了生補助教員ネットワーク委員会を中心に、次の3点の活動を推進し、未修者教育の向上に取り組む。
①法律基本科目の教育ガイドライン及び法科大学院における反転授業等のICTを活用した教育の在り方に関する調査研究:未修者基礎教育検討小委員会において、憲法・民法・刑法のFD活動を実施する。
②法科大学院入学前の導入的教育手法の在り方に関する調査研究:カリキュラム等検討委員会において導入教材の基礎的な在り方を検討し、課題を整理する。法曹養成ネットワークと協働し、導入教育に用いるサンプル教材を作成する。
③補助教員の組織的・機能的な活用に関する調査研究:修了生補助教員ネットワーク委員会が法曹養成ネットワークと協働して、補助教員による学修指導方法、教員との連携の在り方その他の情報についての法科大学院横断的な共有の在り方を検討する。

10.その他
(1)会員校から寄せられたご意見について
 松下専務理事から、昨年12月12日付文書「今期の法科大学院協会の課題と活動方針(理事長メモ)」について会員校宛で意見照会をしたところ、11大学の教員から回答を頂いた旨の報告があり、協力に対する謝辞が述べられました。また、片山理事長から、回答で寄せられた主な意見の内容について紹介がありました。
(2)最近の状況に関する報告
 松下専務理事から、司法研修所との意見交換会(1月15日)の開催、ニューズレター49号の発行、官報の予約販売、日弁連との共催による「法学未修者教育に関するシンポジウム」(6月19日)の開催につき、報告・案内がありました。
(3)司法試験委員会幹事会の議論状況について
 大貫裕之司法試験委員会幹事から、3月30日(第10回)の会議をもって終了した司法試験委員会幹事会の協議概要について報告がありました。詳細については、第165回司法試験委員会の議事録を確認して欲しいとのことです。

 議事終了後、一般社団法人「法曹養成ネットワーク」の青野博晃事務局長から挨拶がありました。
 次回総会は、2021年12月18日(土)にオンラインで開催する予定です。